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- JICA海外協力隊 いつか世界を変える力になる。 mundi 2019年1月号
- 特別授業 JICA海外協力隊を経て身につくもの
現地でさまざまな困難に直面するぶん、ひと回りもふた回りも成長して帰ってくるのが協力隊員。
現代社会が求めるフロンティア人材を育成する側面も担っている。
すべての経験が、成長の糧となる
「JICA海外協力隊事業は、人を育てるという大きな側面を持っています」と言うのは、青年海外協力隊事務局長の山本美香さん。広い視野を持って新しい価値を見出す力、協力者を増やしていくコミュニケーション力、実践する行動力などが培われるという。
「途上国のさまざまなリスクを考えながら活動を進めるため、多角的に物事を見ることや観察力も養われます。2年間で多様な力が着実に身についていきます」。現地での課題はあるものの、自分はそのために何ができるのかを考えることから始めなくてはいけない。「たった一人で異文化に入っていくのは大変です。相手の社会を理解し、適応していく中で、他者とつながり、自分自身の力で周囲の協力を得ていくことが必要になります」。
また、「すべての活動が順調に進むとはかぎりません。うまくいかず落ち込むこともあります。それまでにない孤独を感じる場面もあります。それらに耐えてやり抜くことができたとき、自分を乗り越える精神力が身につくように思います」と、山本さんは隊員だった経験をもとに語った。
フロンティア人材の資質と可能性
いま社会で求められているのは、海外、国内に関係なく、革新的なアプローチができるフロンティア人材だ。隊員は帰国後、国際機関や地方自治体(注1)、グローバル展開を目指す企業(注2、注3)などで活躍している。日本の地方自治体やビジネスの世界では、これまでにないサービスや商品をどのように形にし、成長させるかが重要になっていて、力を培った隊員は、異なる視点で課題を突破できるフロンティア人材として求められているのだ。
また、途上国での経験を生かして帰国後に起業し、活躍する元隊員もいる。「得られたものは」との問いに、「友人、今までつながることができなかった人とのつながり、社会が広がり人生が豊かになった」と回答する。アフリカにおける国際協力の日本人専門家の4割は元隊員で、活動経験とともに、さらに専門性を身につけて途上国の現場の最前線で活躍している。
青年海外協力隊事務局では、派遣前の訓練から、派遣中の支援、帰国後のキャリアパスまで一気通貫で対応する部署(人材育成課)を新設し、隊員をバックアップする。開発途上国のために自分の意思を持って協力隊に応募し合格した隊員は、さまざまな経験を経てより広い世界で活躍できる人材となる。「いつか世界を変える力となる。」気概を持って、隊員たちは今日も開発途上国の人々とともに活動を行っている。
応募の前に
語学力が不安です
英語以外の言葉を使用する派遣国が大半。事前の訓練では派遣国に応じて現在22か国語の授業が用意され、しっかりとしたサポート態勢が整っている。応募当初は、英語スキルがD判定の人もいるが、訓練所での学び後、コミュニケーションできるレベルまで上達する。
英語スキル目安(TOEICの場合)/A:730点以上、B:640点以上、C:500点以上、D:330点以上
応募時の英語レベル(2017春・秋+2018春)
- 応募時の英語レベル(2017春・秋+2018春)
英語レベル | 割合 |
---|---|
英語A | 22% |
英語B | 12% |
英語C | 26% |
英語D | 40% |
年齢に関係なく応募できますか
20歳から69歳までが対象となっている。世界に貢献したいと、これまでの社会経験を生かして応募する40代、50代、60代も多い。
参加者の年代(応募当初
年代 | 割合 |
---|---|
20代 | 52% |
30代 | 23% |
40代 | 4% |
50代 | 7% |
60代 | 14% |
帰国後のキャリアを教えてください
さまざまな職種とスキルを持つ人が応募し参加するJICA海外協力隊。帰国後は経験と身につけた力を生かし、多くの分野で活躍している。
2013年度応募者 派遣前の職種
職種 | 割合 |
---|---|
民間企業・団体 | 33% |
教員 | 6% |
公務員 | 8% |
学生 | 19% |
無職 | 10% |
その他 | 23% |
2016年度帰国者 帰国後の職種
職種 | 割合 |
---|---|
現職復帰 | 20% |
国際機関 | 1% |
起業 | 0.3% |
JICA関係 | 6% |
公務員 | 4% |
教員 | 7% |
民間企業・団体 | 28% |
進学 | 8% |
その他 | 25% |
山家友明(やんべ・ともあき)さん
過去:2010年1次隊/モザンビーク/村落開発普及員
現在:モリンガ・モザンビーク 代表取締役社長
- 協力隊時代に描いた起業の夢を実現
モザンビークで「モリンガ」の栽培と販売を手掛ける会社を2014年に現地パートナーと立ち上げました。「モリンガ」は栄養価が高く、美容によいとスーパーフードとして世界でも注目されている植物です。アフリカでは物事がなんでもゆっくり進むので、もどかしい気持ちになることも多いですが、農村の現金収入源になりうる作物として広げたいと思っています。いまは5名を雇用し、栽培と販売を行っています。「モリンガオイル」は、昨年から生産を始めたばかりなので年間200リットルほどの量ですが、近々日本への輸出も始める予定です。隊員時代に培った企画力とコミュニケーション力で「モリンガ」の市場をモザンビーク国内に作りたいと考えています。
左から山家さん、農業スタッフのペドロさん、現地パートナーのジュディッティさん。
活動で、どんなスキルが身につきますか?
協力隊を経て、「既存の枠組みにとらわれず、新しい試みを率先して実践するフロンティア人材」として成長する。
活動を通じて身につく力
活動を通じて身につく力
・【派遣前訓練】海外協力隊の理念の理解
- 現場感覚
- 語学力
- 使命感
- 多様性理解・適応力
- 危機管理意識
・【派遣中】実践スキル
- 突破力
- 革新力
- 実現力
- 交渉力
- 共創力
・【派遣中】資質
- 主体性
- 異文化適応能力
- 協調性
- リスクマネジメント能力
- コミュニケーション能力
教えてくれた人
青年海外協力隊事務局長 山本美香(やまもと・みか)さん
派遣先では、隊員の活動を 現地事務所がサポート するほか、 健康管理支援 や 安全対策 などを行っています。熱い想いとともにぜひご応募ください。
山本美香さん
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