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清水建設株式会社とスタートアップ/起業支援の意見交換会を実施

掲載日:2025.02.18

イベント |

イベント概要

JICAと清水建設株式会社でスタートアップ支援の取り組みや事例について紹介・意見交換を行い、今後の連携の方策を模索するイベントを実施しました。今後もスタート ップ支援と開発途上国の課題解決、双方の観点からどのような連携の形が効果的なのか、両者で意見交換を重ねていきます。

イベント名:清水建設株式会社とスタートアップ/起業支援に関する意見交換会
開催日:2025年1月29日
場所:清水建設株式会社「温故創新の森NOVARE」(注1)
プログラム:

  • NOVARE施設の全体紹介
  • ものづくり体感・実習施設(NOVARE Academy)の視察
  • スタートアップ/起業支援に関する意見交換会

内容

1.イベント開催の経緯

  • JICAは、①開発途上国の社会課題の解決に貢献し得るビジネスを「中小企業・SDGsビジネス支援事業(JICA Biz)」(注2)等を通じて支援しているほか、②「JICA海外協力隊起業支援事業(BLUE)」(注3)で帰国隊員の起業支援の実施、さらには③政府系機関によるスタートアップ支援を目的とした「スタートアップ支援機関連携協定(通称Plus)」(注4)に2020年の創設時より携わる等、スタートアップ企業への支援に取り組んでおり、様々な機関・民間事業者との連携も進めています。
  • 今般、清水建設株式会社(以下、清水建設)とJICAで、スタートアップ支援の取り組みや事例について紹介し合あった上で意見交換し、今後の連携の方策を模索することも目的に、東京都江東区にある清水建設のイノベーション創出施設「温故創新の森NOVARE」をJICAスタッフ30名が訪問しました。
  • 本イベントのきっかけは、清水建設中小企業診断士会やJICA中小企業診断士会も所属している「企業内診断士会」の年次交流会が、昨年11月下旬にNOVAREで開催された経緯を受けたものです。具体的には、企業内診断士個々人としてスタートアップ支援に関わるだけでなく、組織として同支援へ積極的に取り組んでいる両者の間でも連携・共創が出来るのではないかとの議論がメンバー同士で行われたことがきっかけとなっています。

2.体験型研修施設の視察

清水建設のNOVAREは、イノベーションと人財育成の拠点として2023年から運用開始された施設で、情報発信・交流施設、生産革新を担う研究施設、体験型研修施設等があります。

本イベントでは、最初に体験型研修施設(NOVARE Academy「ものづくり至誠塾」)の視察を行いました。実際の建設現場を模した施設(モックアップ)を実際に目にすることで、日本の建設業/ものづくりが有する各種の技術をはじめ、災害が多い国だからこその特有の設備等を学び、JICAによる開発協力でも数多く実施されているインフラ事業に関わる知識を深める良い機会となりました。

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(ものづくり至誠塾長からモックアップの説明を受けるJICA参加者)

3.双方の取組み紹介と意見交換会

  • その後、スタートアップ支援に関する意見交換会を実施しました。清水建設からは、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)(注5)、創業支援、アクセラレーションプログラム(注6)、社内起業制度等の取組みが紹介されました。JICAからは、先述のJICA BizやBLUEに加えて、中南米・カリブ地域向けスタートアップ支援事業”TSUBASA”(注7)、イノベーション還流事業 “BAILA”(注8)等、スタートアップ支援に関わる事業と事例の紹介を行いました。
  • 清水建設の取り組みについてJICA側から多くの質問が投げかけられ、CVCとして出資判断をする際の目利き力の鍛え方、出資に対して求められる成果や課題、また日本のインフラ関連企業が海外でどのように強みを発揮できるか等、多岐に渡り活発な意見交換が行われました。
  • また清水建設側からも、JICAの既存事業に参加しているスタートアップ企業とのコラボレーションや、アフリカや中南米地域のJICAの起業支援の取り組みに関心が寄せられ、まずは小さいところから連携の成功体験を積み上げていきたい、と前向きなコメントがありました。

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(イノベーション推進と共創の場を提供する「NOVARE Hub」で、清水建設・JICA双方から、スタートアップ分野の取組み紹介や連携に向けた意見交換を実施。)

4.今後の連携に向けて

  • 今回の意見交換を通じて、スタートアップ支援を軸にした様々な取り組みが両組織にあり、連携によりシナジー効果が期待できるということを感じました。スタートアップ支援と開発途上国の課題解決、双方の観点からどのような連携の形が効果的なのか、今後さらに両者で意見交換を重ねていきます。

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様々な建築資材(イメージ)①

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様々な建築資材(イメージ)②

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様々な建築資材(イメージ)③

(注1)温故創新の森NOVARE|清水建設
(注2)中小企業・SDGsビジネス支援事業(JICA Biz)について
https://www.jica.go.jp/activities/schemes/priv_partner/activities/sme/index.html
(注3)JICA海外協力隊起業支援事業(BLUE)について
https://blue.jica.go.jp/
(注4)スタートアップ支援機関連携協定「Plus」(Platform for unified support for startups)について
https://www.jica.go.jp/activities/schemes/priv_partner/sdgs/2024/20241129_01.html
(注5)CVCはCorporate Venture Capitalの略。事業会社が自己資金でファンドを組成し、主に未上場の新興企業(ベンチャー企業)に出資や支援を行う活動組織のこと。
(出所:https://www.nomura.co.jp/terms/japan/ko/A02735.html
(注6)短期間で事業を成長(スケール)させるためのプログラム。
(出所:https://www.sgsaga.jp/frmAcceleration.aspx
(注7)JICAの中南米・カリブ地域向けスタートアップ支援事業「TSUBASA」(Transformational Start Ups' Business Acceleration for the SDGs Agenda)について
https://tsubasa-jica.com/
(注8)JICAの中南米スタートアップとの連携事業「BAILA」について
https://www.jica.go.jp/overseas/america/plaza/event/2024/1554019_52767.html