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-国内外の『ビジネス・金融』×『ソーシャルセクター』の現場から語る- 第三回 地方創生 2.0 に向けた内外「新結合」ネットワーキング会合を開催しました

掲載日:2026.03.12

イベント |

  • イベント名:第三回 地方創生 2.0 に向けた内外「新結合」ネットワーキング会合
  • 開催日:2026年2月27日(金)
  • 場所:JICA竹橋オフィス
  • 主催:独立行政法人国際協力機構(JICA)

背景・目的

昨年、政府により「地方創生 2.0」に関する今後10年間の基本構想が閣議決定され、政策の5本柱の一つとして地方イノベーション創生構想が掲げられました。構想では、異なる分野や領域、多様なアクターを結びつける「新結合」を通じた共創やイノベーションの創造が目指されています。
開発途上国の社会課題解決に取り組んできた経験を活かし地方創生に資する取組を進めてきたJICAでも、こうした流れを踏まえ今年度「新結合」をキーワードとした本会合を開始し、国内の社会課題解決に取り組むプレイヤーの皆様との意見交換・ネットワーキングに取組んでいます。

第三回となる本会合は、国内外の「ビジネス・金融」×「ソーシャルセクター」による社会課題への挑戦をテーマに開催し、JICA関係者を含め各団体・企業等から約70名の皆様に参加いただきました。会合では5名の有識者に登壇いただき、ビジネス・金融セクターの伴走や資金協力、エコシステム形成のあり方、人材の環流について議論し、社会課題解決に必要な方策について意見交換を行いました。

主な登壇者

  • 石山紗希氏 株式会社ORANDO PLUS 代表取締役(JICA 海外協力隊 OG)
  • 田口一成氏 株式会社ボーダレス・ジャパン 代表取締役CEO
  • 奈良拓磨氏 一般社団法人ソーシャル・イノベーション・パートナーズ ヴァイス・プレジデント
  • 小崎亜依子氏 一般社団法人日本民間公益活動連携機構(JANPIA)出資事業部長
  • 南里彩子氏 三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社 常務執行役員 チーフ・サステナビリティ・オフィサー
  • 平田仁 独立行政法人国際協力機構 上級審議役(ファシリテーター)
  • 井倉義伸 同 理事長特別補佐(開会挨拶)

「ビジネス・金融」×「ソーシャルセクター」現場の実践共有

会合では各登壇者の多様な実践が紹介されました。

①協力隊に参加したことで「地域のニーズに合う取組みをすることと、思いを持ってチャレンジする人が生まれ続けることが、持続可能な地域づくりに繋がる」と感じたと語る石山紗希氏(株式会社 ORANDO PLUS 代表取締役・JICA 海外協力隊 OG (参考:石山氏発表資料) からは、帰国後に故郷青森県弘前市にUターンし取組まれている複合施設「HIROSAKI ORANDO」設立等を通じた、『人づくりと場所づくり』を軸とした持続的な地域のコーディネーター事業の実践について共有いただきました。

田口一成氏(株式会社ボーダレス・ジャパン 代表取締役CEO) (参考:田口氏発表資料) は「行動力がある”特別な人”だけがソーシャルビジネスに関わるのではない。”みんな”がチャレンジできる仕組みを”みんな”の共有知で作り上げ、社会全体に公開していくことが今後のボーダレス・ジャパン社の仕事」と語り、世界15ヵ国45事業の経験を元に構築した、ソーシャルビジネスの立上げ資金・ノウハウ・コミュニティを次世代のチャレンジャーに共有する恩送りのエコシステムを紹介いただきました。

一般社団法人ソーシャルイノベーション・パートナーズ(SIP)の奈良拓磨氏 (参考:奈良氏発表資料) からはNPOや社会課題に取組む企業の第二次成長期に焦点を当て、インパクト拡大のための資金提供・プロボノとのマッチングを通じた経営伴走を行うSIPの事業について共有いただきました。いじめ匿名相談アプリを提供する企業に対して、営業戦略の再設計等の伴走支援から黒字化に至ったとし、「市民と企業が積極的かつ自然体で社会問題の解決にともに取り組む」為、成功ノウハウのコモンズ化に着手している点も紹介されました。

小崎亜依子氏(一般社団法人日本民間公益活動連携機構(JANPIA)) (参考:小崎氏発表資料) からは、休眠預金を活用した出資事業を通じた、社会課題に取組む団体への出資について説明いただきました。小崎氏はJANPIAを『国内で不足しているインパクトファーストの出資者』と位置づけ、今後の展望として、ブレンデッド・ファイナンスの推進等を通じて民間資金の呼び水効果を高めることで、資金が届きにくい領域に挑戦するファンドや団体が育ち増えることを目指したいと語りました。

三菱UFJ モルガン・スタンレー証券の南里彩子氏 (参考:Japan Inclusive Ventures Lab からは、女性や多様なバックグラウンドを持つ起業家によるスタートアップに対し出資、ニーズに沿ってカスタマイズされたカリキュラム、国内外の投資家や業界のエキスパートとのネットワーク提供等を組み合わせて伴走する『Japan Inclusive Ventures Lab』を紹介いただきました。南里氏は今後のインパクト投資の課題について「投資家側が多様化しないと多様な起業家も生き残れない」と指摘し、本日の参加者も含めて新しいアクターを巻き込み、多様化を起こすための働きかけをしていきたいと語りました。

鍵は、挑戦が生まれ続ける仕組みづくりと「新結合」

パネルディスカッションでは、会場参加者からの質疑を交えながら、厳しいビジネス環境での非資金的支援の方策や、支援者と支援の受け手が繋がる仕組み作り、そしてJICAに期待する役割等について活発な意見交換が行われました。
共通して「ソーシャルセクターでは単発の成功事例を生み出すことにとどまらず、挑戦が自然と生まれ続ける好循環をどう設計するかが重要」と指摘され、各登壇者の事業において、成功事例の発信やノウハウ共有の取組みが始動している状況が語られました。
終わりに、ファシリテーターの平田から「同質性の中では生まれ得ない、多様なアイディアや立場・視点を持った者が交わり議論することで生まれる新しい価値」が今後の鍵であるとの認識が共有され、議論は締めくくられました。