〈JICA海外協力隊グローカルプログラム〉3ヶ月のプログラムを終えて思うこと、そしてこれからの抱負

 「JICA海外協力隊グローカルプログラム(派遣前型)」は、JICA海外協力隊合格者のうち希望者に対し、自治体等の地域活性化、地方創生の取り組みにOJTとして参加する機会を提供するプログラムです。2022年1月より開始し、九州では10月までに熊本県内の5自治体で17名を受け入れました。各実習生は、約3か月間の就労体験や地域の方々との交流を通して、地域の取り組みを学び、海外での協力活動に活かすこと、更に帰国後の社会還元活動につなげることが期待されています。
 7月-9月にこのプログラムに参加したJICA海外協力隊候補生のうち、3名の方にプログラムを終えた感想やこれからの抱負を語っていただきました。

【堀部 聖人】 実習先:熊本県山江村 派遣国:ケニア 職種:青少年活動

ヤマメ養殖場での活動

地産地消レストランでの活動

子供たちとのワークショップ

〈プログラムを終えた感想〉
今回のグローカルプログラムでは、熊本県南部にある山江村という小さな村で実習しました。本プログラムでは、ヤマメ養殖場の復興支援に携わったり、地元の地産地消レストランで働いたりと幅広い分野での活動に取り組ませてもらい、どれもとても貴重な経験になりました。また、山江村に限らず球磨地域の小中学生が世界に関心が持てるように、「もし世界が100村だったら」のワークショップや私の海外体験談の講座などを実施しました。子どもからは、「世界にはまだ知らないことがいっぱいあり、いつか海外に行ってみたい」や「将来、青年海外協力隊に挑戦したい」などのコメントをもらい、ほんの一部でありますが、外の世界に飛び出すきっかけづくりができたかなと思っています。
最初は活動の方向性が定まらず、3か月間で活動が形になるか不安に感じていましたが、コーディネーターの方をはじめ、同期の実習生や地域の方々など色々な人にサポートしてもらい、何とか成果を残すことができました。最後には地域の方々から激励の言葉をもらい、お別れの時に涙が止まりませんでした。グローカルプログラムで学んだことを胸に、ケニアでの活動もがんばりたいと思います!

〈今後の抱負〉
 ケニアではストリートチルドレンを受け入れている教育機関に派遣される予定です。グローカルプログラムを通して、山江村や球磨地域の小中学校とのつながりができたので、ケニアの学校と地域の学校をつないだオンライン国際交流を企画していきたいと思っています。今回できたご縁をこれからも大切にし、山江村や球磨地域と世界をつなぐ架け橋になりたいです!

【小林 桃子】 実習先:熊本県芦北町役場 派遣国:セネガル 職種:小学校教育

海岸でのミュージケーション

得意な楽器演奏を生かして

焚火を囲んでの演奏

〈グローカルプログラムの感想〉
 7月から始まったグローカルプログラム。私は、熊本県の芦北町で実習を行ってきました。長く地元を離れて生活をする経験がなかったこと、これまでの仕事とは異なる活動をすることに当初は不安がありました。しかし、グローカルプログラムが終わった今、3か月はあっという間で、そして毎日充実した日々を送れたなと感じています。
 芦北の玄関口である観光施設“御立岬公園”で従業員の方と一緒に業務を行ったり、インスタグラムで施設のPRを行ったりしていました。また、自分の特技である楽器の演奏を生かし、自宅以外で音楽を自由に楽しむ“ミュージケーション”という企画に取り組みました。実習を通して、一人ではできないことも、同じ思いをもつ仲間がいればアイディアとチームワークで乗り越えられるということを学びました。協力してくださった、JICA熊本のみなさん、そして芦北町の地域の方々にはとても感謝しています。
 活動を通して芦北の魅力を伝えたいという当初の目標はどこまで達成できたかはわかりませんが、何より私自身が、グローカルプログラム、ミュージケーションの期間中にますます芦北町のことを好きなっていきました。そして、ミュージケーションを実際に企画し実行できたことは私の自身になっています。始まったばかりの企画ですが、これからも熊本の魅力を伝えるこの活動を続いていってほしいなと思います。

〈今後の抱負〉
 22年度3次隊小学校教育隊員として、西アフリカのセネガルに派遣される予定です。芦北町で感じたこと、経験を生かして活動に取り組んでいきたいと思います。
 またこのグローカルプログラム期間中、年齢や出身地を超えたたくさんの交流を持つことが出来ました。今は、SNSやオンラインを通してどこでも繋がれる時代です。派遣中はもちろん、派遣後も芦北町で出会った方々と交流を続けていきたいです。

【森 大晴】 実習先:熊本県玉東町役場 派遣国:ブラジル 職種:野球

国際交流イベントの様子

〈グローカルプログラムを終えて〉
 グローカルプログラムは3か月という短い期間ではありますが、協力隊として活動する2年間がぎゅっと短くなった練習の舞台のように感じました。日本国内とはいえ最初は知り合いもいない土地に行って、そこに居る人たちと関係を作っていき何かをしようとするのは、海外派遣後に活動する場合と同じになると思います。実際に私も今まで知らなかった場所で、最初は誰も知らない人たちの中での活動でしたが、活動中に出会った人たちと協力して国際交流イベントを開催したり、町のヒーローに扮して公園で遊んでいる子供たちと遊んだりといった活動をしました。もちろんうまく行かないことや、難しさを感じる場面も多々ありましたが、そういったことも含めて、グローカルプログラムに参加して学んだことや感じたことは派遣後の活動に活きてくると思います。また、協力隊経験者を含め様々な人たちと出会い、つながりが広がることもこのプログラムの非常に良い点だと思います。

玉東町のヒーロー、オレンジャーでの活動

〈今後の抱負〉
 グローカルプログラムでの活動中は言葉も通じ、文化も一緒の人たちとの活動でしたが、海外に派遣されたら言葉も文化も違う人々とともに協力することになりもっと難しく感じる場面が増えると思います。グローカルプログラム中にうまく行ったと感じたことは海外でもやってみるなど学んだことを活かしていきたいです。

 
 実習生の皆さんそれぞれが、自身の特技や経験を生かして様々な活動にチャレンジし、そして地域の皆さんとのつながりを築いていました。ここで得た経験はきっと海外での協力活動にも生かされるでしょう。3ヶ月間で芽生えた地元の皆さんとの絆をこれから更に育てていってほしいと思います。
 次のステージは、それぞれの派遣国!元気に活躍されることを願っています。