中南米最古の大学の一つ、メキシコ国立自治大学(UNAM)のアジア・アフリカ研究プログラム(PUEAA)にてJICAチェアの開講

掲載日:2021.10.06

イベント |

概要

2021年9月28日、16世紀に創立された中南米最古の大学の一つであり、学生数40万人を誇るメキシコ国立自治大学(UNAM)のアジア・アフリカ研究プログラム(PUEAA)にて、日本研究講座(JICAチェア)が開講されました。
本講座は、JICAと放送大学が共同で制作したDVD教材「日本の近代化を知る7章」を参加する学生たちが事前視聴し、講義当日は日本人講師とUNAMの人選によるメキシコ人講師が回答、議論する形式となっています。本講座への登録者は400名を超え、第1章「明治維新:日本近代化の原点」の講師であるJICA北岡伸一理事長をはじめ、政策研究大学院大学田中学長、国際大学伊丹学長、JICA萱島シニア・リサーチアドバイザーらが登壇いたします。

今回の講義を通じて、メキシコの多くの学生が400年以上にわたる太平洋を跨いだ日本とメキシコの深い繋がりを知り、また、日本が歩んだ近代化の歴史と欧米とは異なる開発協力のアプローチへの理解を深めることが期待されます。

開催日:2021年9月28日~2021年11月23日(日本時間)
主催:メキシコ国立自治大学、メキシコ国際開発協力庁(AMEXCID)、メキシコ帰国研修員同窓会(AMEJ)、JICA
場所:オンライン

主な参加者

メキシコ国立自治大学学生、教員、関係者、JICA関係者など

背景・目的

JICAは、開発途上国の各分野で将来のリーダーとなる人材を育成すべく、本邦の大学と連携し、2018年から「JICA開発大学院連携プログラム」を実施しています。この一環として海外のトップクラスの大学等を対象に、日本の開発経験を学ぶ機会を国外にも広げることを目的とした「日本研究」の講座設立支援を行うプログラム「JICAチェア」を開始しました。

メキシコでは、2018年11月に国際開発協力庁(AMEXCID)とJICA共催のイベントで、日本研究などに携わるメキシコ人研究者や官僚、日系人など約150名の聴衆を前に、北岡理事長が「日本の近代化とメキシコ」について講演を行うなど、JICAチェアの設立が早くから期待されていました。
2021年4月に駐日メキシコ大使館、在メキシコ日本国大使館やAMEXCIDの協力のもと、JICAチェアに関するオンラインでの説明会が60を超えるメキシコの大学・学術機関の参加を得て行われ、20以上の機関からJICAチェア開講の希望が寄せられました。同経緯を踏まえて、UNAMをパートナーとしたメキシコ初のJICAチェアが実現しました。

内容

2021年10月4日に行われた日本人講師による最初の講義では、北岡理事長がメキシコ側講師のVictor Hernández氏と共に登壇しました。講義の冒頭で放映された北岡理事長によるビデオメッセージでは、メキシコと日本の二国間の歴史に触れ、両国の交流は約400年前より始まり、日本の鎖国で200年以上にわたり関係が途絶えたものの、1888年の修好通商航海条約締結により再開し、それを契機として日本の扉は世界に向かって開かれることなったこと等を紹介しました。それらを踏まえ、DVD教材第1章「明治維新:近代化の原点」のポイントについて説明しました。

続く質疑応答の際には、明治維新におけるサムライ層の新しい社会への統合メカニズム、社会変革としての他国との比較、そして経済、教育等の分野における中央集権化のプロセス等、多岐にわたる質問が寄せられ、具体例を交えながら丁寧な回答と解説が北岡理事長よりなされました。
講義の最後に北岡理事長は、明治維新前後の日本とメキシコに共通する点としてフランス等からの干渉やそれに起因する出来事について触れ、類似の状況に置かれながらも近代化されてきたメキシコと日本の比較は、今後も引き続き盛んに行われてほしい、との期待を述べられました。
続いてUNAM側より、メキシコでのJICAチェアの実施をより特徴づけるためには、メキシコと日本の視点を比較して、両国の歴史や出来事をどのように解釈しているかを知ることが重要であり、また日本の近代化の過程がメキシコに影響を与え、逆にメキシコが日本の近代化にどのように貢献したか、との認識と理解を深めることへの大切さを、謝辞と共に述べられました。
UNAMと連携して行われるJICAチェアは11月23日までの期間に、DVD教材「日本の近代化を知る7章」の全てのテーマにて実施されます。

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9月28日(火)メキシコUNAM大学におけるJICAチェア開講式の様子

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10月5日(火)北岡理事長登壇時のメッセージ