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「三角協力」~新しい開発パートナーとの共創~

掲載日:2024.11.11

イベント |

概要

会議名:国際三角協力会議(通称リスボン会議)
開催日: 2024年10月7日~8日
主催: OECD及びポルトガル政府の共催
場所:ポルトガル・リスボン

主な参加者

50か国以上の政府・実施機関(日、米、独、中、韓、葡 、ノルウェー、韓、タイ、尼、伯、墨、チリ、コロンビア、ペルー、カザフスタン等)や国際・地域機関(OECD、国連南南協力室(UNOSSC)、アフリカ連合開発庁(AUDA-NEPAD)、イスラム開銀、サウジ開発基金、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、イベロアメリカ南南協力強化プログラム(PIFCSS))、研究機関(韓、印)等から180名以上参加

内容

毎年ポルトガル・リスボンで、OECD及びポルトガル政府が、国際三角協力会議(通称リスボン会議)を開催しており、政府・実施機関や国際・地域機関が三角協力1(注)の促進について意見交換を行っています。

今年は、10月7日~8日に開催され、過去最多の50か国以上180 名以上が参加し、活発な議論が行われました。

今年のテーマは、「ローカルインパクト創出のためのグローバルプロセスの活用」(Linking Global Process to Create Local Impact)です。

その背景には、今年のG20議長国であるブラジルが三角協力を推進しているというグローバルな潮流と同時に現場に根差した協力こそが効果的であることがあります。毎年異なる地域に焦点を当てていますが、今年はアジアが焦点でした。

JICAの協力と新たな開発パートナー

プレナリーセッションでは、「三角協力を推し進めるグローバルな動き」「アジアのパートナーとの協力」「経験・好事例の共有と今後の取り組み」の3つのセッションで構成されました。JICAを含む15機関(アジア、アフリカ、中南米)が知見を共有し、JICAからは、三角協力における対等なパートナーとして相手国のオーナーシップを尊重してきたこと、当該技術が相手国に根付き発展したこと、JICAと共に他地域への協力に繋がったことを説明し、その具体例として「アフリカ稲作新興のための共同体(CARD2)」(注)を紹介しました。

中でも印象的だったのは、多くの国からJICAの二国間及び三角協力の実績に対する高い評価の声が挙がったことです。例えば、チリからは、「中南米防災人材育成拠点化支援プロジェクト」(KIZUNA3)(注)などをはじめ、複数のJICAの協力経験を中南米に広めてきたこと、カザフスタンからは、JICAの二国間協力で積み上げてきた製造業の生産現場における品質・生産性向上のための手法「KAIZEN」をウズベキスタンに移転してきたこと、インドネシアからは、JICAから学んだ保健分野等における人材育成や実務の経験を、今はアジアの複数国の支援に活用している、との言及がそれぞれありました。


1 南南・三角協力 | 事業について - JICA 三角協力とは、先進国や国際機関が、途上国が他の途上国に対して行う南南協力を資金・技術・運営方法等で支援することを指します。
2 アフリカ稲作振興のための共同体(CARD) | 事業について - JICA
3 KIZUNAプロジェクト | 各国における取り組み - JICA

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(一番左、JICAの企画部国際援助協調企画室加藤副室長がプレナリーセッションに登壇)

三角協力の成果を現場から発信

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(JICAマレーシア事務所のSiddiqi現地職員がJICAの三角協力の特徴と貢献について発表)

今般、JICAマレーシア事務所で三角協力の事業運営に22年の実務経験を持つSiddiqi現地職員も、リスボン会議に出席しました。効果的な三角協力について議論するセッションのメインスピーカーとして登壇し、長年三角協力に携わってきた豊富な経験から、JICAの三角協力の特徴である「オーナーシップ重視・対等なパートナー関係」と、「Center of Excellence4(注)」について現場事例を用いながら紹介しました。前者では、JICA 、マレーシア政府、三角協力実施機関によりアフリカ諸国( ケニア、ザンビア、南アフリカ、マラウィ、エスワティニ)へ現地調査を行い、フォローアップを重ねながら現地の人々にとって実務上役立つ技術研修(中小企業支援、貿易振興、生産性向上(KAIZEN)、理数科教員研修等)を共に創り上げた事例を挙げ、また後者では、マレーシアの農業研究機関がパレスチナの農業政府機関を支援している事例を取り上げました。JICA が長年技術協力で支援してきたマレーシア政府の関係機関が、その後も組織と人材を強化・発展し、蓄積してきた成功体験や技術を活用して自ら他国を支援するように変化を遂げてきたことを紹介し、現場ならではの経験を共有しました。


4 JICAとの協力経験等により、受益する側から新たな支援の担い手となったパートナー国や機関を「知識や人材が集結する中核的組織体」としてCenter of Excellenceと呼称する。

今後の新たな開発パートナーとの「共創と連帯」

経済発展を遂げてきた国々が「協力を受ける側」から「協力する側」に変遷しており、「三角協力」は、対等なパートナーシップを通じて、そして同じ課題を持つ者同士で網の目のように繋がる広域連携に展開していく、大きな転換期にあります。

多様なパートナーと対等な連携を深め、共に世界の開発課題の解決に貢献していくためにも、JICAは、三角協力、そして新たな開発パートナーとの「共創と連帯」に今後も取り組んでいきます。

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(リスボン会議のグループディスカッションの様子。)