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- 中東 深まる日本との絆 mundi 2020年2月号
- パワーあふれる若者たち 若く優秀な人材を育てる! エジプト
中東地域は若者が多い。
若者の力による将来の発展に期待がかかるが、教育水準の向上、産業の多角化、就業機会の拡充が必要だ。
JICAはさまざまな取り組みを通じて、新しい世代の活躍を後押ししている。
若者たちの力を社会で生かすために、エジプトの技術高校と企業が連携した人材育成が行われている。
文:光石達哉 写真:阿部雄介
・案件名:
技術教育改善プロジェクト(2017年4月~2020年12月)
ユニ・チャーム エジプト工場のみなさん。左の2人が実習生のロマニー・シャクリさんとハテム・モハメッドさん。右端は工場長の三宅修さん。
即戦力 技術高校×企業
日本の工業高校にあたるエジプトの技術高校では、卒業生の失業率が高い(2017年は42.7パーセント)。授業が座学中心で実習の機会が少なく、時間厳守などの規律を守れない生徒も多く、せっかく就職しても即戦力にならないことが高い失業率の原因と考えられていた。
そこでJICAは実習、安全管理、整理・整頓・清掃などを重視した日本式教育を導入するための技術協力プロジェクトを2017年にスタート。その一環として、企業への実習生の派遣を通じて、技術高校と受け入れ企業の連携強化を行っている。
日本企業での実習
オブール技術高校×ユニ・チャーム
紙おむつなどの衛生用品を製造・販売する日本企業ユニ・チャームは、2013年からエジプトで工場を運営。約600人の従業員のほぼすべてがエジプト人で、近隣のオブール技術高校からの実習生47人も受け入れている。彼らは週のうち2~3日は学校で学び、残りを工場で働いて給料も受け取る。
工場長の三宅修さんは「以前は離職率が高く、時間管理や掃除など基本的な行動やモラルがなかなか定着しませんでした。やはり若い世代への教育が必要だと思い、実習生の受け入れを始めました。実習生は非常にやる気があり、優秀です」と語る。実習生のハテム・モハメッドさんは「最初は朝早い始業や制服に戸惑いはあったけど、それがベストなやり方だと理解しました。学校で学んだことが工場ですぐに実践できるので、知識が100パーセント身につきます」と目を輝かせる。
ユニ・チャームのエジプト工場。中東地域ではサウジアラビアについで2番目の進出となる。
どん欲に取り組む
エルアラビ技術高校×エルアラビ
東芝やシャープなど世界の14社と提携して製造を請け負う大手家電メーカー、エルアラビは、2018年11月に自社工場の敷地内にこのプロジェクトの下、エルアラビ技術高校を新設。現在、約300人の生徒たちが同校で学びながら工場で働いている。JICA専門家の宮本滋さんは工業高校の元教師で、現在はこの技術学校で教員への研修を担当。「生徒も先生もどん欲に知識を吸収しようという姿勢が見られます」と熱気を肌で感じている。
産業の礎(いしずえ)となる人材を育むプロジェクトが、現地で活躍する日本企業やエジプト経済の成長を後押しする原動力となりつつある。
JICAの協力で、エルアラビ社の敷地内に新設されたエルアラビ技術高校。
エルアラビ技術高校の機械科の授業。実習時間が多いのが特徴だ。奥はJICA専門家の宮本滋さん。
技術高校の生徒たちは週に2日、工場で実習生として働く。「学んだことがすぐに実践できる」と好評。
東芝の洗濯機の製造ラインで働く技術高校の生徒たち。
エルアラビCEO兼会長 モハメッド・エルアラビさん
日本式教育で生徒たちは規律を学び、人格も形成され、彼らの家族にもいい影響を与えています。私たちの誇りです。別の工場の敷地でも今の2倍の規模の新しい技術高校をつくろうと計画しています。
モハメッド・エルアラビさん
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