2025年度「地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)」 新規採択案件の決定について
2025.04.17
国際協力機構(JICA)は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)及び国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)による選考結果を踏まえ、地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS:Science and Technology Research Partnership for Sustainable Development、サトレップス) における環境、カーボンニュートラル、生物資源、防災及び感染症領域の2025年度新規採択案件について、以下の12件を条件付き注1)にて決定しました。今後、相手国との実施に向けた協議を行い、内容について合意した上で案件実施となります。
SATREPSは、外務省と文部科学省の支援のもと、科学技術外交の強化を目的として、JICA、JST及びAMEDが連携して実施するプログラムです。地球規模課題を対象とし、開発途上国のニーズを基に国際共同研究の成果の社会実装を推進します。本プログラムの目的は、科学技術水準の向上につながる新たな知見や技術を獲得することや、これらを通じた地球規模課題の解決やイノベーションの創出です。また、そのプログラムによる国際共同研究を通じて、開発途上国の自立的研究開発能力の向上と、持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)などの課題解決を目指していけるよう、持続的な活動体制の構築を図ります。
JICAは、複雑に絡み合った開発課題の解決に向けて、2023年6月に改定された開発協力大綱に記載のとおり、 共通の目標の下で様々な主体がその強みを持ち寄り、対話と協働によって解決策を共に創り出していく「共創」を重視します。その観点から、大学・研究機関等との連帯を強化していくことにより、開発課題への新しい解決策を模索するだけでなく、開発途上国と我が国の学生・研究者の交流・共同研究による国際頭脳循環の促進や、双方の科学技術力の向上等といった開発インパクトの最大化を追求します。
領域 | 国名 | 案件 名 |
日本側研究代表機関機関
研究代表者 |
主要相手国
研究機関 |
環境 |
スリランカ 民主社会主義共和国 |
時空間水環境データの創造とデータ駆動型水質改善の実施 | 東北大学 風間 聡 |
中央環境庁 |
モンゴル国 | 気候変動と人間活動に対する草原とゴビ砂漠のエコシステムレジリエンスを評価する統合モデリングのためのデジタルネットワークプラットフォームの開発 | 山口大学 長井 正彦 |
モンゴル科学院 数学デジタル技術研究所 | |
バングラデシュ人民共和国 | ダッカ首都圏における薬剤耐性菌による健康リスク軽減のための水質モニタリングと浄化技術の導入 | 愛媛大学 渡辺 幸三 |
ダッカ大学 | |
カーボンニュートラル |
タイ王国 | 沿岸生態系における水熱バイオリファイナリーの構築による地域BCG経済とカーボンニュートラルの実現に向けて | 熊本大学 木田 徹也 |
チュラロンコン大学 |
カンボジア王国 | 地雷撤去地域の農業を復興するルーメンハイブリッド型メタン発酵システムおよび新規選択的CO2吸着技術による電力・有機肥料生産 | 石川県立大学馬場 保徳 | 経営経済大学 | |
生物資源 |
パラグアイ共和国 | 総合防除によるコムギいもち病の鎮圧 | 神戸大学 池田 健一 |
アスンシオン大学 |
ウガンダ共和国 | 水稲の再生力を活用した多回収穫稲作技術体系の開発 | 鹿児島大学 坂上 潤一 |
国立農業研究機構 | |
ソロモン諸島 | 食糧の安定的増産を実現する包括的サツマイモ種苗管理システムの実装 | 東京大学 前島 健作 |
農業畜産省 農業研究開発部門 | |
防災 |
バングラデシュ人民共和国 | バングラデシュ北東部ハオール域の高精度洪水予測システムの共創と実装 | 香川大学 寺尾 徹 |
ダッカ大学 |
ベトナム社会主義共和国 | 広域・高精度土砂災害シミュレータを活用した早期警戒システムのデジタル化と対策工の費用対効果の可視化 | 群馬大学 若井 明彦 |
トゥイロイ大学 | |
感染症 |
エクアドル 共和国 |
リーシュマニア症およびシャーガス病の感染・病態リスク評価系の構築 | 自治医科大学 加藤 大智 |
国立エクアドル中央大学 |
モンゴル国 | モンゴルに蔓延するD型肝炎ウイルス感染の制圧に向けた研究開発 | 徳島大学 駒 貴明 |
モンゴル国立医科大学 日本モンゴル教育病院 モンゴル国立感染症センター モンゴル国立病理センター |
注1)条件付き
今後、外務省による相手国政府との実施に係る国際約束の締結、それに続くJICAによる相手国関係機関との実務協議を経た後、研究課題ごとに共同研究を開始します。相手国関係機関との実務協議の結果や相手国情勢の変化などによっては、新規採択研究課題の取り消しも含め内容が変更となる可能性もあるため、現時点では「条件付き」での採択としています。
※領域内における案件の並びは、研究代表者名の50音順です。
上記案件の概要は、以下のPDF文書をご参照ください。
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