リオオリンピック銀メダリスト飯塚翔太選手がルワンダを訪問 JICA海外協力隊員と共に、スポーツ交流や現地での指導を実施!

2023.11.02

陸上競技短距離トップアスリートの飯塚翔太選手(ミズノ)は、東京大会までの3大会連続オリンピック出場を果たし、中でも2016年のリオデジャネイロ大会400mリレーでの銀メダル獲得時には「リレー侍」として注目を集め、その活躍に日本中が熱狂しました。今年8月のブタペスト世界陸上にも出場した第一線の現役アスリートです。
飯塚選手は、トップアスリートであると同時に、自分が現役の間に開発途上地域など、様々なバックグラウンドを持つ海外のアスリートや青少年・子供たちと交流したいという強い気持ちの持ち主。この度、長年師弟関係にある豊田裕浩コーチ(中央大学)とともに10月24日~26日までの東アフリカ・ルワンダへの訪問が実現し、JICA海外協力隊員の協力のもと、現地アスリートとの交流や指導が行われました。これは、2022年11月に訪問したバングラデシュに続く、お二人にとって2年連続の海外訪問の実現となりました。

ルワンダ若手陸上選手(中央)に新たな練習準備方法を指導する飯塚翔太選手(選手の後ろ)と豊田裕浩コーチ(右)、サポートする林理紗陸上競技隊員(左)

ルワンダ若手陸上選手(中央)に新たな練習準備方法を指導する飯塚翔太選手(選手の後ろ)と
豊田裕浩コーチ(右)、サポートする林理紗陸上競技隊員(左)

サッカー交流にて、現地のサッカークラブ関係者(左)と事前打合せを行う(右から)飯塚翔太選手、鰍澤耕平サッカー隊員と豊田裕浩コーチ

サッカー交流にて、現地のサッカークラブ関係者(左)と事前打合せを行う(右から)飯塚翔太選手、
鰍澤耕平サッカー隊員と豊田裕浩コーチ

JICAは「スポーツと開発」を国際協力の重点課題の一つとして位置付けています。スポーツの振興を目指す「スポーツの開発」と、スポーツを手段としながら教育などの課題解決を目指す「スポーツを通じた開発」の2つの観点で事業を推進しています。JICA海外協力隊は、1965年度の事業開始当初から、この分野で現在までに90か国に累計約5,000名を派遣。スポーツ隊員(延べ28競技)を通じた普及・強化や、体育隊員を通じた教育に取り組んできました。

現在ルワンダでは、陸上競技職種で林理紗隊員が活動中で、中高生レベルの陸上クラブにおいて、将来トップレベルになって世界を舞台に活躍することを夢見る選手やコーチたちを指導しています。飯塚選手の来訪が決まり、世界的な技術に接するチャンスが心待ちにされていました。

飯塚選手は、学校でのリレー対抗戦やチャレンジ大会に参加して、素晴らしいランニングを披露し、現場は大いに盛り上がりました。また、若手選手やコーチに向けた練習交流では、今まで選手もコーチも体験したことがない、「スターティングブロック」の使い方、足の動きに肩・お尻・手をどう合わせるかを意識した練習等を、飯塚選手自身が実演・アドバイスし、一同真剣に取り組み、短時間ながら充実した内容の指導となりました。林隊員も「飯塚選手や豊田コーチのアドバイスによって、どんどん動きが変わっていき、練習後に生徒のひとりが「僕の走り変わったよね!向上した!」と教えてくれました。自分の変化を実感すること、できなかったことができるようになった喜びを味わっている選手の表情は充実感に溢れていました。」と嬉しそうに語りました。100メートル走の大会を2週間後に控えた選手も、「今回の指導で腕をまっすぐ保つことの大切さや足の動かし方を学びました。今回学んだことは今後の勝利につながると確信しています。」と大きな手応えを感じたようです。

また、飯塚選手は、サッカー職種で活動中の鰍沢(かじかざわ)耕平隊員を始めとした同国派遣中の隊員有志と現地のアカデミーとの間でのサッカー交流にも参加。飯塚選手によるウォームアップ指導の他、ルワンダ・日本対抗戦では、両チームとも譲らず、大接戦の末の日本チームの勝利に会場も湧きました。鰍澤隊員は「雨季のためコンディションが整わない等、思い通りに行かない面もありましたが、それでも、物・場所・人にこだわらず臨機応変に全てを受け入れ、対応してくださる飯塚選手の姿を見て、改め世界を舞台に戦うトップアスリートの凄さを実感しました。」と大きな刺激を受けたようです。

正味2日間の弾丸のような滞在ではありましたが、飯塚選手・豊田コーチのもたらしたインパクトは大きく、中高生を始めとした現地の人たちにスポーツの喜びと価値を伝える素晴らしい機会となりました。
飯塚選手も生徒たちに「人と比べないで、自分が目指すものを設定し、そこに向かってどうすれば届くかを考えること。結果と同じくらいそこに至るまでの過程が重要。」といったアドバイスを伝えました。また「ルワンダの若手陸上選手のポテンシャルの高さに驚きました。練習を重ねればもっと強い選手になると思うので、先々が楽しみです。そしてまたルワンダに走りに来たいです!」という感想を述べ、今後も隊員を通して、練習方法のアドバイス等、協力したいという希望を披露してくれました。

スポーツには多様な楽しみ方があり、言葉や文化、宗教など社会的背景の違いを超えて人々をつなぐ力があります。また、楽しさや熱狂、感動をもたらし、多くの人を惹きつける力があります。互いへの理解を促し、異なる地域の人々をもつなぐスポーツは、平和な社会の実現へと導く有効な手段であると考えられており、JICAでも途上国に対する協力において重視しています。今回のお二人により実現した貴重な交流・指導もきっかけにしながら、JICAは今後も、海外協力隊などを通じて、「誰もがスポーツを楽しめる平和な世界」の実現に向けて引き続き努めていきます。

※JICA海外協力隊秋募集を実施しています。応募期間は11月1日から12月11日まで。詳しくはJICA海外協力隊をご覧ください。

イベント終了後、ルワンダ ドリームチーム・フットボール・アカデミーの若手選手達と記念撮影

イベント終了後、ルワンダ ドリームチーム・フットボール・アカデミーの若手選手達と記念撮影

ルワマガナ陸上クラブ、ルワンダ若手有望選手との合同練習終了後、参加者全員と記念撮影

ルワマガナ陸上クラブ、ルワンダ若手有望選手との合同練習終了後、参加者全員と記念撮影

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