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「どんな世界にしたいですか? 〜JICA職員と考えるウクライナの今〜」

2026.07.29

7月16日、茨城県立牛久栄進高等学校において、JICA国際協力出前講座を実施しました。

(講義をする山岸さん)

(講義をする山岸さん)

今回のテーマは「ウクライナについて考える」。

講師は、ボスニア・ヘルツェゴビナ、スーダン、パレスチナ/イスラエル、スリランカなどで国際協力に携わってきた経験を持ち、現在はJICAウクライナ事務所で働いている山岸良馬さんです。

ロシアによる侵攻が続くウクライナの現状や、JICAによる復興支援についてお話しいただきました。
山岸さんは2024年からウクライナに関わり、現在も現地で活動しています。

講座ではまず、ロシアによるウクライナ侵攻の歴史的背景や現在の情勢について説明がありました。ニュースで断片的に目にすることはあっても、その背景や経緯について詳しく知る機会は多くありません。
ロシアとウクライナが歴史的・文化的に深い結びつきを持ちながら発展してきたこと、2014年のクリミア併合や東部地域での戦闘を経て、2022年の全面侵略へと至ったことなどが紹介され、生徒たちは真剣な表情で聞き入っていました。

続いて紹介されたのは、「戦争の中の日常」です。

日本で報じられるウクライナのニュースは、被害や戦闘の様子が中心になりがちです。しかし現地では、空襲警報が鳴る日々の中でも、人々は働き、学び、家族や友人との時間を過ごしています。

(公園で過ごす人々)

(公園で過ごす人々)

冬にはスケートリンクが設置され、クリスマスマーケットが開かれ、街角では若者たちがダンスを楽しむ姿も見られるそうです。

(路上でダンスをする若者たち)

(路上でダンスをする若者たち)

「戦争があるから生活が止まるわけではありません。自分たちらしい暮らしを続けることそのものが抵抗でもあるのです」

山岸さんの言葉に、生徒たちは戦争を単なるニュースではなく、そこで暮らす人々の現実として受け止めている様子でした。

さらに、現地の学校の様子についても紹介がありました。ウクライナでは空襲警報が発令されると地下シェルターなどへ避難することが求められます。また、自分の身を守る方法や応急処置なども学んでいます。毎朝9時には戦争で命を落とした人々への黙とうが行われるなど、戦争が子どもたちの学びにも大きな影響を与えていることが伝えられました。

(足を止め、黙とうする人)

(足を止め、黙とうする人)

講座では、JICAが行うウクライナ支援についても紹介されました。現在JICAは、地雷対策や瓦礫処理、停電対策といった復旧・復興支援に加え、教育やリハビリテーションなど、人々の生活再建を支えるための協力を進めています。特に、自然災害からの復興を経験してきた日本だからこそ生かせる知見や技術が、現地で活用されていることが説明されました。

質疑応答では、「ウクライナの人々はどのような制限の中で暮らしているのか」「空襲警報に慣れてしまうことはあるのか」「学校で教えられている内容にはどのような意味があるのか」など、多くの質問が寄せられました。山岸さんは現地での経験を交えながら率直に回答し、生徒たちとの対話を深めました。

講座の最後に山岸さんは、国際協力の仕事を志した理由について触れながら、生徒たちに次のようなメッセージを送りました。

「一人の力だけで世界を大きく変えることは難しいかもしれません。しかし、自分はどんな世界に住みたいのかを考え、その思いに基づいて行動することはできます。そうした一人ひとりの積み重ねが、社会や世界をつくっていくのだと思います。」

遠く離れた国で起きている出来事であっても、そこには私たちと同じように日常を送り、未来を思い描く人々がいます。今回の出前講座は、生徒たちにとってウクライナの現状や国際協力について学ぶとともに、「自分だったら何ができるか」「どんな世界を目指したいか」を考える貴重な機会となりました。

また講座後半には、ウクライナ出身のチェロ奏者グレイブさんによる演奏も行われ、参加者は美しい音色を通じてウクライナの文化にも触れることができました。
学びと交流の双方を通じて、国際理解を深める時間となりました。

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