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トンガで暮らす4か月-安息日の文化で見つけた穏やかな生活

2026.03.25

サムネイル
トンガ支所 安田 敦子

赴任して感じたトンガでの生活の馴染みやすさ

トンガに赴任してまもなく4か月が経ちます。日々の業務に追われ、家とJICAトンガ支所を往復する生活が中心で、まだトンガを深く理解しているとはいえません。それでも、思いのほか違和感なく生活に馴染んでおり、振り返ると「まだ4か月しか経っていないのか」と感じるほどです。

私は25年前にJICAフィジー事務所で勤務しており、その際に「トンガは日曜法がある国で、日曜日は店がすべて閉まり、国際線のフライトすら止まる」と聞いたことがありました。スポーツをしても注意されるという話も耳にし、当時は半ば冗談のように感じていました。今回実際にトンガに赴任してみると、この日曜法は現在も有効であり、キリスト教の安息日の考え方に基づいています。事前に知識として理解していたものの、実際の生活の中でその影響を受けると、改めてその文化の奥深さを実感しています。

  • 日曜日に働くことを禁じる法律

トンガの街角で出会う、のどかな一場面

予想外の忙しさに気づいた土曜日の暮らし

赴任前は「日曜日は何をして過ごそうか」と考えていましたが、実際は土曜日の忙しさが予想外でした。多くの商店やマーケットは正午から午後2時頃には閉まってしまうため、1週間分の買い物を限られた時間で済ませなければなりません。しかも、一つの店で全てが揃うことはなく、複数の店を回らなければならないのは、途上国ならではの“あるある”です。さらに、日曜日には掃除や洗濯といった家事を行うことも望ましくないとされ、洗濯機が屋外にある家庭では、音を立てること自体が控えられます。そのため、家事は土曜日に集中して行われます。

こうした事情から、土曜日は買い物と家事を一気に済ませる“勝負の1日”のようになります。結果として週休2日ではなく、実質的に週休1日の暮らしになり、日曜日はまさに何もしない安息日として過ごすことになります。この生活リズムは慣れるまで少し戸惑いましたが、心身をしっかり休ませるという点では、とても貴重なものだと感じています。

不便さの中で感じるトンガの温かい人々

トンガは島国特有の事情から物価が高く、必要なものがすぐに手に入らないことも多くあります。交通インフラも十分とはいえず、道路には多くの飼い犬や野犬が歩き回り、外国人が住む家を探すのにも苦労します。また、家族やコミュニティ、教会の繋がりが非常に強く、伝統文化を重んじる意識も根強いため、海外から来た者には理解が難しい習慣も残っています。

それでも、トンガで生活していて疎外感を感じたことはほとんどありません。トンガ支所のナショナルスタッフが仲間として受け入れてくれていることも大きいですが、商店でも銀行でも、隊員の配属先でも、皆さんが笑顔で親切に対応してくれます。車を運転していても道を譲ってくれることが多く、控えめで穏やかな気質は日本人と似ている部分もあります。トンガの人々の価値観を尊重し、丁寧にコミュニケーションを取ることを心掛けていれば、この社会で孤独を感じることは少ないのではないかと考えています。

離島の子どもたち

ゆったりとした時間の流れがもたらす魅力

開発途上国ではよくあるように、トンガでも物事が予定どおりに進まないことも多く、思いがけない出来事に戸惑う場面もあります。しかし、それ以上にトンガの暮らしは穏やかで、心が落ち着く環境が整っています。身の危険を感じることもほとんどなく、時間がゆっくりと流れるこの国では、自分の気持ちに余裕をもちながら生活することができます。

トンガは所謂「南の島」のイメージと想像されがちですが、実際は少し違い、気候は意外と涼しく、ビーチの数も多くありません。観光資源が豊富とはいえないものの、信仰深く穏やかな人々がこの国に温かさと安らぎを与えています。まだわずか4か月の経験ではありますが、トンガは心を静かに整えてくれる魅力に満ちた国だと感じています。機会があれば、ぜひ少し違った南の島の空気に触れに来ていただければ嬉しく思います。

ゆったりと流れる時間の中で

トンガ支所全員集合

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