エルサルバドル帰国研修員がコロナ禍での固形廃棄物管理についてセミナーを開催

掲載日:2021.03.02

イベント |

概要

会議名:帰国研修員によるパンデミック下の都市固形廃棄物管理セミナー
開催日:2021年3月2日
主催:ラ・ウニオン県北部自治体連合(ASINORLU)、JICAエルサルバドル事務所共催
場所:エルサルバドル国サンミゲル市(中南米地域及びスペイン各国とオンライン接続)

主な参加者

ASINORLU代表(JICA帰国研修員)、廃棄物管理・環境技術協会会長、自治体連携廃棄物管理システム代表、環境省及び東部地域4県16市の自治体の担当者、他約50名

(注)エクアドル、ホンジュラス、スペイン、メキシコからオンライン参加

背景・目的

エルサルバドル国内の自治体連合のひとつであるASINORLUは、2005年11月から2009年3月までの間、JICAと協働して「地方自治体廃棄物総合管理プロジェクト」を実施し、増大する廃棄物の総合的管理能力を強化すべく、廃棄物の収集、最終処分場の改善、環境教育などに取り組みました。この取り組みによりラ・ウニオン県北部地域はエルサルバドル国内において廃棄物管理のモデル地域と広く認知され、さらに広域セミナー開催等を通じて中南米地域の域内協力の展開にも大きく貢献しました。

プロジェクト終了後もASINORLUを中心に各自治体が協力して、持続的な廃棄物総合管理に取り組んでおり、JICAもフォローアップ協力や海外協力隊の派遣などを通じて支援を行っています。

本セミナーは「新型コロナウイルス感染拡大の局面における都市部の固形廃棄物の管理方法」について、その経験を東部地域4県の自治体間で共有し、コロナ禍での有効な方策について意見交換を行うことを目的に開催されました。また、中南米地域の帰国研修員ネットワーク及びスペインの廃棄物管理・環境技術協会(ATEGRUS)の支援を得て、スペイン、エクアドル、ホンジュラス及びメキシコからも関係者がオンラインで参加し、廃棄物分野の帰国研修員のネットワークを活かした、地域の知見を共有する機会ともなりました。

内容

午前のセッションでは、エクアドル、ホンジュラス、スペイン、メキシコ各国から、廃棄物の収集や最終処分を含む廃棄物管理のプロセスにおいて、従事者の感染予防に有効な具体的方策について共有がなされ、実際の運用状況や運用上の留意点、感染拡大下の廃棄物管理に係る法律の整備、廃棄物処理に従事する労働者の保護の体制等について意見交換が行われました。

具体的方策の例

1)マスク、ゴーグル、フェイスガード、手袋、安全な靴の着用、2)感染予防を念頭に置いた廃棄物収集プロトコルの策定、3)感染者のいる家庭での廃棄物の分別処理等を記した住民啓発用のガイドブックの作成、4)家庭用ゴミの中に含まれるマスク等の処分時の注意喚起、5)医療廃棄物処分の際の注意事項の徹底

午後のセッションでは、ASINORLUが最終処分場で業務に従事している職員を紹介したあとに、1)新型コロナウイルスの感染が拡大する前の最終処分場の業務状況、2)外出禁止令発令下の業務体制、3)感染症対策に関する戦略策定、4)職員へのマスク等の配布・PCR検査の実施、5)感染リスクを低減する作業手順の策定・実施について説明し、感染者数の抑制を図りつつ最終処分場の機能を維持したことが報告されました。ASINORLUからは、感染症対策プロトコルではなく緊急時対応プロトコルの策定、より効率的・機能的かつ安全な作業手順の確立、職員のモチベーションの維持の重要性が指摘されました。

その後参加者間で、自治体と民間企業との連携や法整備の必要性、最終処分場までの廃棄物収集ルートや時間帯の設定等について活発な意見交換がなされました。また、他国の参加者からはASINORLUの運営する最終処分場の視察について要望が出されるなど、域内の協力体制への展開も伺え、コロナ禍で閉塞感のある状況のなかで非常に貴重な機会となりました。ASINORLUや関係者による、「適格な状況判断に基づく迅速な対応」と「職員やその家族を守るという強い意志」がコロナ感染の拡大が続く状況下においても事業の継続と感染抑止を実現した要因であると感じます。これは分野や地域を問わずwith/postコロナの時代に事業の根幹となる姿勢であるように思います。

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ASINORLUゲレロ代表のプレゼン

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修了証書授与

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住民啓発用ガイドブック