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【COP30サイドイベント】気候変動対策のための国レベル、企業レベル、施設レベルにおける透明性の強化

掲載日:2025.12.10

イベント |

報告者

氏名 所属 肩書
栗﨑 敬子 社会基盤部都市・地域開発G 主任調査役

概要

開催日:2025年11月11日
主催:環境省
会場名(パビリオン名):ジャパンパビリオン

登壇者

氏名 所属 肩書
土居 健太郎 環境省 環境省 地球環境審議官
バンバン・ブロジョネゴロ アジア開発銀行研究所 所長
ルイス・アントニオ ・イバニェス・ゲレー リマ・カヤオ都市交通機構 大気質監視コーディネーター
栗﨑 敬子 JICA 社会基盤部 都市・地域開発グループ 第一チーム 主任調査役
チェング・タリカ カンボジア環境省 気候変動局 部門長
加藤 真 海外環境協力センター 理事
野本 卓也 環境省 地球環境問題交渉官
モハド・ハフズアン ビン・アズミ マレーシア国天然資源環境サステナビリティ省 主席補佐官

背景・目的

・本イベントは、GHG排出量の透明性確保への動きが高まる中で、各レベル(国・セクター・プロジェクト)での透明性促進に関する事例を共有し、各レベルでの取組を連携させるための戦略について議論するもの。プロジェクトレベルの事例として、当部よりペルー国「リマカヤオ都市圏公共交通マスタープラン」における取組についてカウンターパート(ATU)と連名で発表。
・パリ協定の目標達成のためには、締約国がNDCを更新・実施すること、特に民間セクターの関与は不可欠である。その基盤として、現状の明確かつ正確なGHG排出量を把握したBTRの提出が重要であるが、BTRを提出した締約国でさえも経済全体の緩和努力の進捗状況を追跡することは共通の課題であり、継続的な能力構築が必要である。こうしたニーズに対応し、日本はSITA(Support Initiative for Transparency in Asia)やPaSTI(コ・イノベーションのための透明性パートナーシップ)を通して国家GHGインベントリーの作成や施設・企業の排出量算定報告制度構築・実施を支援している。

内容

・冒頭、土居審議官よりアジアにおける透明性向上のための支援イニシアティブ(インベントリ・BTR(隔年透明性報告書)作成などの支援パッケージ)(SITA)について言及後、バンバン所長から、「温室効果ガス(GHG)排出削減促進に向けた明確な政策枠組みやGHG排出量にかかるデータの算定・報告、および開示の必要性と、データの算定・報告、開示に関しては、政府、民間など様々な関係者が関わってくること」「GHG削減の実施に向けた投資を呼び込むために金融当局との連携が必要となること」について発信があった。
・バンバン所長に続き、JICAはカウンターパートのペルー国リマカヤオ都市交通機構(ATU)とともに、「リマカヤオ都市圏公共交通マスタープラン策定プロジェクト」における気候変動対策について紹介。同マスタープランのアウトプットのひとつが、プロジェクトによるGHG排出削減量の算定。
・同マスタープランプロジェクトに先駆けて実施中の「リマカヤオ都市圏において公共交通シフトがもたらす気候変動緩和効果に係る情報収集・確認調査」では、NDCトラッキングを目的としたMRV方法論(簡易的なGHG排出量算定手法)の提案を行っている。同マスタープランでは、気候基金へのアプローチも検討していくが、そのためには、透明性向上のみならず、算定の継続性も重要。
・ATUのまとめとして、計画局(GHG排出量にかかる交通調査、データの算定・報告)と環境局(GHG排出量算定)、セクター連携が重要であることが述べられた。パネルディスカッションにおいて、JICAからも気候基金へのアクセスを踏まえ、セクター連携の重要性について発信した。

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写真1:発表の様子

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写真2:ATUカウンターパート発表

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写真3:パネルディスカッション