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- 港湾・海上保安 自由で安全な海と港 mundi 2019年6月号
- 供与された多目的船で領海を守る 海上の保安:監視・取り締まりや海難救助の能力向上を図る フィリピン
マラッカ・シンガポール海峡をはじめ、国際物流に重要な海路が数多く存在するASEAN地域では安全で安心な海上路の発展を目指し海上保安能力向上を支える人材の育成が進んでいる。
・案件名:
フィリピン沿岸警備隊海上安全対応能力強化事業
フェーズ1(2013年12月~2018年1月)
フェーズ2(2016年10月~)
文:松井健太郎
日本から供与された40m級の多目的船。
専門知識の共有
武力ではなく、適正な法執行による海上保安を強化すべき─そんな機運が2000年代から東南アジアの国々に広まっている。「フィリピンもそうです」と話すのは、海上保安庁を退職後、JICA専門家としてフィリピン沿岸警備隊の教育研修に携わった石間聡孝さんだ。「フィリピン沿岸警備隊は1998年に海軍から独立しました。JICAは2002年以降、法執行や安全な航行、海難救助のための研修から教育システムの構築まで、能力の向上と人材育成に、継続的に協力しています」。
1990年代には4000人ほどだったフィリピン沿岸警備隊の隊員数も、今では1万人以上に増加。海上保安の現場に不可欠な多目的船も、円借款による支援で全長40メートル級10隻の配備を終え、さらに全長90メートル級2隻も建造中だ。「海上保安能力を高め、自国の島や油田、漁場を守り、海賊やテロ行為の取り締まりを強化したいという意志の表れでしょう。ただ、急増した新人隊員の教育訓練をどう充実させていくかは、今後の課題の一つです」と石間さんは話す。
JICAは新たに多目的船の運用や整備能力強化支援も予定している。日本の海上保安庁と連携し、供与された多目的船の安全航行や維持管理のための技術向上、それによるフィリピン近海の安全確保が期待される。
2017年11月、多目的船に搭載された高速ゴムボートの操舵訓練がマニラ湾で実施された。
取り締まり能力向上にも力を入れている。容疑船の捕捉訓練では2艘のゴムボートで相手を取り囲む。
フィリピン
国名:フィリピン共和国
首都:マニラ
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