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- 中東 深まる日本との絆 mundi 2020年2月号
- 積み重ねた実績が信頼を生む日本企業 イラク
・案件名:
ハルサ発電所改修事業(借款契約署名:2015年2月、2017年8月(フェーズ2))
改修後の初稼働ではイラク人も日本人も大きな拍手とともに沸いた。
地域一帯の電力供給を日本企業の手で
イラク南部の最大都市バスラには、1982年に日本の協力によって建てられたハルサ発電所がある。この地域一帯の電力供給をまかなう重要な施設で、運用や維持管理は日本人技術者から学んだイラク人技術者が行っていた。しかし湾岸戦争による損害を受けた後、老朽化も進み、経済制裁の影響による資材不足のためメンテナンスも十分でなく、発電能力が低下していた。この現状の解消にイラクは、2015年からJICAの協力を得て発電所内の四つの発電設備のうち4号機の改修を実施(2017年に終了)。現在は1号機の改修を進めている。
「4号機では建屋の屋台骨など残せそうなものは残しつつ、発電の要となる部品はほぼ交換しました。イラク人熔接士や機械工を日本に招いて技術トレーニングを行い、現地では保守・運転のための技術教育を行っています」と話すのは、プロジェクトを担当する三菱日立パワーシステムズの山口雅義さん。電力の安定供給のために導入した電子制御システムは、扱いやすいと現場でも好評だ。近隣の工科大学から学生の研修を受け入れ、日本の最新技術を学ぶ場も提供した。
作業中には税関や国内で大きな資材の運搬が足止めされることもあったが、その都度スタッフが一丸となって遅れを巻き返した。納期通りの完成にはイラク人関係者から多くの感謝の声が上がった。
そして今、4号機の改修で顔なじみになった人たちは1号機での作業に力を注いでいる。
2019年、イラクと日本は国交樹立80周年を迎えた。その間に多くの日本企業がイラクの発展に協力してきた。確かな実績の積み重ねが、強固な信頼を築き上げている。
【改修前】「改修前はまるでヤカンのように排ガスが漏れていた」と山口さん。発電能力は定格出力の50~60%にしか満たなかった。
【改修後】発電能力が定格出力の200メガワットに回復。日本の100万世帯分の電力に相当する。
三菱日立パワーシステムズ 長崎サービス部 山口雅義(やまぐち・まさよし)さん
2015年から改修事業を担当。「イラク電力省の関係者や現地職人とよく食事を一緒にし、コミュニケーションをとっています。フットサルやバスケットボールで一緒に汗を流すスタッフもいます」。長年、仕事をしてきたマフムード・アブドゥルラザック・イブラヒムさんと。
山口雅義さん(写真左)
コラム 進む!日本のインフラ整備
イラクは度重なる戦争、イスラム国(ISIL)の侵攻などにより、老朽化するインフラ施設の更新が進んでいない。
JICAは日本の技術を役立てる本邦技術活用条件(STEP)を適用した協力にも取り組んでいる。
バスラ製油所改修事業
・案件名:
バスラ製油所改修事業(借款契約署名:2012年10月(第一期)、2019年6月(第二期))
老朽化や戦災によって製油所の設備能力が低下し、産油国にもかかわらず石油製品を他国から輸入するイラク。南部のバスラ製油所の改修を行い、現代の環境基準に適合する高品質な国産石油製品を増産させ、経済復興を後押しする。
クルド地域下水処理施設建設事業(I)
・案件名:
クルド地域下水処理施設建設事業(I)(借款契約署名:2015年6月)
イラク北部クルド地域の中心都市であるエルビル市は、急激な都市化が進むが、下水処理場が依然として未整備。エルビル市の下水道システムを整備することにより、衛生環境の改善を図る。
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