東京オリンピック・パラリンピックホストタウン交流支援 —山梨市・キルギスの伝統文化・音楽が紡ぎ結ぶ共生の未来-

2021年2月12日

 2021年1月28日、KRJCと山梨市との、オリパラ基本方針推進調査ホストタウンアドバイザー業務委託契約に基づく第3回のオンライン交流事業「山梨市・キルギスの伝統文化・音楽が紡ぎ結ぶ共生の未来」を実施しました。これは、共生社会、心のバリアフリーといったテーマにつきより多くの方が身近に感じていただけるよう、音楽や伝統文化を切り口として企画したものです。

 キルギスからは、盲目の歌手、グルムさんの紹介とミニコンサートがありました。グルムさんは、1980年、キルギスの田舎の小さな村で9人兄弟の末っ子として生まれ、生まれた時から目が見えませんでした。父の放牧に付き添い毎日山の中で歌を歌いながら育った彼女は、キルギスの有名な言い伝え、「肉が好きな仲間は西に行きキルギス人になり、魚が好きな仲間は東に行き日本人になった」というのを耳にし、日本への憧れを持ちました。盲学校卒業後苦労しつつ音楽大学に進み、2011年JICA青年海外協力隊員に志願して日本の歌を教えてもらい、点字で懸命に歌詞を覚えました。その後日本との交流を深め、2012年日本キルギス外交20周年記念式典や、2015年安倍元総理の中央アジア訪問時等に日本の歌を披露しています。2016年には日テレ「のど自慢THEワールド2016春」に出場し、優勝を飾っています。交流会でグルムさんは、東京パラリンピック大会に、キルギスのパワーリフティングの選手の応援で一緒に日本に行くという夢をもっており、本日はその夢に一歩近づけたと語りました。続いて山梨市からは、市内の障害者施設の方々による和紙漉き、和紙商品の紹介が行われ、その後、KRJCの誇るサークル活動で中央アジアを代表する和太鼓グループ「大江戸太鼓」の演奏がありました。

 これで、全3回の山梨市とキルギスとのオンライン交流事業が終了しました。また、2月4日には、キルギスのパワーリフティング協会、パラリンピック候補選手を対象とした訪日に備えたマナー講座も開催。冒頭高木山梨市長から選手たちへの温かい挨拶を受け、続いて訪日時の留意点等に関しての熱心なやりとりが行われました。

 キルギスパラリンピック協会会長は次のように語っています。「これまでの山梨市との交流イベントが、障害者の社会参加と包摂、共生社会の実現と心のバリアフリーに向けた一つのきっかけとなると確信しました。様々な有益な情報と山梨市の大変温かいご支援が、キルギスのパラアスリートたちの精神的な支えに繋がり、東京大会で良い成績を出すための貴重な刺激になっています。」

 かつてキルギス人と日本人は兄弟であったというキルギスでの言い伝えが、ホストタウン事業による山梨市とキルギスとの各種の交流事業を通じて、キルギスの多くの人々の心に実感として広がってきているのを感じます。(提供:山梨市)

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