第9回全球エネルギー水循環プロジェクト(GEWEX)国際会議におけるJICA・JSTセッションの実施
掲載日:2024.07.11
イベント |
セッション名:SATREPS 開発途上国と共に地球規模課題に挑む国際共同研究 ~気候変動と水に関わる成果と今後の展望~
開催日時: 2024年7月11日 13:00~17:00
場所:北海道札幌市(京王プラザホテル札幌)
第9回全球エネルギー水循環プロジェクト(GEWEX)国際会議において、日本の関係省庁、地方公共団体等の関係者が企画する「ステークホルダーセッション」の1つとして、地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)をテーマとした「開発途上国と共に地球規模課題に挑む国際共同研究~気候変動と水に関わる成果と今後の展望~」と題するセッションを国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)と共催で実施し、SATREPSの成果や、共創の意義を発信しました。
※ GEWEXは、国際学術会議(ISC)、世界気象機関(WMO)、ユネスコ政府間海洋学委員会(UNESCO-IOC)が共同出資している世界気候研究計画(World Climate Research Programme : WCRP)が進める中核プログラムの1つです。今回のGEWEX国際会議は数年に一度の頻度で開催される国際学会で、GEWEX国際事務局が主催、北海道大学、日本学術会議等が共催したものです。日本では初開催、48か国以上から約1,300人が参加しました(主催者発表情報)。
※ SATREPSは政府開発援助(ODA)と科学技術、開発途上国と日本等、様々な「共創」を通じて、気候変動の影響を受けやすい開発途上国を含む地球規模課題の解決を目指す国際共同研究を推進するプログラム。
冒頭、SATREPS運営統括の小谷元子東北大学理事・副学長からの開会挨拶に続き、本セッションコーディネーターでありSATREPS推進委員の渡邉紹裕京都大学名誉教授からセッションの趣旨を、JST及びJICAからSATREPSの意義と事業概要を説明し、環境領域2案件、防災領域2案件の研究代表者から各SATREPSの研究内容と進捗の発表がなされました。
後半は、GEWEX国際事務局からの推薦で、ブエノスアイレス大学アンナ・ソレンソン教授から、アルゼンチンにおける気候変動による農業生産への影響とその対策に係る学術研究面での貢献をテーマに特別講演を行っていただきました。
その後、SATREPS推進委員である寶馨(たから かおる)国立研究開発法人防災科学技術研究所理事長をモデレーターとして、SATREPS4案件の代表者とともにパネルディスカッションを実施しました。最後に聴講者からの質問も踏まえ、寶推進委員及び渡邉推進委員から総括がありました。
今回のセッションを通じて、SATREPSが、高い科学技術力とその成果だけではなく、研究者間及び研究者と行政などの関係機関との連携を通じて、災害リスク削減や気候変動適応に貢献していることが再認識され、気候変動に関連する異分野の研究者同士の交流が、研究者の能力向上に寄与していること等も広く認知されました。また、多様な分野・関係者との包括的な取組み(Multi-disciplinary)の必要性や、既存の協力アプローチを根本的に変え得る革新的な研究(breakthrough research which change methodology)への期待などについて議論が行われました。
今回のステークホルダーセッションは、研究機関ではない関係省庁等よって4日間連続で開催され、JST・JICAセッションは、国土交通省、農林水産省、環境省のセッションに続き実施されました。JICAは、国内の最先端の知見の活用や議論も含めて、海外の研究協力とのつなぎ役としての役割を果たし、日本国内の研究者との共創を促進し、人材育成や国際頭脳循環に貢献していきます。
小谷 元子 東北大学 理事・副学長(SATREPS運営統括)
渡邉 紹裕 京都大学 名誉教授(SATREPS推進委員)
寶 馨 国立研究開発法人防災科学技術研究所 理事長(SATREPS推進委員)
アンナ ソレンソン ブエノスアイレス大学教授
ウズベキスタン「アラル海地域における水利用効率と塩害の制御に向けた気候にレジリエントな革新的技術開発」
田中 賢治 京都大学防災研究所 教授
ハビブラエフ バヒトジャン サギドゥレビッチ アラル海流域国際イノベーションセンター センター長
ジブチ「ジブチにおける広域緑化ポテンシャル評価に基づいた発展的・持続可能水資源管理技術確立に関する研究」
島田 沢彦 東京農業大学地域環境科学部 教授
登坂 博行 株式会社地圏環境テクノロジー相談役 兼 東京大学名誉教授
ラシッド モハメド ムフメド ジブチ大学 准教授
フィリピン「気候変動下での持続的な地域経済発展への政策立案のためのハイブリッド型水災害リスク評価の活用」
大原 美穂 東京大学大学院情報学環 総合防災情報研究センター 教授
フェルナンド C. サンチェス. Jr. フィリピン大学ロスバニョス校 教授
マリア アンヘレス O. カテロ フィリピン大学ロスバニョス校 教授
ビセンテ G. バララン. Jr. フィリピン大学ロスバニョス校
インドネシア「沿岸でのレジリエント社会構築のための新しい持続性システム」
森 信人 京都大学防災研究所 教授
ムハンマド ファリド バンドン工科大学 沿岸海洋開発センター長
渡邉推進委員による歓迎挨拶
JICA細川防災グループ長による発表
各研究成果の発表
ソレンソン・ブエノスアイレス大学教授による特別講演
寶推進委員(右から二人目)
セッション参加者による集合写真
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