仙台市長ら市幹部への防災セミナーで竹谷防災分野特別顧問が講演

掲載日:2023.07.12

イベント |

概要

イベント:仙台防災枠組推進にかかるトップセミナー
日時:2023年7月12日(水)10:00~
場所:仙台市役所本庁舎8階 第一委員会室

主な参加者

郡和子(仙台市長)、藤本章(仙台市副市長)、高橋新悦(仙台市副市長)、仙台市幹部職員及び関係部職員約50名、栗山進一(東北大学災害科学国際研究所長)、竹谷公男(JICA防災分野特別顧問)

背景・目的

郡和子仙台市長が、2023年5月18日から19日までニューヨークの国連本部において開催された「仙台防災枠組2015-2030」の中間評価ハイレベル会合に参加した際の報告が研修会として仙台市関係者に対して行われました。郡市長は、仙台市の取り組みについて発表を行った意義、成果や今後の課題についてフィードバックを行いました。この機会を捉えて、仙台防災枠組の重要性や2030年を見据えて今後仙台市として目指すべき方向性についてJICAの竹谷防災分野特別顧問に講演依頼があったものです。

内容

冒頭、郡仙台市長は、仙台防災枠組の中間年に同市における仙台防災枠組の取組や目標への達成状況をとりまとめた中間評価を発表した意義を説明されました。特に、ニューヨークの国連本部の会合において「仙台」が連呼され、防災の共通ターム・枠組として世界中の人が仙台防災枠組を元に議論していたことが大変印象深かったと述べ、防災への取り組みや、その世界への発信について仙台市が高い使命を持っているとして、改めて防災への取組みを加速させないといけないと強調しました。

続いて、仙台市と共に中間評価とりまとめを行った東北大学災害科学国際研究所の栗山進一所長は、南海トラフの準備など日本の現状を振り返ると、政府や自治体の災害リスク削減への取組みが、住民ひとりひとりの行動変容にまでつながっていくにはまだ時間がかかることから、今後も防災への一層の取組みが重要であると指摘しました。

仙台防災枠組策定時に日本政府交渉団の一員として各国との交渉をリードした竹谷公男JICA防災分野特別顧問は、まず自身が仙台防災枠組にどのような理念を込め、日本の防災の考え方をどのように仙台防災枠組に入れ込んだのか、その交渉のプロセスや合意に至った経緯等、国際場裏で起きていたことについて詳細な説明を行いました。

特に仙台防災枠組は人道イシューではなく開発イシューとして、災害に対する各国の一義的な責任を明確にしたこと、社会活動により新たなリスクを作り出すことを防止するべきこと、経済被害を防止することが人命を守ることにもつながることから将来への投資として防災を実施すべきであること、同じハザードが再来しても同じような被害を生じさせないためのBuild Back Betterも重要であることなど、日本の防災思想を世界標準にしたものであるという仙台防災枠組の重要性に関して、詳細に解説しました。

また2015年3月に「仙台」の名を冠した防災枠組の合意が、同年に合意された持続可能な開発目標(SDGs: Sustainable Development Goals)、気候変動パリ協定の合意のベースを構築した画期的な内容になっているとの説明がなされました。

竹谷顧問は、仙台防災枠組の重要なターゲットの一つである地方防災計画の策定が地方自治体の重要な責務であることを改めて説明しました。その上で、国連本部で仙台市が世界のあらゆる都市の先陣を切って仙台枠組の中間評価を発表したことは、国連世界防災会議をホストして国連文書の枠組に名を残した市としてだけでなく、名実ともに防災に注力し市民生活を守る地方自治体としての責任と覚悟を世界中に表明した点において大変意義深いものであると述べました。

最後に2030年に向けてJICAとして各国の実効的な災害リスク削減に更に貢献していくこと、仙台防災枠組の達成に向けた更なる努力を進めていくことを強調しました。

講演する竹谷公男JICA防災分野特別顧問

講演する竹谷公男JICA防災分野特別顧問

郡 和子 仙台市長

郡 和子 仙台市長

講演の様子

講演の様子