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- スポーツと開発 身体と心が拓く、未来 mundi 2018年6月号
- 世界に広がるスポーツの取り組み
さまざまな事業を展開中!スポーツを通じた協力実施国は91カ国に。
JICAによる「スポーツと開発」への支援は、ボランティア事業、技術協力事業や研修員の受け入れなどさまざまなアプローチで実施されている。小・中学校で使用する教材や教員の指導書の開発、教員をはじめとする人材育成、スポーツを通じた平和促進、研修員の受け入れ(研修参加者の今を紹介)など、スポーツを通じた取り組みは世界中で行われている。
- 協力実施国
JICAがスポーツ(ゲームや遊び、レクリエーションなどの要素も含む)を通じた協力を行っている各地域の国の数。
- 運動会
JICAボランティア(対象職種は体育のほか小学校教育、青少年活動など)の協力による運動会の開催国数(調査期間2014年1月~2017年4月)
- 派遣人数
1965年に開始されたJICAボランティアの派遣累計人数(~2018年3月)
- 技術協力事業
草の根技術協力、技術協力プロジェクト、研修員の受け入れ、専門家派遣などを行う。
アジア地域
- 協力実施国
21カ国
- 運動会
9カ国
- JICAボランティア派遣人数
1,294人
- 技術協力事業
ラオス「障害者スポーツ普及促進プロジェクト」(障害者支援の最前線を紹介)、カンボジア「小学校体育科指導書作成支援プロジェクト」(ハート・オブ・ゴールドの想い)、など。
大洋州地域
- 協力実施国
10カ国
- 運動会
2カ国
- JICAボランティア派遣人数
235人
- 技術協力事業
ミクロネシア「減量・肥満予防プログラム」(肥満の増加という保健課題の解決に協力)、など。
中南米地域
- 協力実施国
23カ国
- 運動会
7カ国
- JICAボランティア派遣人数
1,325人
アフリカ地域
- 協力実施国
24カ国
- 運動会
12カ国
- JICAボランティア派遣人数
754人
- 技術協力事業、その他
南スーダン「スポーツを通じた平和促進」(全国スポーツ大会で平和を促進)、タンザニア「レディーズ ファースト」(女子陸上競技会でジェンダー平等を!)、など。
中東地域
- 協力実施国
6カ国
- 運動会
1カ国
- JICAボランティア派遣人数
425人
欧州地域
- 協力実施国
7カ国
- JICAボランティア派遣人数
145人
- 技術協力事業
ボスニア・ヘルツェゴビナ「スポーツ教育を通じた信頼醸成プロジェクト」(カリキュラム作成と組織強化を支援)、など。
知識を深めよう!キーワード「スポーツと開発」
スポーツを通じたJICAの国際協力は数多くの開発途上国で行われている。
その内容は、スポーツそのものの普及振興活動をはじめ、体育科教育改善、障害者・社会的弱者の社会参加の拡大、国や地域の平和促進など多岐にわたっている。
欧州発信の概念! Sports for All(スポーツ・フォー・オール)
スポーツは、才能や機会に恵まれた一部の人のためのものではなく、性別、年齢、貧富の差などを超えてすべての人々が享受すべき権利を持つという概念。さまざまなスポーツ政策の指針となっており、JICAでもスポーツを通じた国際協力の指針として、途上国の人々がより良い生活を目指せるよう実践している。
(欧州スポーツ評議会、UNESCO 体育・スポーツ国際憲章)
日本発信! SPORT FOR TOMORROW(SFT)
東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年までに、開発途上国をはじめとした100カ国1,000万人以上を対象に推進されるスポーツ国際貢献事業。日本政府が推進するムーブメント
(スポーツ・フォー・トゥモロー・コンソーシアム事務局)
JICAボランティア
開発途上国の国づくりに貢献する人材をJICAが派遣。
青年海外協力隊、シニア海外ボランティア、日系社会青年ボランティア、日系社会シニア・ボランティア、短期派遣など。
JICAは1965年の青年海外協力隊派遣開始当初から、スポーツによる国際協力をスタートさせていて、派遣人数は4,000人を超えている。
スポーツ分野別の派遣実績
・1965年からの累計 4,178人(2018年3月調べ)
スポーツ分野 | 割合 |
---|---|
体育 | 33% |
野球 | 13% |
柔道 | 11% |
バレーボール | 7% |
水泳 | 5% |
体操競技 | 4% |
卓球 | 4% |
その他 | 23% |
From セネガル
2018年2月23日、セネガル・ティエス市の公立小学校で「UNDOKAI」(運動会)が開催されました(注)。青空の下、児童たちが作った横断幕や絵が万国旗のように校庭を彩るなか、児童834人を含む1,000人以上の笑顔と歓声が満ちた1日になりました。観戦する子どもたちは目の前でくり広げられる種目に目を輝かせ、自分たちの種目が終われば勝ち負け関係なく満面の笑みをたたえて駆け寄ってきます。「この瞳の先に何を見て、何を感じとってくれたのかな」。この瞬間を先生とともに作り上げ、分かち合えたときの感動は言葉では語り尽くせません。この「UNDOKAI」は体育も図工も音楽もほとんど授業としては実施されていないセネガルで、先生にも子どもにもそういった教科を学ぶ価値、楽しさ、協力して何かを成し遂げることの大切さを学んでもらうために実施したものです。セネガルの将来を担う子どもたちの可能性を信じて、先生や後輩隊員とともに挑戦を続けます。
青年海外協力隊(セネガル・ティエス市)小学校教育 山本浩太郎さん
息吹から、世界の潮流へ!
世界ではスポーツを通じた開発を行うNGOも増えてきている。設立団体数は、1990年代後半以降は毎年10~20ずつ増えていき、2008年、2009年には50前後の団体が設立された。この時期は国連が「開発と平和のためのスポーツ」を提唱し「教育、健康、開発、平和を創造する手段としてのスポーツ」決議をしたときと重なっている。現在の登録団体数は500を超えている。Sports for Allは今やまさに、政府・民間での潮流となっているのだ。
「スポーツと開発」に取り組むNGO数(注)
情報提供:鈴木直文(一橋大学大学院社会学研究科)
(注)Sportanddev.org(スポーツと開発に関するパートナーシップを促進するための国際プラットフォーム)に登録された推定累計数
スポーツを通じた国際協力について教えてくれた人
- 広島大学大学院教育学研究科 健康スポーツ科学講座 教授 齊藤一彦さん
1993年、青年海外協力隊員としてシリアに赴任(職種:陸上競技)。帰国後、大学院に進学し、開発途上国の体育事情や体育・スポーツ分野を通じた国際協力のあり方に関する研究に着手する。現在、広島大学で教鞭をとるかたわら、スポーツ庁やJICA等の体育・スポーツの国際貢献プロジェクトにも関わっている。おもな著書『スポーツと国際協力-スポーツに秘められた豊かな可能性-』(大修館書店、2015年)など。
齊藤一彦さん
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