【JICA草の根技術協力事業パートナーの想い】
「誠実さ」で築く、東ティモールとの信頼関係
有限会社ドンカメ
2026.03.04
#資源循環 #東ティモール #国際協力
栃木県芳賀町にある有限会社ドンカメは、「ごみを宝に!」をキーフレーズに、生ごみの堆肥化を中心とした資源循環の取り組みを進めています。地域での実践に加え、JICA草の根技術協力事業を活用し、東ティモール・ヴィケケ県で約5年間にわたり、堆肥化、養鶏、野菜栽培、環境教育など複数の分野で住民の生活改善に取り組みました。
今回は、代表の小久保行雄さん(プロジェクトリーダー、写真左)、宮田悠史さん(東ティモールでの調整・住民指導を担当、写真中央)、小久保彩子さん(経理・事務、写真右)に、東ティモールでの協力の背景と、現地で大切にしてきた姿勢について伺いました。
ドンカメは、生ごみなどの有機物を堆肥化し、地域の中で資源を循環させる仕組みづくりに取り組んでいます。拠点の栃木県芳賀町では、「農地が喜び、作物が喜び、商店街が喜び、企業が喜び、消費者も喜ぶ」という好循環を生む地域活性化モデルをめざしています。東ティモールでは、「未利用資源の堆肥化を軸とした資源循環システム構築のための人材育成および組織化支援事業」として、2025年2月まで、約5年間にわたり、環境教育、堆肥化、養鶏、野菜栽培の3本柱を展開しました。この事業以前にも「ゴミを宝に!環の町芳賀モデルを東ティモール・ヴィケケ市へ」 という事業を2016年から3年間実施しました。
環境対策の一環で、学生がごみ拾いを行い、エコステーションに持ち込む様子(東ティモール)
小久保行雄さん:
「国際協力」は、実は身近なものでした。20年ほど前から、JICA筑波に来ていた海外研修員が視察に訪れることがあり、時折、技術指導をしていました。決定的なきっかけは、映画『カンタ!ティモール』との出会いでした。東ティモール独立の過程で起きた悲劇と、人々が希望を失わず生きる姿に強く心を動かされ、「自分も彼らのために何かしたい」と思うようになりました。
草の根技術協力事業に応募する際、初めて現地調査を行いましたが、支援のニーズの大きさを肌で感じました。「困っている人がいたら手を差し伸べたい」。それが私にとって自然な選択でした。
芳賀町での「カンタ!ティモール」上映会の様子。ドンカメ社とJICAで共同企画。
誠実さと透明性が信頼につながる
小久保行雄さん:
初めて住民の方に会うときは、「期待すること」ではなく、まず自分たちが何をするのかを丁寧に説明します。そして「誠実に活動します」、「約束は破りません」、「嘘はつきません」この3つは必ず伝えます。言語が違っても、真剣な姿勢は必ず伝わると感じています。
相手の文化や行政の慣習を尊重する
宮田悠史さん:
現地の行政文書の流れや慣習は、日本とはまったく違います。例えば、県知事に書類を渡すときは、事前に「誰に確認してもらうべきか」を必ず調べます。これを誤ると、関係者を傷つけてしまい、協力関係に影響することもあります。あえて日本流を押し通さず、相手の立場に立った対応を心がけています。きちんとした方法をとれば、現地の方々は真摯に向き合ってくれます。
それでも思い通りに進まないとき
気候や環境、文化の違いから、計画どおりに進まないことも多々あります。そのときは、「こうした人々の価値観や生活があるからこそ、私たちの事業が成立している」と考えるようにしています。
宮田悠史さん:
言葉だけの指導では、なかなか実感が湧きません。「本当にこの方法でうまくいくのだろうか?」と感じさせてしまうこともあります。そのため、野菜組合のリーダーや農家の方々を日本に招聘し、実地研修を行いました。自分の手で土を触り、技術を目で見て体験することで、“
これならできる
”
という確信につながったように思います。現地で事業を持続させるためには、現地の人が気持ちを強く持つことが欠かせません。技術の効果を自分の目で確かめることは、大きなモチベーションになります。
日本での野菜栽培研修の様子
小久保彩子さん:
とにかく現地の人の誠実さが印象に残っています。急に村にやって来た私たちを疑うことなく、真剣に取り組んでくれる。農業技術は、毎日の水やり、施肥などの積み重ねが重要ですが、はじめは成果が目に見えないですが、それにも関わらず、彼らはわたしたちが教えたことを真剣に実践に移してくれていました。
東ティモールには、昭和の日本のような、人のつながりの濃さがあります。ドンカメ社にとっては初めての海外での事業、そしてコロナ禍もあり、大変な局面も多かったですが、本当に貴重な経験でした。
小久保行雄さんと東ティモールの人々
小久保行雄さん:
まずは、たくさんの人に『カンタ!ティモール』を観てほしいと思います。ティモールの歴史、純粋な人柄を知ることで、日本に住む自分たちの価値観を見直すきっかけになるはずです。
宮田悠史さん:
ぜひ、東ティモールに行ってみてほしい。異なる世界に触れることで、多様な価値観に気づき、柔軟な発想が生まれます。そうした出会いは、間違いなく将来を豊かにしてくれると思います。
小学校と東ティモールの人々の交流会の様子
インターン生後記
インタビューを通して、有限会社ドンカメの皆さんと東ティモールの人々の強い信頼関係を感じました。互いに「誠実」であろうとする姿勢が、よい事業を生み、長い協力関係につながっているのだと思います。
(JICA筑波インターン生/筑波大学3年杵渕和花)
関連リンク
・ドンカメ社ホームページ:https://www.donkame.net/
・「カンタ!ティモール」映画紹介:https://canta-timor.com/
・JICA草の根技術協力事業について
https://www.jica.go.jp/activities/schemes/partner/kusanone/index.html
・東ティモールにおける「未利用資源の堆肥化を軸とした資源循環システム構築のための人材育成及び組織化支援事業」について(事業評価報告書):
https://www.jica.go.jp/activities/schemes/partner/kusanone/country/project/n_files/eti_19_p_te.pdf