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私のなんとかしなきゃ! 草野満代 フリーアナウンサー

耳を傾け、目を開き、考えることで変わる世界の未来

以前、タンザニアで日本の協力事業を視察し、ビジネスにすべく奮闘していた住友化学のマラリア対策の蚊帳を知った。今では多くのアフリカ諸国で利用されている現状を知り、JICAの途上国との信頼関係や情報力によって、日本の支援が広がっていくことを確信したという。

以前、タンザニアで日本の協力事業を視察し、ビジネスにすべく奮闘していた住友化学のマラリア対策の蚊帳を知った。今では多くのアフリカ諸国で利用されている現状を知り、JICAの途上国との信頼関係や情報力によって、日本の支援が広がっていくことを確信したという。

昨今、マイクロプラスチックによる海洋汚染の問題が報道されています。その報道を見るたび、私たちはどれだけ、自分が使用するプラスチックの行方を意識して暮らしているだろうかと考えます。

JICA有識者派遣で、2006年にバングラデシュを訪れました。オフロードを車で5時間くらい行ったところにある、農業開発による生産強化や出荷調整を行う現場を訪問したり、首都を中心に行われていたビニール袋廃止への取り組みを視察したりしました。ビニール袋は現地の人たちにとっては有用である一方、排水溝には捨てられたビニール袋やごみがびっしりと詰まっていたのです。こういった途上国でもすでにプラスチックごみの問題への対策を始めていました。バングラデシュでのプラスチックごみ削減の活動は、ひとつの海でつながる地球にとってとても大きな意味を持っていたことを、マイクロプラスチックの問題が報道されるたび、身に染みて感じています。

また、フェアトレード製品を生産する現場も視察しました。フェアトレード製品は今でこそ広く知られていますが、当時は取り組みが始まったばかりでした。私たちが生産者を意識して購入することで、生産者へ相応の対価が支払われることとなり、それが現地の生産力の向上、ひいては環境に配慮した製品づくりへとつながっていきます。

報道に身を置き情報を得る中で感じているのは、途上国の課題や環境問題に対する人びとの無関心です。さまざまなゴシップと比べ、そういった報道への関心が低いのも現実です。日本で起こる洪水、台風や異常気象による被害も地球規模の現象です。途上国の課題を考えることは、地球のこれからを考えることであり、自分の明日を考えることと同じです。また同時に、課題解決のためには国単位ではなく地球単位で考え、国際社会におけるヨコの取り組みが重要であると感じています。

マイクロプラスチックの問題も、私たちが口にする魚への影響が出始めてからでは遅いのです。世界はつながっています。私たちが無意識に、無関心に暮らすことで、これからもさまざまな問題や地球への影響が表れてくるでしょう。日々の暮らしをふり返り、途上国の今にしっかりと耳を傾け、目を開き、「私が」何ができるかを考えることも、途上国の課題解決のためになると思っています。

プロフィール

くさのみつよ
1967年、岐阜県生まれ。津田塾大学学芸学部数学科卒業後、1989年に日本放送協会に入局し金沢放送局に勤務。その後は「NHKサンデースポーツ・サタデースポーツ」キャスター、「紅白歌合戦」総合司会などを経て1997年に退局。フリーアナウンサーとして「筑紫哲也NEWS23」キャスターや「輝く日本レコード大賞」司会などを務める。2009年、日本司法支援センター(法テラス)理事に就任。「なんとかしなきゃ!プロジェクト」のなんプロサポーターほか、国土交通省社会資本整備審議会委員、林野庁林政審議会委員などを務める。

なんとかしなきゃ!プロジェクト

「なんとかしなきゃ!プロジェクト」は、開発途上国の現状について知り、一人一人ができる国際協力を推進していく市民参加型プロジェクトです。ウェブサイトやSNSを通じて、さまざまな国際協力の情報を発信していきます。

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