【インターンレポート】「農」の力で拓く未来!世界への第一歩!「農業高校生 国際協力実体験プログラム」を開催
2026.10.07
2026年8月27日、「JICA筑波 農業高校生国際協力実体験プログラム」が開催されました。全国10校から31名の農業高校生がJICA筑波に集まりました。
今回のテーマは「『農』の力で拓く未来、世界への第一歩!」。参加した高校生たちは、アフリカから来日しJICA筑波で稲作を学ぶ研修員との交流や収穫実習、国際協力の現場で活躍する職員やJICA海外協力隊経験者との対話、さらには国際協力の課題解決に挑むワークショップに取り組みました。
普段学校で学んでいる農業は、世界の食料問題や地域の暮らしとも深くつながっています。今回のプログラムでは、高校生たちが「農業」という専門性を通じて世界と向き合い、自分たちに何ができるのかを考えました。また、同じ志を持つ仲間との出会いや新たな学びを通じて、進路や将来の可能性についても視野を広げる機会となりました。
当日の様子をJICA筑波インターンの坂口とティリがレポートします。
実施概要
・日時:2026年8月27日(木)9:40-17:00
・場所:JICA筑波
・対象:農業高校及び普通高校農業科に在籍する高校生、または農業に関心のある高校生
・参加人数:31名
・参加校(10校):北海道更別農業高等学校、北海道ニセコ高等学校・北海道ニセコ国際高等学校、青森県立五所川原農林高等学校、宮城県農業高等学校、福島県立修明高等学校、茨城県立水戸農業高等学校、栃木県立栃木農業高等学校、栃木県立宇都宮白楊高等学校、東京都立農産高等学校、静岡県立浜松湖北高等学校
●アイスブレーキング
開会式では、JICA筑波森口所長による挨拶の後、「私の学校のここがすごい!」「今の気持ち」をテーマにグループ交流を行いました。さらに、言葉を使わずに身振り手振りだけで自己紹介をする「サイレント自己紹介」に挑戦。全国から集まった高校生たちは、笑顔やジェスチャーで積極的に交流し、一気に距離を縮めていました。
●伝えたい!その思いが世界への第一歩に!
続いて、JICA筑波で稲作の研修を受けているアフリカの研修員と交流しました。
高校生たちは、少し緊張した様子ながらも、自分たちの高校で取り組んでいる農業や研究について、英語で伝えました。
研修員からは、自国の農業や文化、そしてJICA筑波で学んでいることについて紹介がありました。国や地域が違えば、育てている作物も、農業を取り巻く環境や抱えている課題も異なります。
交流の中では、「ガーナで一番好きな食べ物は何ですか?」といった質問をするなど、高校生たちが積極的に研修員とコミュニケーションを取ろうとする姿が見られました。
一方で、「研修員ともっと話したかったけれど、自分の言葉で伝えるのが難しかった」という声も聞かれました。伝えたいことがあっても、英語では思うように言葉が出てこない。そんなもどかしさを感じたからこそ、「もっと話したい」という思いも生まれたのかもしれません。
今回の交流を通じて、普段の農業学習に加えて農業を取り巻く国際的な問題にも目を向け、視野を広げるとともに新たな知識を得ることができたようです。
●研修員たちと協働!収穫実習に挑戦!
続いて高校生たちは、研修員とともにJICA筑波の場外圃場へ移動し、稲刈りを体験しました。
JICA筑波には、研修員が日本の農業技術を実践的に学ぶための圃場が整備されています。こうした充実した実習環境があるからこそ、今回のプログラムでも、研修員と高校生が実際の稲を前にして学び、共に稲を刈るという体験が実現しました。
稲作について学んでいる研修員と、農業を専門的に学ぶ高校生が、同じ圃場で協力して稲を刈ります。立場や国籍は違っても、「農業」という共通のテーマを通じて一緒に作業をすることで、自然と会話も生まれ、互いの知識や経験を共有する機会となりました。
圃場には、アフリカの食料問題の解決に向けて品種開発・普及が進められている「NERICA(ネリカ米)」も植えられていました。高校生たちはその特徴を学ぶとともに、日本で栽培されている稲とは異なる見た目や感触に興味津々の様子。日本で培われてきた稲作の知識や技術が、地域ごとの環境や課題に合わせて生かされていることを、実際の稲を通じて学びました。
「今回、初めて稲刈りをしました」と話す高校生も。実際に稲に触れ、刈り取る作業を体験することで、普段学んでいる農業について、教室での学びとは異なる角度から理解を深める機会となりました。中には、「収穫したお米でカレーを作りたい」という、積極的な意見も挙がりました。
●ネリカ米ランチを囲んで広がる交流・学び
稲刈り体験の後には、「農業×国際協力」の分野で活躍するJICA筑波の職員や、海外協力隊経験者とのランチ交流会が行われました。
この日のランチには、NERICAを使ったフィリピンのトマトシチュー「アプリターダ」が登場。実際に農業や国際協力の現場に関わってきた人たちと食卓を囲みながら、「協力隊ではどんな活動をしていたのか」「農業の知識や経験を海外でどのように生かしたのか」「将来どのような道に進みたいのか」など、さまざまな会話が交わされました。
●「農業×国際協力」の分野で活躍する先輩たちと語らう!
