中央アジア2拠点(ウズベキスタン日本人材開発センター(UJC)およびキルギス共和国日本人材開発センター(KRJC))において初の「経営塾」開講

2021年8月3日

 経営塾は、産業界を牽引していく中小企業人材を育成することを目的として、日本式経営・日本企業の知見を軸とした経営手法を包括的に学ぶための場を提供するコースです。これまで、ベトナム、ミャンマー、ラオスの日本センターなど東南アジアで開催されてきました。
 このコースでは各国において国を代表する経営者を育成してきただけではなく、ビジネスマッチングなどを通じて日本の経済にも貢献してきました。
 現在、各国の日本センターは所在国と日本を結ぶプラットフォーム機能の強化を推進しており、この面からも日本とのビジネスのカウンターパートとなりうる人材の育成は全日本センターにおいて重点的に取り組む事項となっています。
 こうした背景から、東南アジアと比較して経済の発展が遅れ、日本とのつながりが希薄な中央アジアのウズベキスタン共和国とキルギス共和国においても産業界を牽引する人材の育成と日本との経済的な結びつきの強化を図ることを目的とした経営塾を開始することとなりました。
 今回は、隣接する両国でほぼ同時期に経営塾を導入することになります。かかる状況を踏まえ、UJCとKRJCでは双方業務の効率化やナレッジの向上に向け、共通する教材のロシア語翻訳版分担作成や、コロナ禍の中での対応や講義の教訓に関する情報交換等、国を跨いだ協力を行いつつ、取り組みを進めています。

【ウズベキスタン日本人材開発センター(UJC)】
 今年で開所20周年を迎えるUJCのビジネスコースでは、実践的ビジネス知識を習得することを目指した基幹プログラムとして、6か月のPMP(Professional Management Program)を伝統的に実施してきました。ウズベキスタン国内ではこのような内容のコースを行うビジネススクール等は他にないため、既にビジネスに従事している人から今後ビジネスを始めたい人にとって、人気の高いプログラムです。2020年から、より多くの人に受講の機会を提供するために4か月間のプログラムに再編成し、コロナ禍においても一部オンライン化するなどの工夫をし、PMPを継続的に実施しています。
 他方、PMP受講者は、経営者・幹部・幹部候補など様々な異なる立場の参加者から構成されていたため、より企業の経営層に特化したプログラム「経営塾(Keieijuku-Strategic Development of Business Executives)」を2021年立ち上げることになりました。約1か月の募集期間に50名程度の応募者があった中で、PMPの修了生であり企業経営の意思決定権を持つ20名に絞り、6月14日に開講しました。
 UJCで初となる経営塾の開講式では、日本国特命全権大使からの祝辞を賜った後に講師による基調講演、第一科目「経営戦略(Strategic Management)」への講義に移りました。
 UJCでの経営塾の研修項目は、以下の5科目から構成されています。1.経営戦略、 2.財務戦略(Financial Strategy)、 3. マーケティング戦略(Marketing Strategy,)、4人材戦略(Human Resources Strategy)、 5.ビジネスプラン(Business Plan)。英露通訳を介した講義は1日6時間を5日間、6~10月に亘り毎月1回ずつ行います。受講者は、各科目で学んだ内容を、講義のない期間に自身の職場で実践しつつ、最終科目のBusiness Planの内容を練っていくことで、座学と実践が連動し、より実用的な知識・能力の向上することを目指します。
 第1科目は辻聡司講師により6月14日~18日、第2科目は篠崎利恵講師により7月5日~9日に行われ、今後、第3科目以降の講師にバトンタッチされていきます。経営塾のハイライトはJICA本邦研修であり、2022年には20名の第1期生に日本へ足を運んでもらい、日本の企業現場を視察するとともに、日ウ企業のビジネスマッチングにもトライしてもらいたいと考えています。

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藤山美典大使による開講式祝辞の様子

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鈴木康次郎UJC共同所長による開講式挨拶の様子

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辻聡司講師による基調講演の様子

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辻聡司講師による「Strategic Management」講義の様子

【キルギス共和国日本人材開発センター(KRJC)】
 KRJCではこれまで、常設コースとして、学生や起業前の方を対象とした2週間のビジネススタート、および経営者や起業家、従業員まで幅広い層をターゲットに、経営管理、生産・品質管理、人的資源管理等実践的な日本的経営のノウハウが学べる3か月のビジネスコース「mini-MBA」を開催してきました。
 mini-MBAでは、これまで1500名の修了者を輩出しています。その中には、多数の経営者を含みますが、これらのニーズに対応するより高度な常設コースの検討が課題となっていました。
 また、キルギスに関心を寄せる日本企業、およびキルギス側において日本企業とのビジネスが可能な成熟度の高い企業は数少ない状況であり、KRJCの両国関係組織や人々を結び付けるプラットフォーム機能の強化にあたってのボトルネックとなっています。
 このような背景を踏まえ、2021年度、KRJCは常設コースの再編、プラットフォーム機能の強化の両面に対応する形で、キルギス経営者のリーダーシップ、管理能力育成講座として、「経営塾」の導入を決定しました。
 受講生の募集は日本とのビジネスマッチングの意思を有する経営者のみを対象とし、日本的経営、日本企業の知見の包括的な理解と実践的な実習を柱に据え、習得した内容を経営に直接反映いただくことを目指した構成としています。初回となる今回は、mini-MBA卒業生を中心に13名が参加し、7月5日に開講しました。
 コースは受講者の業務状況やコロナ禍の影響に柔軟に対応できるよう、オフライン・オンライン双方での参加が可能で、受講者が講義を聞き逃した場合でも録画によりキャッチアップ可能なハイブリッド形式で実施しています。
 今後、1日3時間のコースを2週間開催し、その後、与えられた課題を自社に置き換えて検討するための2週間のインターバルを経て次のモジュールを開始する、という流れを基本に、12月まで6つのモジュールを開催します。コースの終盤では、コロナ禍の状況を注視しながら、日本企業とのマッチングを目指した訪日プログラムを行う予定で、想定する日本企業とのビジネスの内容など受講者への個別のヒアリングを進めています。

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辻聡司講師による「Strategic Management」講義の様子

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教室ではビシュケク市の規定に基づく感染対策を遵守

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オンラインでの受講者が視聴する画面、受講者はeラーニングのプラットフォームを通じて録画を視聴することが可能

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個別インタビューでは受講者が熱心に日本とのビジネスについて説明