田中理事長がウクライナ・ポーランドを訪問

2023.07.26

田中明彦JICA理事長は、7月17日から19日にかけてウクライナを訪れ、ゼレンスキー大統領をはじめとするウクライナ政府要人・関係者と面談し、日本の支援によるがれき処理支援事業の現場を視察しました。また、20日にはポーランドで関係者と意見交換を行うとともに、ポーランド・日本情報工科大学を訪問し、同大学と試験的に共同実施しているウクライナ避難民向けの研修を視察しました。

ウクライナ

ゼレンスキー大統領との会談では、日本の復旧・復興支援について意見を交わしました。田中理事長は、数多くの災害から復旧・復興を果たしてきた日本ならではの知見や技術を活かして、地雷・不発弾対策、がれき処理、農業、人材育成などの分野で支援を行っていく旨を述べました。大統領からは、日本によるこれまでの支援への感謝とともに、地雷除去対策などで、さらなる支援の期待が寄せられました。シュミハリ首相、スヴィリデンコ第一副首相(兼経済大臣)、やクブラコフ復興担当副首相(兼地方・国土・インフラ発展大臣)、マルチェンコ財務大臣、クルク非常事態庁長官ら政府要人とも面談を行い、ウクライナ側から日本及びJICAに対する大きな期待が寄せられました。

また、ゼレンスキー大統領やシュミハリ首相からは、復旧・復興における民間企業参画やウクライナ中小企業振興の重要性について言及があり、ウクライナ復旧・復興への日本企業の参画に対する期待も示されました。JICAはウクライナの若手起業家のビジネス展開を支援しており、今後のさらなる協力を検討していきます。

田中理事長は、侵略直後に戦闘・占領地域となったキーウ州イルピニ市において、日本から供与された重機が活用されている様子を視察しました。同市では、ロシア軍の撤退後に大量のがれきが残されたことから、JICA支援のもと、将来的なウクライナ全土への展開を見据えたがれき処理システム構築のためのパイロット事業を展開中です。イルピニ市長から、新しく届く機材を可能な限り早期に稼働させ、がれき処理を進めていきたいとの発言がありました。これに対し、田中理事長は、引き続きウクライナの復旧・復興を支えるため、最大限の支援を行っていきたいと述べ、特に日本がこれまで培ってきた技術やノウハウが活用されることへの期待について述べました。

ウクライナの復旧・復興や国の基盤を支える公務員の育成・能力強化はウクライナの長期的発展にとって非常に重要です。JICAはこれまでもウクライナ公務員に対し、エネルギー、サイバーセキュリティ、汚職対策、廃棄物処理など多岐にわたる分野で研修プログラムを実施しています。訪問中、ウクライナ国家公務員庁との間で人材育成協力に関する覚書を締結し、JICAとして同分野への協力をさらに強化していくことを確認しました。

シュミハリ首相との面談

シュミハリ首相との面談

クルク非常事態庁長官との面談

クルク非常事態庁長官との面談

イルピニ市でのがれき処理の様子

イルピニ市でのがれき処理の様子

ポーランド

ポーランドでは、日本が設立及び教育プログラムの開発を支援したポーランド・日本情報工科大学を訪問しました。JICAは同大学と協力してウクライナ避難民向けのITコースを試験的に実施しています。他にもポーランド関係機関とは地雷除去訓練の共同実施などを行っており、今後の復旧・復興において重要な役割を担うポーランドとの連携の重要性を確認しました。

ポーランド・日本情報工科大学視察

ポーランド・日本情報工科大学視察

JICAは、戦時下でも未来を見据えて復旧・復興に取り組むウクライナの人々に寄り添い、日本の知見や経験を活かした切れ目のない協力を続けていきます。

\SNSでシェア!/

  • X (Twitter)
  • linkedIn
一覧ページへ