#模擬AU2024 始めました ~参加者募集~

#13 気候変動に具体的な対策を
SDGs
#17 パートナーシップで目標を達成しよう
SDGs

2024.05.08

サムネイル
アフリカ部 計画・TICAD推進課 渡守 麻衣

日本の大学生が主導し、日本で初となる模擬アフリカ連合(African Union1 (AU))が始動します2

私は、JICA本部でアフリカ部の計画・TICAD推進課という部署に所属しており、動き出した「模擬AU」のサポート役として学生さんたちに伴走しています。今回は模擬AUへの参加者募集を兼ねて、今なぜ日本の若者がAUを、アフリカを考える必要があるのか、というお話をしたいと思います。

少し前の話をします。 27年前、1997年。 香港が中国に返還され、アジアでは通貨危機が発生。今では世界中を走るトヨタのプリウスが国内で発売されたのも、世界的に大ヒットした映画「タイタニック」が公開されたのもこの年でした。大学生の皆さんにとっては生まれる前のなじみの薄い時代かと思いますが、27年前は歴史上の大昔でもない、まさに「少し前」です。

ここからは未来の話です。 おおよそ27年分「少し先」に時計を前に進めると2050年になります。 国連の世界人口予測によると、2050年にアフリカの人口は24億人を超え、世界の4人に1人がアフリカ人になると予測されています。これは、いつかやってくる遠い未来ではなく、まさに「少し先」の話です。 また、アフリカには世界の鉱物資源の約30% 耕作可能地の60%が存在すると言われ、拡大する人口と豊富な資源という2つの要素に支えられたアフリカは、世界経済をけん引する「グローバルサウス」の一角として、国際政治・経済・社会における存在感を増していくと予想されています。

写真:JICA/長倉洋海 (モザンビークの子供たち)

このような大きなポテンシャルに世界から期待が寄せられる一方、同時にアフリカは大きな課題を抱えています。拡大していく人口を吸収する雇用を創出していくことができなければ、貧富の格差の拡大や治安の悪化、経済・社会の不安定化や紛争にもつながる大きなリスクがあるのです。

振り返って、現在の日本の私たちの生活を見てみます。ロシアのウクライナ侵攻などによって世界的に食料品価格が高騰し、カロリー的に見ると60%以上 の食糧を輸入に頼る日本でも、食糧安全保障に大きな注目が集まりました。同様の価格高騰は、石油・石炭などのエネルギー資源、工業製品やその原材料についても起こりえます。将来のアフリカは、日本への資源や産品の重要な供給源(輸入先)となることが期待されます。

では、アフリカが日本を含む国際社会の一員として安定的に発展するために必要なことは何でしょうか。テロや戦争・伝染病に脅かされない平和な社会、付加価値の高い製品を生産する能力、工場を動かす電力とその電力供給網、出来上がった工業製品を国境を越えて運ぶための道路や港、関税を始めとする輸出入のための統一ルールなど、重要な課題はたくさんあります。

これらの課題についてアフリカ大陸のすべての国が参加して議論し、アフリカ自身が目指すアフリカを、アフリカの主導で実現しようとしているのがAUです。今回始動する模擬AUでは、日本の学生がアフリカの開発課題について主体的に学んだ上で、当事者であるアフリカからの視点やフィードバックを織り交ぜて模擬AU総会の場で議論を行い、それを政策提言として発表することを目的としています。

「国際政治」や「国際協力」と言うと難しそうですが、アフリカについて考えることは「自分がどんな社会に住みたいか」を考えることに直結しています。学生の皆さんが作り上げる日本初の模擬AUが、少しでも多くの人に「アフリカ」や「アフリカと日本」「自分の住む少し先の社会」について考えるきっかけとなったらいいなと思っています。アフリカに一度も行ったことのない人も、もちろん大歓迎です。特に、最後までこれを読んで下さったあなたにはぜひ参加して頂きたいです。

「アフリカは共に学びあい、成長しあうパートナー」だという熱いマインドセットを持った皆さんを「模擬AU」でお待ちしています。

*募集は5月29日まで。

先日、模擬AU実行委員会の学生の皆さんと外務省アフリカ1課に模擬AUの概要ご説明に伺いました

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