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【COP30サイドイベント】泥炭地再生及び林・農林業(FOLU)のグローバル炭素市場枠組みへの統合

掲載日:2025.12.10

イベント |

報告者

氏名 所属 肩書
片岡 龍之介 地球環境部森林・自然環境保全グループ 調査役

概要

開催日:2025年11月21日
主催:インドネシア泥炭地再生センター(ITPC)
会場名(パビリオン名):インドネシア代表団事務所(当初インドネシア・パビリオンにて実施予定だったが、前日の火災を受け会場を変更)

登壇者

氏名 所属 肩書
マーティン・クラウゼ UNEP 気候変動部部長
エイミー・デュシェル FAO 上級森林政策官兼森林・気候チームリーダー
サイモン・ルイス リーズ大学 コンゴ泥炭地プロジェクト代表兼地理学教授
大崎満 JICA兼日本泥炭地学会 JICA専門家兼日本泥炭地学会会長
フランツィスカ・タンネベルガー グリーフスヴァルド湿地センター 所長

背景・目的

熱帯泥炭地は、膨大な炭素を長期的に蓄える地球規模の気候安定化に不可欠な生態系である。しかし、劣化の進行、不十分な資金的支援、新興の炭素市場における方法論や規制の不確実性により、その気候変動の緩和・適応への貢献が脅かされている。インドネシアを含む多くの国は、これに対応するため、泥炭地管理や炭素排出削減を気候政策に組み込み、特にインドネシアでは森林・土地利用分野(Forestry and Other Land Use:FOLU)の国家目標として体系化している。

一方で、国際的な炭素市場では、測定・報告・検証(Measurement, Reporting and Verification:MRV)の方法論、透明性・信頼性の確保、規制の不安定性、グリーンウォッシングリスクといった課題が依然として大きい。この状況のもと、インドネシアのFOLUでの取組と国内炭素市場は、森林保全・再生によって創出される炭素クレジットの売買を通じ、必要な資金を確保しつつ経済的機会を創出する重要な仕組みとなっている。

本セッションは、熱帯泥炭地回復とグローバル炭素市場の最新動向を議論し、インドネシアのFOLUでの実践を炭素市場メカニズムとして紹介するとともに、ペルー、コンゴ民主共和国、コンゴ共和国など他の泥炭地保有国のアプローチを共有することで、各国間の知識交換と国際協力を強化することを目的とする。

内容

本セッションでは、インドネシア、ペルー、コンゴ民主共和国、コンゴ共和国における熱帯泥炭地の回復、炭素管理、およびFOLUでの取組の最新動向が取り上げられ、各国が直面する課題と進展状況の比較に係る議論が行われた。また、炭素市場の信頼性確保に向けたグッドプラクティスを共有し、信頼性を損なわないクレジット生成と資金動員のあり方について議論された。

クラウゼ氏からは、世界各国の泥炭地の現状に係る説明の中で特に熱帯泥炭地が温室効果ガスの排出源としてのリスクが急激に高まっている旨言及があった。また、それを踏まえたUNEPによる南南協力の成果、ITPCを通じたインドネシアとの連携について資金メカニズムを含む事例紹介を行った。

デュシェル氏からは、Wetlands InternationalやUNEP、FAO等が中心となってCOP30で共同採択したイニシアチブ"Peatland Breakthrough"について説明を行い、同イニシアチブの意義や重要性を強調するとともに目標とすいる2030年までの資金需要についても言及した。また、FAOによる泥炭地保全・回復に係るコンゴ民主共和国、ペルー等での過去の協力について触れ、インドネシアのNDCで泥炭地回復(peatland restoration)が達成の主要施策の一つとして位置づけられていることを強調した。

ルイス氏からは、同氏のプロジェクトによるコンゴ盆地の泥炭地のカーボンマップ算出に係る調査・研究を例に、泥炭地保全のためにステークホルダーの合意が重要であることを主張するとともに、ファイナンスの観点からTFFFを通した泥炭地保全の可能性についても言及した。

大崎氏からは、現在JICAが実施中の技術協力「気候変動LULUCFセクター緩和プロジェクト」で実施中の泥炭地からの温室効果ガス排出量に係るTier3レベルのモニタリングシステムの開発について紹介し、炭素収支だけでなく水収支も考慮したMRVモデルの重要性について強調した。

タンネベルガー氏からは、ドイツで実施中の泥炭地マッピングの取組を紹介しつつ、泥炭地保全のためのファイナンスの課題や泥炭地の最湿地化による生態系変化や付随するエコシステムサービスに係る研究結果を共有した。

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1. 大崎専門家による発表

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2. パネルディスカッションの様子

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3. 登壇者による集合写真