【インターンレポート①】全国から学生が集結!2026年度「大学生・大学院生向け国際協力実務講座」が始まりました。
2026.09.03
JICA筑波にて「大学生・大学院生向け国際協力実務講座」が始まりました。この講座の初日の様子を、JICA筑波でインターン実施中の坂口がレポートします。
本講座は、国際協力に関心を持つ大学生・大学院生を対象に、講義やワークショップなどを通じて、開発途上国の現状や国際協力について理解を深め、将来の国際協力への参加につなげることを目的として毎年開催しています。
今年は、北は北海道から南は鹿児島まで、全国各地から国際協力に関心を持つ学生がJICA筑波に集まりました。初日は、アイスブレーキングからスタート。参加者同士で共通点を探すなかで、和やかに交流する姿が見られました。これから始まる5日間の学びに向け、参加者同士の距離を縮める時間となりました。
午前の講座では、「日本の国際協力を通じた世界の課題解決への貢献~ODAの『基本のき』を学ぶ~」をテーマに、JICA筑波・萩原律子職員から国際協力の基礎について学びました。
気候変動、紛争・難民、食料問題など、世界が直面するさまざまな課題が紹介されるとともに、それらの課題に対してJICAがどのような取り組みを行っているのか、具体的な事例を交えながら説明がありました。
また、「複合的危機」というキーワードが示され、世界では、気候変動や紛争、食料問題など世界的な課題は重層的に、複雑に絡み合っていることを学びました。こうした状況に対して、国際協力にはどのような役割が求められているのか、参加者は考えを深めました。
講義の中では、「なぜ日本は国際協力をすると思いますか」、「あなたにできる国際協力とは何ですか」といった問いも投げかけられました。参加者は、自分自身が国際協力とどのように関わることができるのかを考えるきっかけを得ました。
続いて行われたのは、「日本の国際協力を通じた世界の課題解決への貢献~特定の地域の事例から解決の方策を考える~」と題した講座です。
JICAの東南アジア・大洋州部で、2年間ベトナムを担当していた渡辺いち職員から、特定の国を担当する立場で国際協力に携わる際の考え方について話がありました。
国際協力の現場では、相手国から寄せられた要請をそのまま受け止めるだけではなく、その背景にある事情や、現地の情勢、さらにはそこに潜むリスクや期待される効果まで考えながら、協力の方向性を検討する必要があるという点が印象的でした。
講師からは、先方政府担当者との対話を通じて「相手国が本当に必要としていることは何なのか」を読み取ることの大切さについても説明がありました。参加者は、国際協力には先方の要望を理解するだけでなく、その背景にある状況を捉え、さまざまな可能性を考える力が求められることを学びました。
午後には、「多様な国際協力アクター」と題した講座が、JICA人事部 竹信裕美職員より行われました。
国際協力というとJICAやODAを思い浮かべる人も多いかもしれません。しかし実際には、国際機関、NGO、開発コンサルティング企業、民間企業など、さまざまな組織や人々が関わっています。
講座では、こうした多様なアクターについて紹介があるとともに、国際協力分野でのキャリアについても話がありました。
その中で示されたのが、「WILL・CAN・MUST」という考え方です。
「何をしたいのか(WILL)」、「何ができるのか(CAN)」、「何をすべきなのか(MUST)」――この3つの視点から自分自身のキャリアを考え、自分の経験や仕事に「意味づけ」をしていくことがキャリア形成につながるという話がありました。
国際協力に関わる道は一つではありません。参加者にとって、自分がどのような立場から国際協力に関わることができるのか、将来のキャリアを考える機会となりました。
一日目を締めくくったのは、「JICA現地事務所(ザンビア)の仕事」と題した講座です。
ここでは、実際にザンビアで行われている事業を題材に、JICA事務所の役割について、JICAザンビア事務所の武田翔吾職員からオンラインでお話を伺いました。
JICAの仕事は、事業を「実施する」だけではありません。途上国、日本、そして国際社会にとっての「三方良し」を目指し、JICAだからこそできることを見極め、関係者を巻き込み、実行に移していくことが求められます。
また、現地ではさまざまな組織や部署が関わるため、それぞれの立場や考えを理解しながら、全体としてバランスを取ることも重要です。そのためには、途上国の背景、日本の意向、国際協力の潮流など、それぞれの立場や事情を想像し、アクセルとブレーキを調整する力が欠かせません。在外の現場では、さまざまな組織や関係者の思惑が交わりますが、自分たちの組織の役割を大切にしながらも、その枠にとらわれず、状況に応じて柔軟に対応することの重要性を学びました。
初日は、世界が抱える課題やODAの基本から、地域の情勢を踏まえた協力の考え方、多様な国際協力アクターとキャリア、そしてザンビアの現場におけるJICA職員の仕事まで、幅広いテーマについて学びました。
どの講座においても繰り返し示されたのは、「相手の立場に立って考えること」と「自分自身は何ができるのかを考えること」の大切さだったように私は感じました。
全国各地から集まった参加者たちは、初めは緊張した様子を見せながらも、少しずつ打ち解け、互いの考えに耳を傾けていました。
これから始まる講座では、さらに実践的な学びや参加者同士の議論が予定されています。5日間の学びを通じて、参加者一人ひとりが国際協力についてどのような問いを見つけ、どのような一歩を踏み出すのか、今後の展開が楽しみです。
書き手:JICA筑波インターン 坂口和佳那(筑波大学 人文・文化学群 日本語・日本文化学類)