38年ぶりの帰訪 - 人と人をつなぎ続けるJICA研修
2026.10.16
1988年(昭和63年度)にJICA筑波で実施された研修「消化管病理コース」へ、マレーシアサラワク州中央医学研究所から参加した、Dr. Mapphy Duncan(以下、Duncanさん)は、ご家族とともに38年ぶりにJICA筑波を訪問されました。
定年を機に、日本再訪を計画されたDuncanさんは、マレーシア国サラワク州クチン市から、オーストラリア在住の娘さん・息子さんのご家族とともに10日間の日程で来日。
京都、奈良、大阪、東京を巡った後、日本滞在最終日にJICA筑波を訪問されました。
当日は、図書館司書の樫村さんが書庫から1988年当時の研修資料を探し出し、ご本人にご覧いただきました。そこには38年前の研修参加者名簿やコース日程が残されており、Duncanさんは大変感激された様子でした。研修期間は約3か月にわたり、筑波大学、東京慈恵会医科大学、都立駒込病院、国立九州がんセンター、国立感染症センター、広島大学などを訪問。また、第47回日本癌学会への参加もプログラムに組み込まれていました。
資料を懐かしそうに眺めながら、Duncanさんは当時を振り返り、
「ここから渋谷へ出かけたことを覚えています。(宿泊棟を指さしながら)この建物に泊まっていました。」
と話されました。
さらに、
「38年前と変わらぬ姿でJICA筑波があり、自分の記録が今も残っていること、そして温かく迎えていただけたことが本当にうれしい。今回の日本滞在で最も幸せな時間でした。」
と笑顔で語られました。
その後寄せられたメッセージでも、ご家族が記録保存の丁寧さに感銘を受けたことや、日本の美しさへの思いが綴られていました。
JICAの研修事業は、単に知識や技術を共有する場ではありません。研修員一人ひとりとの出会いを通じて、日本への理解や親しみを育み、長期にわたる信頼関係を築いていく取り組みでもあります。
38年という長い年月を経てもなお、「もう一度訪ねたい場所」としてJICA筑波を思い出し、ご家族とともに足を運んでいただけたことは、研修事業が持つ大きな価値を示しているように感じます。
JICA筑波は、1980年に筑波インターナショナルセンター(TBIC)が設立され、1981年には筑波国際農業研修センターが内原町から移設されました。名称の変更はありましたが、今も「TBIC」の愛称で親しまれています。
以来、研修員の皆さまが快適に過ごせるよう施設の改修や機能向上を重ねながらも、その外観や雰囲気は大切に受け継がれてきました。これまでに受け入れた研修員は3万1千人を超えます。
Duncanさんが38年前に暮らした宿泊棟を見上げながら当時を懐かしむ姿は、長年にわたり同じ場所で活動を続けてきたことの意義を改めて感じさせてくれました。
JICA筑波はこれからも進化を続けながら、世界各国の研修員とのつながりを育み、人と人とを結ぶ拠点であり続けたいと考えています。