田中理事長がパラオ共和国・ミクロネシア連邦を訪問
2024.06.28
田中明彦JICA理事長は、6月19日から6月25日にかけて、パラオ共和国とミクロネシア連邦を訪れました。今年7月には、日本政府が大洋州島嶼国の首脳を招いて、同地域の国々が抱える課題解決に向けて話し合う「第10回太平洋・島サミット(PALM10)」の開催が予定されます。同サミットの開催に先立ち、田中理事長は両国の大統領や政府要人との会談、JICA事業サイトの視察、現地事業パートナーや留学生受入事業の卒業生との面談などを通じて、両国における協力の成果や今後の展開に向けた課題・展望について確認しました。
田中理事長は、パラオのスランゲル・ウィップス・ジュニア大統領をはじめとする政府要人との会談において、2024年が日・パラオ国交樹立30周年であることを踏まえて、これまでの協力隊派遣や研修員受け入れを通じた人的交流を振り返りました。ウィップス大統領から、これまでのJICAの協力に対する謝意が示されたとともに、水産業などパラオの持続的な経済発展に資する協力を検討していくことを双方で確認しました。
ウィップス大統領(写真中央左)と田中理事長(写真中央右)の面談
また、田中理事長はニライベラス・メトゥール人的資源・文化・観光・開発大臣とともに、JICAの技術協力により試行的に運行されている路線バスに試乗しました。パラオは公共交通機関がなく自家用車に依存した社会です。このためJICAは、公共バスの利用を通じた環境負荷の軽減や高齢者や車を持たない人々にとっての有用性を広く知ってもらい、行動変容を促すことができるよう取り組んでいます。田中理事長はこのバスが地元の方々に親しみを持たれ、生活に役立ってほしいとの期待を述べました。
環境配慮型交通システム整備プロジェクトの関係者
さらに、田中理事長は兵庫県三田市が草の根技術協力事業で協力を実施中のベラウ・エコ・グラス・センターを訪問し、廃ガラスを再利用した工芸品や工房を視察しました。これらの工芸品は循環型社会の形成や持続可能な観光業開発に寄与するものとして高い評価を受けており、パラオ政府により政府要人等へのお土産品としても活用されています。
ベラウ・エコ・グラス・センターの視察
その他、重要な交通インフラであり国民に親しまれる「日本・パラオ友好橋」、海外協力隊の活動視察等を行い長年に渡る協力の成果を確認しました。
続いて田中理事長は、JICA理事長としては初めて、4州からなる連邦制国家であるミクロネシア連邦を訪問しました。
ウェーズリー・W・シミナ大統領との面談では、田中理事長は、海外協力隊の派遣開始35周年を迎え、新型コロナ感染症流行後に減少した協力隊派遣数がまもなく流行前の派遣規模に回復する予定であることや、長年に亘り人材育成に取り組んできた旨を述べました。その上で、今後も太平洋島嶼国ならびにミクロネシア政府の政策実現に寄り添い、緊密に協力していくことを表明しました。また、田中理事長はJICAが支援したポンペイ州の廃棄物処分場に触れ、処分場の適正な維持管理やリサイクルの重要性を強調しました。これに対して、シミナ大統領からは二国間の深い繋がりを強調し、空港や港湾などのインフラ整備をはじめとするこれまでのJICAの協力に対し謝意を述べました。
シミナ大統領(左手前から2人目)と田中理事長(右手前から3人目)の面談
さらに、田中理事長は、ポンペイ港を訪問し過去に無償資金協力で整備した漁港や貨客船を視察しました。ミクロネシア連邦にとって、4州や離島間を結ぶ貨客船や、主力産業である漁業に必要不可欠な港湾は、経済を支える非常に重要なインフラです。田中理事長は島国にとって海上物流は国民の生命線であり、国内外の連結性強化及び国の経済発展に貢献していきたい旨述べました。
ポンペイ港訪問の様子
その他、田中理事長は国連ミクロネシア地域事務所との面談や、連邦政府で要職に就くJICA帰国長期研修員と意見交換を行いました。
JICAは引き続きパラオ・ミクロネシア連邦や大洋州地域共通の課題解決に向けて取り組んでいきます。
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