ブラジル×日本 -新型コロナウイルス対策強化に向けて症例報告会を開催-

掲載日:2020.06.03

イベント |

概要

会議名:第1回日伯合同新型コロナウィルス症例報告会
開催日:2020年6月3日
主催:千葉大学医学部附属病院・国立国際医療研究センター(NCGM)・カンピーナス州立大学(UNICAMP)・国際協力機構(JICA)
場所:オンラインシステムを活用

主な参加者

ブラジル:UNICAMP付属病院の医療従事者
日本:国立国際医療研究センター・国際感染症センター、千葉大学医学部附属病院感染症内科・集中治療部及び真菌医学研究センターの医療従事者

背景・目的

  • ブラジルにおける新型コロナウイルス感染者数は50万人を超え、米国に次いで世界2位の感染者数となり、緊急的な対応が求められています。
  • JICAは日本医療研究開発機構(AMED)との連携により、2017年より地球規模課題対応国際科学技術協力(SATREPS)「ブラジルと日本の薬剤耐性を含む真菌感染症診断に関する研究とリファレンス協力体制強化プロジェクト」を実施しています。
  • このSATREPSプロジェクト実施機関である千葉大学、UNICAMP及びJICA専門家が中心となり、新型コロナウイルス感染症の緊急対応案が議論されました。
  • 結果として、国立国際医療研究センター、千葉大学、UNICAMPが国際臨床研究チームを発足し、日本及びブラジルの医療従事者による、新型コロナウイルスの最新症例や院内感染防止策等の知見を共有するための症例報告会が開催されました。

内容

この症例報告会に、ブラジルからは、国内最多の感染者数を抱えるサンパウロ州の特定機能病院である、UNICAMP付属病院の医療従事者13名が参加しました。日本からは、国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長、石金正裕医師、奥濱絢子医師等、千葉大学医学部附属病院の猪狩英俊感染制御部長、同集中治療部安部隆三部長、千葉大学真菌医学研究センターの渡辺哲准教授など、合計12名が参加しました。

冒頭、ルイーザUNICAMP教授から、この症例報告会の設立経緯について説明があり、広がり続ける新型コロナウイルス感染症を封じ込めるには国際社会の結束が必要とされるなか、二国間の医療現場の最前線に立つ医療従事者がタッグを組むことの重要性が強調されました。

新型コロナウイルス感染症の治療法が確立されていない中、各国の医療現場では懸命な努力が続いています。重症化の仕組みが解明されていない部分が多く、症例によって様々な病態を示すことから、日本とブラジル各国より重症症例が1例ずつ報告されました。重症化リスクが高いだけでなく、院内感染を誘発する恐れのある両国の人工透析患者の重症例を中心に、活発な議論が行われました。

  • ルイーザ教授の感想:「いまブラジルの医療現場は、急増する患者を前にして医療物資だけでなく人員もひっ迫する厳しい状況が続いています。そんな中、異なる現場で日々治療にあたる医療従事者が、手を取り合うことほど診療技術の向上に有益で勇気づけられる取り組みはないと思いました。自国が大変な時に、こうした貴重な機会を提供し、手を差し伸べてくれた日本のみなさんに、感謝の気持ちでいっぱいです」
  • 症例を発表した奥濱絢子医師(国立国際医療研究センター)の感想:
    「日本の中でも病院によって全く異なるプラクティスがあり、また国を超えても抱える問題は同じなのだと認識しました。今後も引き続き互いの知識と経験を持ち寄り、共有することで、互いの問題を解決し、より良い医療に繋げていくことができれば良いと感じました」

今回の報告会を機に、今後も合同症例報告会が開催され、ブラジル及び日本における新型コロナウイルス対策強化に貢献することが期待されています。

【画像】

症例報告会の様子