ドミニカ共和国で持続可能な観光開発をテーマにJICA帰国研修員がオンラインセミナーを開催

掲載日:2021.01.27

イベント |

概要

会議名:JICA帰国研修員による持続可能な観光開発オンラインセミナー(ドミニカ共和国)
開催日:2021年1月27日
主催:「北部地域における持続的なコミュニティを基礎とした観光開発のためのメカニズム強化プロジェクト」、JICAドミニカ共和国事務所
場所:オンライン(Zoom)

主な参加者

経済企画開発省(MEPyD)副大臣、JICA帰国研修員同窓会(ADEJA)、JICAラテンアメリカ帰国研修員同窓会連合(FELACBEJA)、JICAドミニカ共和国事務所長、プロジェクト関係者、他約50人

背景・目的

ドミニカ共和国では、1980年代から外資による大型ビーチリゾート開発を積極的に実施してきました。しかし、この手法では、周辺地域の自然・文化資源が適切に利用されず、地域住民が利益を得る機会が非常に限られてしまうこととなりました。同状況を改善するため、JICAの技術協力により、地域性を活かして観光振興を図るためのベースが構築されました。同取り組みの一つとして、持続可能な観光開発をテーマに、これまで日本で研修を受けたドミニカ人が15年間で180人以上に上ります。これら研修員は公的機関、民間、コミュニティグループ等様々なセクターで活躍し、研修で学んだ知見を活かし、同国の観光開発、エコツーリズム、中小企業開発等様々な分野で活動しています。本セミナーは、帰国研修員4名が日本で学んだ知識を活用した実践事例を報告し、同分野で活動する関係者と今後の同国における持続可能な観光開発の活性化を議論することを目的として開催しました。

内容

同セミナーでは、4名の帰国研修員により日本で学んだことを活用した活動地域における実践事例について報告が行われました。

南西部に位置するバラオナ県のNGOで活動するジェセニア・サウドさんは2008年にJICA課題別研修「熱帯・亜熱帯地域におけるエコツーリズム企画・運営」に参加しました。観光未開発の地域にある地元資源を活かし、エコツーリズムやアグロツーリズムを通じて現地の活性化を目指しています。

カリブ最大級の観光地として有名なプンタカナがあるベロン市役所に勤務するフアン・カルロス・サンチェス・ビジャさんは2008年にJICA課題別研修「市民社会活動の促進とコミュニティ開発」に参加しました。研修では地元の人が主体となって、地域外の人の視点や助言を得ながら客観的に地元のことを知り、その地域独自の生活や文化をつくり上げていく「地元学」という考え方を学び、現在はリゾート周辺の隠れた自然資源や地元の教会、近郊のカカオ農家等を観光ルートに取り入れています。

北東部のサマナ県のNGOで活動するラケル・サンボイさんは2019年の国別研修「コミュニティが主体となった持続的な観光地域づくりのための能力強化」に参加し、金沢の体験型観光を学びました。その経験を活かし、地元ラス・ガレラスで自然豊かな散策ルートに加え、コミュニティや住民とふれあいを取り込んで、唯一無二の体験型観光を提供しています。

2017年に国別研修「コミュニティが主体となった持続的な観光地域づくりのための能力強化」に参加したソラヤ・マルガリータ・ロドリゲスさんはモンテクリスティ市のコミュニティグループのリーダーを務めています。日本でコミュニティに密着した観光を学んだソラヤさんは、現地に戻ってから、地元の若者を集め観光ガイドグループを組織しました。バードウォッチングやマングローブツアーを提供し、コミュニティの経済活性化を目指した取り組みを行っています。

同セミナーでは日本で学んだ知識をもとに、異なる地域のコミュニティで活躍する帰国研修員が既存の地元資源を再発見し、コミュニティを巻き込みながら、持続可能なコミュニティ観光に取り組んでいる様子が報告されました。

今回のセミナーをきっかけに、帰国研修員でもある観光セクターのプロフェショナルによるネットワークを強化していくことが彼ら自身により宣言されました。本年3月にJICA技術協力プロジェクトの枠組みの中でプロフェショナル向けのオンライン研修を開催予定であり、今回セミナーに参加した人たちにも積極的な参加が呼びかけられました。

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発表者の帰国研修員4名の活動地

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オンラインセミナー参加者

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バードウォッチング@モンテクリスティ

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コーヒー農園ツアー@バラオナ

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エコツーリズム@バラオナ