アフリカ地域統合に向けて1000名を超えるインフラ関係者が集結:第7回PIDAウィークの開催に協力

掲載日:2022.03.04

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アフリカ連合(AU)は、2012年にアフリカ大陸におけるインフラ整備推進のための長期的な開発計画としてアフリカ・インフラ開発プログラム(PIDA)を策定し、現在AUの開発実施機関であるアフリカ連合開発庁(AUDA-NEPAD)を中心に、PIDA実施促進に向けた取組みが実施されています。
2022年2月28日~3月4日、PIDAの主要な関係者1000名超が一堂に会したアフリカ最大規模のインフラ・フォーラム「第7回PIDAウィーク」が開催され、JICAは協力機関として、アフリカ地域統合の加速化に向けた議論に貢献しました。

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ケニヤッタ国際会議場(於:ナイロビ)

AUDA-NEPADと共に国境円滑化セッションの共催:ワン・ストップ・ボーダー・ポスト(OSBP)支援を通じた国境管理を発信

One Stop Border Post(OSBP)は、国境を跨ぐ両国の国境施設を一つに統合、または、どちらか一か国に国境施設を統合した通関業務の運営方式で、通関や出入国手続きを効率化し、アフリカの域内貿易を促進する施策として注目されています。現在国境では、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)の運用を見据えた税関手続きの対応や、新型コロナウイルス感染拡大に伴う国境検疫システムの強化、国際テロの脅威の高まりを受けた出入国手続等、多くの課題があり、これらの課題に対応したOSBPの導入と機能化の促進が求められています。JICAはこれまで計14か所のOSBPを支援し、大陸レベルではAUDA-NEPADと連携しつつ、OSBP運営の教訓を整理したOSBPソースブックを開発・普及する等、アフリカ域内貿易円滑化に貢献してきました。

3月2日、JICA及びAUDA-NEPADは、第7回PIDAウィークのサイドイベントとして“Sustainable and Resilient Coordinated Border Management:Key Learnings from Move Africa Traffic Light System and the Revised OSBP Source Book”を共催し、地域経済共同体(RECs)やアフリカ輸出入銀行、南アフリカ貿易産業競争省、ザンビア歳入庁をパネリストに迎え、国境管理の好事例を共有しつつ、今後のOSBP運用のロードマップを議論しました。
JICAは、現在JICAとAUDA-NEPADが実施している第三版OSBPソースブック改訂作業とその必要性について説明した他、JICAが長年支援してきた東部アフリカのOSBPを例に知見を発信しました。

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ンコマAUDA-NEPAD Move Africa リード(中央)、ムタバジCOMESAインフラ局長(中央左)、ヌディゼイEAC首席税関専門官(中央右)、乾AUDA-NEPAD長官シニアアドバイザー(左)、砂原AUDA-NEPADインフラアドバイザー(右)

回廊開発アプローチによるアフリカ地域統合開発支援の知見を共有

第五回アフリカ開発会議(TICAD V)以降、JICAは北部回廊、ナカラ回廊、西アフリカ成長リングを三重点地域として、戦略的マスタープラン策定等を通じ、総合的なアフリカ広域開発を推進しています。回廊開発アプローチは、インフラ開発による経済基盤強化を通じた包括的な開発効果を狙う取組であり、JICAが策定した戦略的マスタープランとその実施から得られた教訓は、PIDAを推進するAUDA-NEPADや開発パートナーに共有され、アフリカ各国の政策にも反映されることが期待されています。

2月28日、OECD開発センター、アフリカ経済変革センター(ACET)、AUDA-NEPADの共催により、PIDAウィークのサイドイベントとして“High Level Technical Meeting on Quality Infrastructure for Africa”が開催され、JICAから讃井一将・社会基盤部次長が登壇し、回廊開発アプローチによるアフリカ地域統合開発支援に向けた知見の共有を行いました。同セッションでは、インフラ開発におけるエコシステムの活用を通じた経済波及効果に議論が発展し、讃井一将次長から西アフリカ成長リングの事例を示しつつ、都市と地方の連結性強化及び産業の多様化の重要性について説明を行いました。

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讃井一将JICA社会基盤部次長による発表

第7回PIDAウィーク声明:PIDA関係者に対するOSBPソースブック改訂作業への協力呼びかけ

第7回PIDAウィーク声明において、JICAは初めて正式に協力団体として言及され、PIDAウィークの成果が発出されました。また、同声明において、JICAが牽引する第三版OSBPソースブック改訂作業の進捗が称えられ、PIDA関係者に対し改訂作業への更なるコミットメントが呼びかけられました。

JICAは、今年開催される第8回アフリカ開発会議(TICAD8)に向けて、アフリカの地域経済統合の推進やアフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)の運用促進を目指し、OSBPや回廊開発などの取組を強化していきます。

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開会式:オディンガ・ケニア共和国元首相(中央)、アブゼイド・アフリカ連合インフラ・エネルギー委員(中央左)、マヤキ・アフリカ連合開発庁(AUDA-NEPAD)長官(中央右)

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開会式にはアフリカ各国等から大勢のインフラ関係者が集結

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PIDAウィーク協力機関として、JICAのロゴが配布物やバナー等に掲載されました。