気候変動対策推進ファシリティ(ACCESS)の創設(海外投融資):民間セクターによる開発途上国での気候変動対策を促進
2023.05.22
国際協力機構(JICA)は、5月22日、海外投融資の取り組みの一環として15億米ドルを上限とする融資枠である「気候変動対策推進ファシリティ」(Facility for Accelerating Climate Change rEsilient and Sustainable Society: ACCESS)を創設しました。
本ファシリティは、2023年5月20日に岸田総理大臣がG7グローバル・インフラ投資パートナーシップ(PGII:Partnership for Global Infrastructure and Investment)に関するサイドイベントにおいて、官民のインフラ投資を通じてパートナー国の持続可能な開発に貢献することを表明したことを踏まえ、日本の貢献の取り組みの一つとして創設したものです。
ベトナムの風力発電事業
2015年、国際社会は気温上昇を産業革命前に比べて2℃より低く保ち、1.5℃までに抑える努力をすべきとした「パリ協定」を採択しました。また、2021年11月のCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)では、この「1.5℃目標」を追求することが確認されています。
一方で、先進諸国による二国間公的資金支援は開発途上国側が求める規模に達しておらず、また、再生可能エネルギー分野等を中心に民間セクターによる事業化が世界の主流となっている中、上記目標達成には気候変動対策分野での民間投資の一層の動員促進が重要です。国際再生可能エネルギー機関(IRENA)によれば、2013年~2018年の再生可能エネルギーへの投資の86%が民間セクターによりファイナンスされているとされており、また1.5℃目標の達成に必要なファイナンスの多くは引き続き民間セクターが担うことが想定されています。
以下の事業を対象に、融資枠の範囲内で迅速な融資の実施を目指します。
ファシリティ(融資枠)総額:15億米ドル上限
融資条件:通常の海外投融資の融資条件を適用
協調融資:国際開発金融機関、二国間開発金融機関又は実績豊富なG7先進国の民間銀行との協調融資を前提
実施期間:ファシリティ創設から5年間
本ファシリティはSDGs(持続可能な開発目標)ゴール13「気候変動に具体的な対策を」の他、気候変動の緩和や適応に対する具体的な取り組みを通じて、SDGsのその他多数のゴールの達成にも貢献します。また、民間セクターを通じた気候変動対策事業を推進する本ファシリティは、JICAグローバルアジェンダNo.16「気候変動」に基づく取り組みであり、「JICAサステナビリティレポート」で掲げる毎年1兆円程度の気候変動対策支援とGHG排出削減量の倍増にも貢献するものです。
JICAは他の開発金融機関や民間セクターと連携しながら、開発途上国の民間企業による気候変動対策を支援し、JICAのミッションである人間の安全保障と質の高い成長の実現に努めてまいります。
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