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【ラオス】スポーツ・文化振興を通じた社会開発~チャオ・アヌウォン・スタジアム改築計画~

掲載日:2025.03.31

イベント |

2025年3月26日、ラオス向け無償資金協力「チャオ・アヌウォン・スタジアム改築計画」の起工式が実施されました。

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完成後のイメージ

なぜ協力が必要?スタジアムの現状

チャオ・アヌウォン・スタジアムは、首都ビエンチャンの中心地にあり、1950 年に当時の国立競技場として建設されて以来、街の象徴として、ラオス国内のスポーツ(サッカー、ラグビー)やパラ陸上競技の大会、一般市民やアスリートを対象とした各種イベントに活用されてきました。

他方、建設当時の施工品質の不良、補修方法の不適切さに加え、長年の雨水の浸み込みも相まって鉄筋の腐食が進むなど、施設の老朽化は深刻です。トラックやフィールド競技施設の劣化も激しく、また競技やトレーニング等に使用する機材も不足し、安全で円滑な施設運営に支障をきたしています。

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現在のスタジアムの様子

インクルーシブな社会の実現に貢献

市街地の中心というアクセスの良さから、チャオ・アヌウォン・スタジアムは市民生活と一体となった街づくりや文化醸成にも貢献してきました。ラオス政府は、社会的に困難な状況にある人々の社会参加促進や、市民の健康増進、スポーツ・文化と融合した街づくりによるインクルーシブとダイバーシティの価値観の普及に向け、スポーツ施設の拡充に取り組むことを掲げています。スポーツを通じた障害者の自立と社会への参加、インクルーシブな社会の実現においても、本事業が期待されています。

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起工式で披露されたインクルーシブダンス

王像移設のための伝統セレモニーと起工式

チャオ・アヌウォン王の名前を冠したこのスタジアムの入り口には、王像が設置されています。2024年12月、起工に先立ち、工事の期間中、王像を移設するためのセレモニーが行われました。ラオスの伝統儀式の様式で、神聖な雰囲気の中、僧侶や祈祷師らによって工事の安全と今後のスタジアムの発展・繁栄が祈願されました。その後、2025年3月に行われた起工式では、プット・シンマラヴォン教育・スポーツ大臣、小泉勉在ラオス日本国大使、小林美弥子JICAラオス事務所長を始め、多数の関係者が出席しました。

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チャオ・アヌウォン王像

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起工式の様子

JICAの強みを生かしたハード×ソフトの協力

本事業では、老朽化した施設の改築や機材の整備だけでなく、施設・機材の運営維持管理に関する現地研修を実施する計画です。現地語版のマニュアルを作成し、ラオス側の関係者が適切な維持管理を継続できるよう取り組む予定です。また、日本でのスタジアム運営や維持管理のノウハウを学んでもらう訪日研修も実施します。技術協力「スタジアムを中心としたまちづくり・エリアマネジメント能力強化プロジェクト」ではスタジアム周辺の地区活性化やまちづくりのための能力強化も行う予定です。

ハードとソフトの両面から、チャオ・アヌウォン・スタジアムがすべての人が利用できるインクルーシブな場所となるよう協力していきます。

【参考:事業概要】
本事業では、首都ビエンチャンに位置するチャオ・アヌウォン・スタジアムの改築、機材の整備を実施します。バリアフリー等の機能強化及び施設の安全性向上を通じたアスリートや幅広い市民の利用促進を図り、もって障害者の社会参加促進、及びスポーツ・文化事業等の振興並びに都市環境整備に寄与するものです。