田中理事長がブータン王国、バングラデシュ人民共和国を訪問
2026.07.10
田中明彦JICA理事長は、6月27日から7月6日にかけてブータン王国、バングラデシュ人民共和国の二か国を訪問しました。現地では、ブータン国王、両国首相との面談に加え、両国要人との意見交換や、国交40周年となるブータン王国での王立感染症センター(RCID)竣工式典への出席、および7月2日に執り行われたダッカ襲撃テロ事件の慰霊式典に出席したほか、JICAの協力事業の視察などを通じて、これまでの協力の成果を確認するとともに、両国の今後の発展に向けた課題や展望について意見を交わしました。
【ブータン王国】
田中明彦JICA理事長は、6月28日、ティンプー県において、我が国の無償資金協力により整備された王立感染症センター(Royal Centre for Infectious Diseases: RCID)の竣工式に出席しました。
RCIDはブータン初の感染症専門病院として整備され、感染症の診断・治療体制の強化と人材育成拠点となることが期待されます。病院の整備にあたっては、日本の病院建設や運用に係る技術や知見が大いに活かされており、また日本製医療機材も活用されます。JICAは、本事業を通じて、ブータンにおける感染症対策の強化と医療体制の向上へ貢献していきます。
王立感染症センター竣工式にて式辞を述べる田中理事長
また、田中理事長は同国滞在中、王立ブータン大学での講義に加え、ジグミ・シンゲ・ワンチュク第4代国王及びジグミ・ケサル・ナムギャル・ワンチュク第5代国王、ツェリン・トブゲー首相をはじめとする政府要人との面談を行いました。いずれの面談においても日本国民からの支援について感謝の意が述べられるとともに、同国の抱える課題とその対策についての議論がなされ、また同国の持続的発展に向けた協力の日本・ブータン両国にとっての重要性を再認識するとともに、引き続き両国のパートナーシップを深めていくことを確認しました。
ブータンは、40年前の外交関係樹立以前から、海外技術協力事業団(現JICA)の農業専門家として現地に派遣された西岡京治氏がその功績によりブータン国王から「ダショー」(最高に優れた人の意)の称号を授けられ、「ダショー・ニシオカ」として親しまれるなど、幅広い交流を通じ、日本人が大変高く評価され尊敬されている国です。
ツェリン・トブゲー首相との面談後の様子
王立ブータン大学で講義をする田中理事長
【バングラデシュ人民共和国】
つづいて、田中理事長はバングラデシュの首都ダッカにて、2016年7月のダッカ襲撃テロ事件で亡くなられた7名の日本人の方々(ダッカ都市交通整備事業協力準備調査に従事)を追悼する慰霊式典に参加しました。
慰霊式典は7月2日、島田智明 外務大臣政務官、齋田伸一 駐バングラデシュ人民共和国日本国特命全権大使、モハメド・ジアウル・ホック バングラデシュ道路運輸・橋梁省路交通局次官、ムハンマド・アハサン・キブリア・シディキ バングラデシュ財務省経済関係局次官補、モハメド・ノレアラム バングラデシュ外務省東アジア・太平洋局局長、ムハンマド・シャウガトゥル・アラム バングラデシュダッカ都市交通会社総裁のほか、バングラデシュ・日本両国政府関係者等の出席のもと、円借款で建設されたダッカ都市鉄道6号線の車両基地内に設置された慰霊碑の前で執り行われました。テロ事件発生から10年の節目に当たり、田中理事長は式辞において、7名の方々を含む犠牲者の方々に哀悼の意を表するとともに、バングラデシュの発展に寄せた多大な貢献に敬意と感謝を示し、このような事件を二度と繰り返さないよう、安全重視の取り組みをより一層推進することを誓いました。
式辞を述べる田中理事長
2024年8月から続いていた暫定政権後、2026年2月の総選挙を経て新政権を発足されたタレク・ラーマン首相をはじめとする政府要人との会談では、長年にわたるJICAの協力に対する謝意が示されました。また、2026年6月に融資契約が締結された円借款「経済の強靱性向上・エネルギー供給安定化のための緊急支援借款」についても謝意が述べられました。同事業は、高市総理が2026年4月に発表した「POWERR Asia(パワー・アジア)(アジア地域におけるエネルギー強靱性の強化を目的とした取組)」における第1号円借款案件であり、新政権下における経済基盤の安定化とエネルギー安定供給強化等に資するものとして、両者はその意義を確認するとともに、ダッカメトロ、モヘシュカリ・マタバリ地域開発のための統合的インフラ開発イニシアティブ(MIDI)、バングラデシュ経済特区(BSEZ)等、様々な分野で実施中の事業の促進及び今後の協力可能性について意見交換を行いました。
コックスバザールでは、ロヒンギャ避難民キャンプを訪問し、バングラデシュ政府の避難民対応機関と意見交換を行うとともに、JICAが支援した生計向上の取り組みや、国連機関等による食料支援、保健医療、職業訓練等の人道支援の現場を視察しました。さらに、ホストコミュニティにおける支援として、漁業従事者を対象とした収入向上の取り組みも視察しました。また、建設中の同国初の深海港となるマタバリ港含むモヘシュカリ・マタバリ地域開発のための統合的インフラ開発イニシアティブ(Moheshkhali Matarbari Integrated Infrastructure Development Initiative: MIDI)の協力現場を訪問し、同事業が「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現に資するものとして、我が国にとっても重要な地域の連結性強化と産業発展の基盤形成に貢献している点を確認しました。ダッカ市内においては、都市交通改善に資するMRT6号線や新空港ターミナル等のインフラ関連施設を視察し、日本企業の参画も得つつ同国の持続的な経済成長を支える都市開発が進展している様子や、同国の成長が日本企業の現地進出を後押しつつあることを確認しました。
タレク・ラーマン首相ら政府要人との会談時の集合写真
FiLEPによる水産加工支援の現場視察の様子
JICAは今後も、ブータン、バングラデシュそれぞれの持続可能かつ公平な経済成長と包括的な開発に向けて協力を行っていきます。