インド向け円借款貸付契約の調印:インドの持続的な経済発展・人材育成・環境保全を多様な支援で支え、日印関係の強化に貢献



2025.03.28
国際協力機構(JICA)は、3月27日、インド共和国の首都ニューデリーにて、同国政府との間で、6事業を対象として、円借款貸付契約(Loan Agreement: L/A)に調印しました。今回調印した円借款貸付契約が対象とする事業は以下のとおりです。
署名式の様子
案件概要
・国名
(対象地域)
インド共和国(タミル・ナド州)
・事業目的
タミル・ナド州において、民間投資促進や産業振興に関連する政策・制度の改善を促すと共に、産業のグリーン化や企業活動に資するインフラ、人材育成への支援等により、同州の投資環境の整備を図り、もって海外直接投資の増加に寄与するもの。
・事業内容
州政府関係部局の投資環境整備に向けた事業計画や、民間セクターからの要望を踏まえて、年度毎に達成すべき政策アクションを政策マトリクスとして整理し、その達成を州政府とJICAの双方でモニタリングすることで政策アクション達成を促進する。
・借款金額(上限)
361億1,400万円
・金利
本体:2.45%
・償還期間
30年(うち据置10年)
・調達条件
一般アンタイド
・実施機関
タミル・ナド州産業投資促進商業局
・
SDGs
達成への貢献
ゴール8(働きがいも経済成長も)
ゴール9(産業と技術革新の基礎をつくろう)
ゴール17(パートナーシップで目標を達成しよう)
・今後の事業実施
スケジュール
(予定)
・国名
(対象地域)
インド共和国(インド全域のうち実施機関と合意した州・地域)
・事業目的
本事業は、森林・生物多様性保全を通じた気候変動対策に関して、研究・事業開発(パイロットプロジェクト)・研修体制整備を行うことで、森林行政官の政策実施能力の強化を図り、もってインドの持続可能な開発に寄与するもの。
・事業内容
ア)研究(実施機関である環境森林気候変動省傘下の研究機関による森林・生物多様性保全や気候変動対策に係る研究活動。)
イ)事業開発(パイロットプロジェクト)(州政府森林局による森林・生物多様性保全や気候変動対策に取り組む事業の試行。)
ウ)研修体制整備(国立・州立の森林官研修機関や州政府森林局による森林・生物多様性保全や気候変動対策に係る研修体制の強化。)
エ)組織体制強化(上記ア)~ウ)に係る環境森林気候変動省、研究機関、州政府森林局等の事業実施能力の強化。)
オ)コンサルティング・サービス(実施監理等)
・借款金額(上限)
82億8,000万円
・金利本体:2.25% コンサルティング・サービス0.55%
・償還期間
30年(うち据置10年)
・調達条件
一般アンタイド
・実施機関
環境森林気候変動省
・
SDGs
達成への貢献
ゴール13(気候変動に具体的な対策を)
ゴール15(陸の豊かさも守ろう)
・今後の事業実施
スケジュール
(予定)
・国名
(対象地域)
インド共和国(タミル・ナド州チェンナイ都市圏)
・事業目的
本事業は、タミル・ナド州チェンナイ都市圏において、海水の淡水化施設及び送水・配水施設の建設・改善を行うことにより、安全かつ安定的な上水道サービスの向上を図り、もって地域住民の生活環境の改善及び投資環境改善に寄与するもの。
・事業内容
ア)海水淡水化プラント(生産水量400MLD)の建設
イ)送水ポンプ場・配水池の建設
ウ)送水管の敷設
エ)チェンナイ市内配水管網の増強・新設、給水装置(メーター含む)の設置・更新等
オ)外部電源供給ラインの敷設
カ)コンサルティング・サービス(概略設計、詳細設計、入札補助、施工監理、経営改善支援、住民啓発活動支援等)
・借款金額(上限)
525億5,600万円
・金利
本体:2.45% コンサルティング・サービス0.55%
・償還期間
30年(うち据置10年)
・調達条件
一般アンタイド
・実施機関
チェンナイ都市圏上下水道公社
・
SDGs
達成への貢献
ゴール6(安全な水とトイレを世界中に)
・今後の事業実施
スケジュール
(予定)
・国名
(対象地域)
インド共和国(デリー首都圏)
・事業目的
本事業は、インドのデリー首都圏において、大量高速輸送システムを建設することにより、増加する輸送需要への対応を図り、もって交通混雑の緩和と自動車公害減少を通じた地域経済の発展及び都市環境の改善ひいては気候変動の緩和に寄与するもの。
・事業内容
本事業は、デリー首都圏における都市高速輸送システム建設計画の第4次計画と位置付けられている区間のうち、フェーズ1及び2で建設した1号線・5号線の延伸、また、11号線の新設を行うとともに、車両等を調達するものである。
ア)地下鉄道(約11km)、高架/地上鉄道(約36km)、地下駅(9駅)、地上駅(1駅)、高架駅(29駅)の土木工事
