2013年 フィリピン台風

被災直前・直後から復興へのシームレスな支援を目指して

2013年11月8日にフィリピンを直撃した台風30号(フィリピン名:ハイヤン)は、甚大な被害をもたらし、2014年1月時点で1,600万人以上の人々が被災しました。このような大規模災害に対し、国際緊急援助隊でも医療チームや専門家チームの派遣をはじめ、多くの支援を行いました。

まず初めに、台風がフィリピンを直撃する直前に、国連人道問題調整事務所(UNOCHA)から要請を受け、日本の招集の窓口機関であるJICAが国連災害評価調整チーム(UNDAC)メンバーを1名被災地に派遣しました。UNDACメンバーは、災害直後に被災地に入り、被害の初期評価のほか、国際支援の調整等を行い被災国政府の支援をします。今回日本からは、被災直後にもう1名UNDACメンバーを派遣し、海外の被災地で初めて複数の日本人メンバーが活動することになりました。

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診療活動(看護師(右)が姿勢を低くし、通訳(中)と共に患者(左)の目線で症状を聞き取る様子

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早期復旧専門家の活動の様子

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油防除専門家の活動の様子

次にJICAが行ったのは、医療チームの派遣です。台風直後にフィリピン政府から要請を受け、11日に国際緊急援助隊・医療チームの第1次隊を派遣しました。チームは最も被害が大きかったレイテ島タクロバン市に活動拠点を構え、3次隊に至るまで約1ヵ月間被災地での医療支援に当たりました。今回の派遣では、東日本大震災の教訓を生かし、市の中心地だけでなく、支援が十分に行き届いていない周辺村落への巡回診療や、他地域の病院における支援も積極的に行いました。また、日本が携行したレントゲンや検査機材は他国の医療チームからも使用を依頼されるなど、広く現場の医療活動に貢献しました。

現地では、医療以外にも多くの支援の必要性がありました。特に、台風と高波により被災地での物資は極端に不足していました。JICAはフィリピン政府からの要請に基づき、現地で必要性が高いとされた、テント、プラスチックシート、スリーピングパッド、発電機、浄水器、水など6,000万円相当の物資供与を行いました。JICAはこれらを直接被災地に届けるとともに、使用方法の実演・説明なども行いました。

また、パナイ島では、台風の影響で座礁した発電バージ船から油が流出する事故が起きました。これに対し、JICAと海上保安庁から成る専門家チームを派遣し、被害調査と油防除についてフィリピン政府に助言や指導を行いました。さらに、国土交通省、独立行政法人水資源機構、JICAなど複数機関から成る早期復旧のための専門家チームも派遣しています。防災、都市計画の観点から現地で調査を行い、フィリピン政府に報告や助言を行いました。

JICAは、このように復興へのシームレスな支援を目指した多様な緊急支援を実施して、これからもフィリピンの復旧と防災能力強化のために活動を続けていきます。

日本の対応:
  • UNDACメンバー派遣:2名
    11月11日〜22日
  • 医療チーム1次隊:27名
    11月11日〜23日
  • 医療チーム2次隊:30名
    11月20日〜12月3日
  • 医療チーム3次隊:24名
    11月29日〜12月12日
  • 専門家チーム(早期復旧):17名
    11月26日〜12月19日
  • 専門家チーム(油防除):5名
    12月4日〜13日
  • 物資供与:
    6,000万円相当の緊急援助物資(テント、プラスチックシート、スリーピングパッド、発電機、浄水器、水)等をフィリピン政府に供与