～中米で日本の「カイゼン」普及～ エルサルバドルで日本人専門家が登壇
掲載日：2024.06.24
イベント ｜
2024年５月４日、エルサルバドル国サンサルバドル市にある中米統合機構（SICA）事務総局 において、「5S/カイゼン方法論の導入セミナー」が開催されました。
SICA事務総局本部での記念撮影
（中央最前列左から：名井弘美JICAエルサルバドル事務所長、SICA事務総局イングリッド・フィゲロア 執行役、妹尾隆児JICA専門家、ラケル・クビアスCONAMYPE品質・生産性専門官、櫻井真美地域協力アドバイザー）
（以降、本記事の写真は全てSICA事務総局提供/All of the photos in this article is shared by SG-SICA.）
SICAは中米地域の統合と発展を目的として設立された地域機関で、JICAは2000年よりSICA事務総局へ専門家を派遣し、SICAに加盟する８か国（ベリーズ、グアテマラ、エルサルバドル、ホンジュラス、ニカラグア、コスタリカ、パナマ、ドミニカ共和国）による地域協力を支援しています。
SICAは組織内の業務効率化を目的とした体制の強化を目指しており、JICAに対し、特にオフィス環境でのカイゼンに対して高いニーズが寄せられ、今回のセミナーが実施され、計80名以上のSICA職員が参加しました。
「カイゼン」はどんな組織でも導入可能
セミナーでは、エルサルバドルで「北米・中南米地域中小零細企業能力強化アドバイザー業務」のJICA専門家 として活動中の妹尾隆児氏が基調講演を行い、「カイゼン」の概念が普及されることにより、日本企業の生産性向上、業務効率化 とチームワーク文化の醸成に貢献したこと、また、「カイゼン」の具体的な手法である5S（整理、整頓、清掃、清潔、しつけ）は民間企業だけでなく、どんな組織でも導入可能であることを説明しました。また、日本では地方自治体でカイゼンを導入したことにより、業務効率化につながった実例も紹介しました。
妹尾隆児JICA専門家
次に、妹尾専門家のカウンターパート機関であるエルサルバドル国零細小企業国家委員会（CONAMYPE）のラケル・クビアス品質・生産性専門官から、CONAMYPEが「5S」や「カイゼン」をエルサルバドルの零細企業に導入した結果、生じた変化（生産量の増加、データに基づく管理強化等）を、写真やビデオと共に紹介しました。
ラケル・クビアス零細小企業国家委員会 品質・生産性専門官
また、本セミナーには、SICA事務総局執行役であるイングリッド・フィゲロア氏やカルメン・マロキン国際協力局長も参加し、セミナー後、SICAとして、5Sやカイゼンを組織に定着させていくと決意表明しました。
SICA事務総局執行役イングリッド・フィゲロア氏
また、名井弘美JICAエルサルバドル事務所長もJICA代表として参加し、現在JICAが実施するエルサルバドルの中小零細企業支援の概要を紹介し、また本セミナーを通じてSICAの組織体制強化への期待が表明されました。
名井弘美JICAエルサルバドル事務所長
今回のセミナーを企画した櫻井真美地域協力アドバイザー（SICA事務総局へ専門家として派遣中）は、「SICAとJICAは協力のための５か年計画（2021-2025年）を策定し、様々な分野での地域協力を展開しています。日本発祥の5S/カイゼン手法をSICAの業務に導入することによって、より効率的な活動の実施が可能になれば、日本にとっても大きなメリットがあります」とコメントしました。
中小零細企業支援の専門家、妹尾氏から一言
現在私はエルサルバドルを初めとして、ドミニカ共和国やパキスタンで活動中です。カイゼンや５Sをはじめとする日本の生産性向上の取組・知見は、製造業だけではなく、今回セミナーを実施した公的機関をはじめとして、あらゆる分野や組織で適用可能です。カイゼン手法は多額の投資を前提とするものではなく、組織の構成員の自主性を引き出し、チームワークを重視することで業務の品質・生産性の向上を図ることを目的とするもので、多くの発展途上国で着目され、実行されています。現在エルサルバドルでは、主に履物産業や農産加工品産業に対するカイゼン指導を行っていますが、その他、医薬品産業関連団体からも問い合わせがあり、カイゼン文化が多種多様なセクターに波及する可能性を感じています。
妹尾専門家が従事する「北米・中南米地域中小零細企業能力強化アドバイザー業務」は2025年度まで実施される予定ですが、カイゼンの取組みはエルサルバドルを含む中南米地域のみならず、多様な国・地域で広まっており、アフリカでは毎年「アフリカカイゼン年次会合（2023年度の様子はこちら）」が開催されています。JICAはこれからも発展途上国の中小零細企業を支援していきます。
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