イ)電気・通信・信号システム・駅部設備工事・新設車両基地工事・車両基地拡張工事・自動運賃収受システム等
ウ)車両調達(178両)
エ)コンサルティング・サービス(設計レビュー・施工監理支援等)
うち円借款対象部分は、ア)イ)ウ)の一部、及びエ)である。
・借款金額(上限)
797億2,600万円
・金利
本体:TORF+90bp コンサルティング・サービス0.55%
・償還期間
30年(うち据置10年)
・調達条件
一般アンタイド
・実施機関
デリーメトロ公社
・
SDGs
達成への貢献
ゴール8(働きがいも経済成長も)
ゴール9(産業と技術革新の基礎をつくろう)
ゴール11(住み続けられるまちづくりを)
ゴール13(気候変動に具体的な対策を)
・今後の事業実施
スケジュール
(予定)
・国名
(対象地域)
インド共和国(アッサム州Barpeta県、Nalbari県、Kamrup県、Nagaon県、Morigaon県、Lakhimpur県、Cachar県、Karimganj県)
・事業目的
本事業はアッサム州において、養殖業の促進、水産サプライチェーン構築支援、州水産局の能力強化等を実施することにより、養殖業の生産量増加及び水産関係者の生計向上を図り、もって同州の社会経済発展に寄与するもの。
・事業内容
ア)養殖業の生産性向上支援(給餌養殖業の推進(種苗や飼料の供給等)、種苗生産支援(種苗生産施設における中央政府認証の取得支援、生産者団体組織化、大型魚種の稚魚の供給等)、養殖対象魚種の多様化、研究等)
イ)水産サプライチェーン構築支援(養殖資機材や技術的サポートを担う販売店の整備、地方レベルの魚市場の整備、民間企業連携促進(ビジネスセミナーの開催、技術を有する民間企業の実証事業)等)
ウ)生計手段の多様化支援(ブルーツーリズム推進支援(養殖と組み合わせたインフラ整備等)、養殖分野の起業家支援等)
エ)州水産局・養殖家関係者の能力強化支援(インフラ整備(研究施設・研修施設等)、水産局のDX推進支援、養殖関係者向けの研修等)
オ)事業運営体制の構築及びモニタリング・評価(Project Management Unit(PMU)の体制構築、PMUの能力強化(研修、機材供与等)、モニタリング・評価)
カ)コンサルティング・サービス(詳細設計支援、入札補助、施工監理、能力強化支援、実施機関のDX化支援、環境社会配慮支援等)
・借款金額(上限)
35億8,000万円
・金利
本体:1.70% コンサルティング・サービス0.55%
・償還期間 15年(うち据置5年)
・調達条件
一般アンタイド
・実施機関
アッサム州水産局
・
SDGs
達成への貢献
ゴール 1(貧困をなくそう)
ゴール 2(飢餓をゼロに)
ゴール 8(働きがいも経済成長も)
・今後の事業実施
スケジュール
(予定)
・国名
(対象地域)
インド共和国(パンジャブ州)
・事業目的
本事業はパンジャブ州において、樹木被覆率の向上、生物多様性保全、湿地管理、生計向上活動、森林局の組織基盤の強化等を実施することにより、生態系サービスの改善や気候変動対策(適応策・緩和策)の推進を図り、もって同州の持続可能な社会経済発展に寄与するもの。
・事業内容
パンジャブ州の北部山岳地帯、中央・東部沖積地帯、西部半乾燥地帯(以下、「当該 3地帯」という。)においてそれぞれの地域の特性を踏まえて、以下の活動を行う。
ア)農家林業等の森林地外植林を通じた樹木被覆の拡大(農家林業組合の設立、植林の実施支援、炭素クレジットの創出支援、オンライン木材取引プラットフォーム開発等)
イ)生物多様性の保全及び湿地管理(野生生物の生息地の改善、動物公園の整備・修繕、湿地管理、人間と野生生物の軋轢対策、エコツーリズム促進等)
ウ)水土保全及び生計向上活動(流域管理活動、地域住民と連携した非木材林産物のマーケティング支援等)
エ)森林局の組織基盤強化(森林・野生生物に関する研究、人材育成・研修、地理情報システム等の IT ツールの改善、モニタリングと評価等)
オ)コンサルティング・サービス(実施監理等)
・借款金額(上限)
114億8,000万円
・金利
本体:2.25% コンサルティング・サービス0.55%
・償還期間
30年(うち据置10年)
・調達条件
一般アンタイド
・実施機関
パンジャブ州森林・野生動物局
・
SDGs
達成への貢献
ゴール 1(貧困をなくそう)
ゴール 5(ジェンダー平等を実現しよう)
ゴール 13(気候変動に具体的な対策を)
ゴール 15(陸の豊かさも守ろう)
・今後の事業実施
スケジュール
(予定)
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