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栄養改善のために農業を学ぶ。マダガスカル派遣予定の協力隊員がJICA筑波の農業研修に参加

2026.07.28

2026年度1次隊として2026年8月から2年間、コミュニティ開発隊員としてマダガスカルに派遣予定の唐澤栞さん。
大学では国際協力や健康教育、行動変容について学び、卒業後は二本松青年海外協力隊訓練所(JICA二本松)での派遣前訓練を経て、この夏、JICA筑波で途上国から来日中の行政官や普及員等の研修員向けに実施中の農業研修に1週間ほど参加しました。
今回は、野菜コース・栄養コース(※)に参加した唐澤さんに、研修での学びや派遣に向けた思いを伺いました。
 ※野菜コース:小規模農家の生計向上のための野菜生産技術コース
  栄養コ-ス:マルチセクター(農業・保健・水衛生・教育)で取り組む食を通じた栄養改善コース

小学生の頃から抱き続けた「国際協力への憧れ」

唐澤さんが国際協力に興味を持ったのは、小学2年生の頃。テレビで協力隊員の活動を見たことがきっかけでした。
そして小学6年生の時に読んだ一冊の本が、その思いをさらに強くしたといいます。
その本とは、栗山さやかさんの著書『渋谷ギャル店員ひとりで始めたアフリカボランティア』。
アフリカで医療や教育支援に取り組む栗山さんが本の中で語った
「貧しい事は不幸ではないと思うけれど、私が不幸だと思うのは、貧しいがゆえに、どうしようもないほどの飢えに苦しみ、病気になってもしっかりした治療を受けられず、生きていく上での選択権を持てず、死を待つしかない人々です。」という一節が心に残りました。
そして栗山さんの活動や言葉に触れ、
「国際協力に携わって生きていきたい」
という思いを抱くようになりました。
現地ではマダガスカルの県栄養局への配属が決まっており、母子保健センターへの巡回支援や、地域住民の生活改善・収入向上に向けた活動に携わる予定です。

「栄養改善のために農業を知りたい」――参加のきっかけ

唐澤さんが今回の研修に参加した理由は、栄養改善と農業が深く関係していると感じたからでした。
マダガスカルでは、多くの家庭にとって栄養価の高い食材は決して身近なものではありません。肉料理は高価で、月に一度食べられるかどうかという話を先輩隊員や、マダガスカル出身の方々から聞いていたそうです。
国民の約7割が農業に従事しているというマダガスカル。
その状況をもっと知りたく、調べていると
途上国において稲作の農閑期に付加価値の高い野菜栽培を行い収入向上を図るのが有効(Polak,2011)
マダガスカルにおいてコメの増収が収入向上による栄養改善に繋がる(Nikiema et al.,2023)
等の論文を読む機会がありました。
協力隊員として、栄養に関する知識を伝えるだけではなく、農業による収入向上や自家栽培による食生活の改善など、より根本的な部分から考える必要があるのではないか。
そんな問題意識から農業への関心が高まり、今回の研修参加につながりました。
将来的には、家庭菜園(キッチンガーデン)の普及などにも取り組めないかと考えているそうです。

研修員との交流から広がった学びと任国への理解

研修中、唐澤さんが特に印象に残ったのは、各国から来日した研修員との交流でした。
野菜コースは丁度収穫期。その日収穫した野菜を使って毎晩のように皆で料理を作ったそうです。
唐澤さんの隊員としての要請内容には「料理講習」があり、大人数で料理を進めていく工程に学びがあり、何より色々な国の研修員達とおしゃべりながら夜ご飯を共にできるのは、とても楽しい時間でした。
また、マダガスカル出身の研修員から現地の暮らしや文化について直接話を聞くことができました。
マダガスカル語を教えてもらう機会もあり、派遣前の今だからこその貴重な経験になったと振り返ります。
さらに、栄養コースを運営している研修委託先の方は、偶然にも自身が配属予定の県の栄養局と一緒にプロジェクトを行っている方だったので、現地の様子を具体的に聞くことができました。現地の栄養課題や活動の実情について学ぶことができたことは、任地での活動をイメージする大きな助けになったそうです。

農業だけではない、「任国で生きる力」を学んだ5日間

今回の研修で学んだのは、農業技術だけではありませんでした。
収穫期の圃場では、施肥による生育の違いや病害虫被害を受けた作物の様子を実際に見ることができ、農業の基礎を体感的に学ぶことができました。
一方で、唐澤さんはもう一つの重要な学びを挙げます。
それは、「既に出来上がっている外国人コミュニティに飛び込む経験」です。
海外協力隊として派遣されれば、自分が少数派となる環境に身を置くことになります。
今回の研修は、その状況に近い、予行演習のような体験だったといいます。
英語力や農業経験への自信のなさから遠慮してしまう場面もありましたが、「分からなくても自分から積極的に聞くことの大切さ」に気付くことができました。
研修員の皆さんに温かく迎えてもらった経験は、任国で活動していく上での大きな自信にもつながったそうです。

これから参加を検討している協力隊候補生へ

最後に、今後この研修に参加を考えている協力隊候補生へのメッセージをいただきました。

「迷ったらぜひ参加してみてください!
農業について学ぶことができたのはもちろん、各国から来ている研修員の方々に囲まれた環境に飛び込む経験もとても価値がありました。
農業のことだけでなく、任国での活動に活きるたくさんの学びがあります。」

派遣前に任国や国際協力について理解を深めたい人、新しい環境に飛び込む練習をしてみたい人にとって、JICA筑波の農業研修は貴重な学びの場になっているようです。

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