キューバ「青年の島」における電力供給改善計画完工式開催:キューバ最大の離島の電力系統安定化・気候変動対策に貢献
2024.05.14
2024年4月26日、キューバ共和国の最大の離島である「青年の島」(フベントゥド島)にあるキューバ電力公社発電所において、無償資金協力事業「青年の島における電力供給改善計画」の完工式が開催されました。
式典には政府・事業関係者等約200名が参加し、キューバ側からはマレーロ首相、デ・ラ・オ・エネルギー鉱業大臣、ロペス・キューバ電力公社代表らが、日本側からは平田駐キューバ特命全権大使、葦田JICAキューバ事務所長らが出席しました。
マレーロ首相
ロペス・キューバ電力公社代表
完工式の様子(手前右:デ・ラ・オ・エネルギー鉱業大臣、手前右から2番目:平田大使)
キューバは、電力の80%以上占める火力発電に必要な石油燃料の輸入軽減や、火力発電所の老朽化に伴い低下した発電効率や供給信頼度の改善が課題になっています。そのため同国は、2030年までに国内の発電における再生可能エネルギーの割合を高める目標を掲げています。プロジェクトの対象である青年の島(フベントゥド島)は約8万人が住むキューバ最大の離島で、電力はキューバ本島から独立した系統を通して供給されています。キューバ政府は、2030年までに島内総発電量の再生可能エネルギー比率を現時点の5%から全国の目標よりも高い30%まで上げることを目指しています。
しかし、太陽光や風力は、気象条件によって発電量が大きく変動するため、電力の需給のバランスが崩れ系統周波数が不安定となりやすく、発電機器の不具合や停電等に繋がる可能性を有します。再生可能エネルギー比率 30%を実現するためには、それらを安定的に供給するための電力系統安定化システムが不可欠です。
協力地域地図
テープカットの様子(手前右側よりマレーロ首相、平田大使、ロペス・キューバ電力公社代表)
記念銘板を見るマレーロ首相と平田大使
このような背景の下、本事業では、蓄電池や受変電設備、制御装置など電力系統安定化に必要な設備機器を導入し、青年の島での電力供給の安定化や気候変動対策を目指して実施されました。これにより、島の総発電量に占める再生可能エネルギーの割合が5%から18%に増え、同国の電力安定化に貢献することが期待されます。
本事業で整備された蓄電池システム
完工式においてマレーロ首相は、「複合的な経済状況から当国の広範囲において電力需給がひっ迫する中、本事業の実施は非常に重要な意義を持つ。資金面や技術面での協力を受けた日本政府とJICAに対し感謝する」と述べました。
また、平田大使は、「キューバは一人ではない。日本を始めとして世界中に多くの友人がいる。近年、日本とキューバの2国間協力は拡大し多様化している。我が国は、常にキューバ国民の発展を支援する用意がある」と発言しました。
JICAは今後も再生可能エネルギーの導入など、キューバのエネルギーセクターへの協力を推進していきます。
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