ランチ交流会後は農業×国際協力の分野で活躍している6名の関係者が登壇。それぞれが歩んできたキャリアや、国際協力の現場で感じたこと、仕事のやり方などについて高校生に熱く語りかけました。
「農業の知識を国際協力の仕事にどう生かせるのだろう?」という疑問を持っていた高校生たちも、様々なキャリアを歩んできた先輩たちの話を聞くことで、将来の可能性を具体的にイメージできるようになったようです
●ワークショップ「もし海外協力隊になったら」
つづいて行われたワークショップでは、「もし自分が海外協力隊になったら」をテーマに、高校生が架空の国にJICA海外協力隊員として派遣されたという設定で、現地の課題を解決するための活動計画をグループごとに考えました。高校生には、派遣要請の理由や背景、現地の状況などが書かれた「JICA海外協力隊要請カード」と、村人の声を聞くための「インタビューシート」が配布されました。ここで、職員が村人になりきり登場。高校生たちは村人たちにインタビューし、村人の声から現地の課題を見つけ、「どのような活動が必要なのか」「2年間の活動で自分たちに何ができるのか」を考えながら、各グループが活動計画を作成。自分たちが持つ農業の知識や経験、アイデアを生かし、それぞれに工夫を凝らした計画を完成させました。
技術的なアイデアだけでなく、現地の人々との信頼関係を築きながら、共に考え、技術や知識を分かち合い、地域に貢献していくという視点から生まれた発想には、驚かされました。また、農業技術を教えるだけでなく、農家同士が知識や経験を共有できる仕組みをつくるという提案があり、国際協力では人とのつながりも重要だと学びました。
最後に、グループごとに考えた活動計画を発表しました。中には、現地住民とJICA海外協力隊員のやり取りを演じながら発表するグループもあり、工夫された発表方法と豊かな発想力に驚かされました。
自分たちでは思いつかなかったアイデアに触れることで、「そんな考え方もあるのか」と新たな気づきを得るとともに、グループメンバーと一緒に活動する中で、互いに刺激を受けながら学びを深めていく姿が見られました。
発表後には、JICA海外協力隊の経験者からフィードバックを受ける時間も設けられました。実際に海外の現場で活動した方々の視点から意見やアドバイスをいただくことで、自分たちの活動計画を見直し、より現実的な視点で考えることの大切さを学びました。また、国際協力にはさまざまな課題や工夫があることを知り、理解を深める機会となりました。
●振り返りと参加証授与
プログラムの最後には、一日を通して印象に残ったことや、今感じていることを振り返る時間を設けました。その後、各グループで出た意見や感想を全体に共有しました。
「研修員の皆さんと交流して、もっと英語を学びたいと思った」「工夫された発表方法を、これから自分が発表するときにも取り入れたい」「国際協力やJICA海外協力隊への関心が高まった」など、さまざまな前向きな声が聞かれました。
普段の学校生活ではなかなか出会うことのできない海外の人や、国際協力の現場を知る先輩たちとの交流を通して、新しい世界に触れた高校生たち。その中で、自分の興味や学んでいる農業が世界とつながっていることに気づき、将来の可能性を広げた一日となったようです。
また、「来年も参加したい」と話してくれた高校生もおり、その言葉が印象的でした。
閉会式では、参加した高校生一人ひとりに参加証が授与されました。はじめは緊張した様子だった高校生たちも、一日を通してさまざまな人と交流し、新しい体験を重ねる中で、次第に表情が和らいでいきました。最後に見せてくれた自信に満ちた表情が、とても印象に残りました。
私たちスタッフにとっても、農業に熱心に取り組む全国の高校生たちの知識や能力、そして豊かな発想力に触れ、多くの学びを得ることができた貴重な一日となりました。
農業を学ぶ高校生が、農業という自分の専門性を入口に、国際協力という新たな世界に触れ、自分の未来について考える。さまざまな人との出会いや、実際の国際協力の経験に触れられることは、JICA筑波ならではの貴重な学びの機会だと感じました。今回のプログラムで得た気づきや出会いが、高校生一人ひとりのこれからの学びや進路、そして未来への新たな一歩につながることを願っています。
【参加者からの声】
<生徒>
・実際に研修員の方との交流ができたり、他校の人と協力して活動案を考えたりできて、とても貴重な経験になった。
・色々な人と関われてよい刺激にもなったし、つながりが増えて良かった。
・普段では学べないことを学べて、新しい知識を手にすることができて、将来に活かしていきたいと思った。
<教員>
・生徒の表情が明るくいきいきと取り組む姿を見ることができた。世界とのつながりを生徒自身だけでなく、教員の私も実感した。
・稲作については、生徒も馴染みがなく、新鮮だった。また午後のプログラムでは、インタビューを重ねながら1つの課題に対して解決策を導き出す手法についても、体験することができた。
・生徒の楽しむ顔が見られたことや、英語に対する学習意欲が向上しているように感じた。
書き手:
・JICA筑波インターン 坂口和佳那(筑波大学 人文・文化学群 日本語・日本文化学類)
・JICA筑波インターン ティリピェアウン(大阪大学 外国語学部外国語学科・日本語専攻)