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バンサモロ包括和平合意締結10周年記念シンポジウム開催結果について

掲載日:2024.08.16

イベント |

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シンポジウム集合写真

概要

会議名:バンサモロ包括和平合意締結 10周年記念シンポジウム
‐これまでの10年、そして未来に向けて‐
開催日: 2024年8月7日 14時~16時半
主催: JICA 東南アジア・大洋州部
場所:東京(JICA緒方貞子平和開発研究所 国際会議場)

主な参加者

【比政府】 ガルベス和平・和解・統合担当大統領顧問(OPAPRU)、パンガンダーマン政府間連携機構(IGRB)共同議長/予算管理大臣(DBM)、ヤノ比政府和平履行パネル委員長/OPAPRU大統領補佐官

【MILF/BTA】
イブラヒムBTA首相(MILF議長)、イクバルIGRB共同議長/MILF和平履行パネル委員長/BTA基礎・高等・技術教育大臣(MBHTE)、ドゥママ・アルバIGRB事務局/BTA議会議員・院内総務/BTA内務・自治大臣(MILG)

【日本政府・自治体】柘植外務副大臣、広島県・湯﨑知事

【JICA】田中理事長、宮崎副理事長、廿枝理事

背景・目的

2014年3月27日、17年間の和平交渉を経て、フィリピン政府とモロ・イスラム解放戦線(MILF)はバンサモロ包括和平合意を締結しました。今年は同合意締結10周年となるとともに、2025年5月のバンサモロ自治政府発足のための選挙、そして同6月の同自治政府設立を控えた節目の年となります。

和平合意締結10周年を記念して、比政府、MILF及びバンサモロ暫定自治政府(BTA)の要人を招聘し、シンポジウムを開催しました。

内容

8月7日、JICAは緒方貞子平和開発研究所において、バンサモロ包括和平合意締結10周年記念シンポジウムを開催しました。

開会の挨拶として、田中理事長から「包括的和平合意の締結やバンサモロ基本法の成立などのこれまでのミンダナオ和平プロセスにおける成果は、バンサモロの人々の献身と、すべての関係者の継続的な対話と協力の証である。」と、これまでの和平プロセスの進捗に言及し、続いて、柘植外務副大臣、湯﨑広島県知事からの祝辞を頂きました。

基調講演では、比側のガルベス大統領顧問とBTA側のイブラヒム首相が、これまでの10年間の歩みを振り返りながら、2025年の自治政府樹立に向けた取組が進んでいること、そして和平・開発の進展への期待が述べられました

パネルディスカッションでは、2025年の自治政府設立以降のバンサモロ・ムスリム・ミンダナオ自治地域(BARMM)の平和・安定と開発・発展に向けた課題と、その解決のための未来志向な協力の方向性について議論されました。また、平和構築における女性の存在について、パンガンダーマン大臣、ドゥママ・アルバ大臣、JICA宮崎副理事長が意見を述べ、更なる女性の活躍、またその経験の共有についての期待が述べられました。

和平プロセスにおけるこれまでの成果として、各種立法制度の制定(政治トラック)が進展していること、BTAによる貧困率削減、教育環境の改善、先住民や入植者(クリスチャン)を含む包摂的なガバナンスの実現など、自治政府樹立に向けた基盤づくりが行われていることが共有されました。同時に、武装解除と元戦闘員とそのコミュニティに対する社会経済支援に関する進展(正常化トラック)が今後の課題であることを共有されました。

BARMMでは来年5月に初めてのバンサモロ議会選挙の実施、その結果に基づく自治政府の樹立が予定されます。これから新たなステップを迎えようとしているミンダナオの和平プロセスにおいて、本シンポジウムは比政府とBTAの両者の平和への前向きな方針を明確にしただけでなく、今後の日本やJICAに求められる協力の在り方について、当事者の意見を伺う貴重な機会となりました。またフィリピン、ミンダナオの平和への道のりを応援し、支えるために、国際社会ができることは何かを考える場を、ご来場いただいた関係者の方々やメディアの方々、また世界中からオンラインで参加していただいた200名 を超える皆さまと共有することが出来ました。

JICAはこれからもミンダナオに寄り添い、包括的な和平プロセスの支援を継続します。

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パネルディスカッションの様子

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田中理事長挨拶

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ガルベス大統領顧問による基調講演

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イブラヒム首相による基調講演