アフリカ連合開発庁(AUDA-NEPAD)マヤキ長官によるオンライン講演会を開催

掲載日:2022.02.08

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2022年2月8日、JICAは、IAB(注1)委員を務めるアフリカ連合開発庁(AUDA-NEPAD)(注2)イブラヒム・アッサン・マヤキ長官を講師に迎え、JICAとAUDA-NEPADの関係者を対象とするオンライン講演会を開催しました。
8月に開催予定のTICAD8(第8回アフリカ開発会議)に向け、「アフリカと日本の開発経験・歴史から、TICAD8に向けての今日的課題を探る」をテーマに、アフリカの開発課題の解決や日本・JICAの貢献のありかたについてマヤキ長官の考えをお聞きしました。

冒頭の挨拶で、北岡伸一JICA理事長は、アフリカはその他の地域と比べてワクチン接種率が低い一方で感染者・死者数は比較的少なく、コロナ禍によく対応できていること、また、アフリカ各国間の連帯により現地での解決策(home grown solutions)が生まれていることを歓迎しました。その上で、コロナ危機が第一次・第二次世界大戦や世界恐慌に匹敵する大きな変化を世界にもたらす中、コロナ危機後初めて開催されるTICAD8の重要性に触れ、JICAは「Towards a resilient, inclusive, and prosperous Africa」をスローガンにアフリカへの協力を強化していくと述べました。
また、JICAの協力の特徴は、1)人間の安全保障、2)アフリカのオーナーシップの尊重、3)非西洋国としての独自の近代化の経験の共有、にあり、独自の伝統とアイデンティティを損なうことなく近代化を達成した日本の経験をアフリカの今後の開発に活かしていくこと、歴史から学ぶことが重要であると述べました。

マヤキ長官は、植民地化などの歴史的背景から、これまでのアフリカでの開発への考え方は外部からの押し付けによる部分も大きかったと述べ、日本独自の開発経験を活かしつつ、アフリカと「共に歩む」スタンスをとるJICAの協力の付加価値を評価しました。また、アフリカにおいて、持続可能な開発をもたらすためには、急激な改革ではなく段階的かつ着実な発展が必要だとし、そのためにも経済面だけでなく社会面での取り組みや、人材育成をはじめとする知識の蓄積が重要であると述べました。さらに、アフリカの今後の課題として、若者人口の増加と共に速いスピードで変化を続ける社会に対し、ガバナンスが適応していくべきと述べ、若者と共に作り上げる政策の重要性を強調しました。

講演会にはJICA本部・在外事務所、及びAUDA-NEPADから合計約80人が参加し、質疑応答では、西アフリカ情勢や平和と安定に対するアフリカ連合(AU)の役割等について意見交換がなされました。また、今回の講演会は、JICAとの連携事業に携わるAUDA-NEPAD職員にとっても、JICAの協力について理解を深め、連携事業を更に発展させていくための課題やアプローチについて共通認識を持つ場となりました。

マヤキ長官から得た助言は、TICAD8に向け、今後JICAがより一層アフリカに信頼されるパートナーとなるために活用していきます。

(注1)IABは、国際的に著名な国内外の有識者の方々から、JICAの事業方針や取り組みに関する助言を得て、事業の戦略性の向上等を図ることを目的に、2017年3月に設置したものです。マヤキ長官は2021年4月にIAB委員に就任されました。

(注2)AUDA-NEPADは、AUの開発実施機関として、アフリカ開発の長期的ビジョンである「アジェンダ2063」の実現に向け、大陸及び地域レベルでの開発プロジェクトの実施を担っています。

【画像】

マヤキ長官(左)と北岡理事長(右)