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北岡理事長がコロンビア大学国際公共政策大学院のジャン・マリ・ゲーノ教授と会談(オンライン)

2021.07.26

北岡伸一JICA理事長は、7月15日、コロンビア大学国際公共政策大学院教授のジャン・マリ・ゲーノ氏と、JICAの平和構築支援や国連・PKO活動の役割、ポスト・コロナを見据えた国際協力の展望等について、オンラインで会談しました。ゲーノ氏は、JICAが2017年に設置したInternational Advisory Board (以下、IAB)(注1)の委員を設置以来務めています。

冒頭、北岡理事長より、国際的なコロナ危機からの回復や民主化が後退する国への協力などに対してJICAがどう取り組むべきか、国際協調の衰退傾向は今後どのような方向へ向かうか、サイバー空間での攻撃などによる戦争のあり方の変容は今後の紛争にどのような影響を及ぼすか等について、ゲーノ氏の見解を伺いたい旨発言しました。

北岡JICA理事長(左)と、ジャン・マリ・ゲーノ教授(右上)、室谷JICA平和構築室長(右下)

これに対してゲーノ氏は、各国の内向き傾向が続くことから、国際協調・多国間主義の基礎となる規範の形成や共有をリードする国が不在であり、課題毎に各国間の協調を目指すことが重要であると述べました。また、紛争が長期化する要因として、紛争の「多層化(multi-layered)」と「犯罪化(criminalization)」があることを指摘しました。これらの長期化する紛争解決には、開発機関だけで対応することは困難で、外交的努力や国際犯罪防止のための国際協力が重要になると述べました。さらに、PKOの役割の変化、アフリカ・サヘル地域、ミャンマー、パレスチナ、アフガニスタン等に対する分析・見解を共有しました。

その他、JICAの参加者から、JICAが作成した平和構築「グローバル・アジェンダ」(注2)やいくつかの地域・国での取組みを紹介しました。これに基づき、ゲーノ氏と参加者との間で、サヘル地域における非国家主体へのJICAの関わりや地域機構等との協調の可能性、イスラム過激派組織や外国軍に対する地域住民の認識、エチオピアのティグライ州における紛争の分析など、幅広い議論が展開されました。

最後に北岡理事長は、今回のような自由闊達な意見交換を継続したいと述べ、ゲーノ氏もこれに同意するとともに、IAB全体として議論の機会を持てるようになることに期待を寄せました。

(注1)IABは、国際的に著名な内外の有識者の方々から、JICAの事業方針や取り組みに関する助言を得て、事業の戦略性の向上等を図ることを目的に、2017年3月に設置したものです。

(注2)グローバル・アジェンダは、個別事業を超えた中長期の成果・インパクトの発現、日本の経験を生かした人材育成と対外発信の強化、国内外のステークホルダーが参画するプラットフォーム構築等を目指し、分野課題毎に作成したJICAの事業戦略です。

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