遠隔研修で学ぶ日本の「ものづくり」

企業に指導を行うテディさん

企業に指導を行うセーラムさん

 今年度初の試みとなったオンラインによる研修で「品質管理・生産性向上(日本的ものづくり)」コースに参加されているエチオピアのテディさんとセーラムさんにお話を伺いました。お二人は同じ機関で働かれており、研修中の熱心な態度が印象的でした。このイレギュラーな状況の中、どのような思いで研修に臨まれているのでしょうか。

ものづくりコース参加の経緯

テディさん:私は現在コンサルティングの仕事をしています。あらゆる企業にとって「生産性と質の向上」は重要なトピックです。日本はこの点において、豊かな経験と知識を有しています。このものづくりコースを受講するにあたり、日本がもつ技術だけでなく日本人のものづくりに対する姿勢も学ぶことができると考え、このコースへの参加を決意しました。この研修で学んだことは私のコンサルティング能力を大いに向上させると思っています。このコースに参加することができて本当に幸運だと感じています。

オンライン研修に参加してみて

コンサルティング関係者と打ち合わせを行うテディさん(立っておられるのがテディさん)

テディさん:対面の講義と比べると、オンラインには劣後する面があることも否めないと思います。しかし、やらなければいけない仕事がたくさんある中で、働きながら遠隔の研修を受けられることはメリットだと感じています。また私は二人の子供がいて、毎日家族に会えるということも個人的には利点だと思っています。

セーラムさん:このコースで教えられている内容は私のコンサルティング業務に直接関連することなので、オンラインということに関係なく、この研修の意義を強く実感しています。しかし、新型コロナウイルスの影響で、実践的に学ぶ機会が少ないことはひとつのデメリットであると思います。

研修の難易度について

コンサルティング関係者と打ち合わせを行うセーラムさん(右奥がセーラムさん)

セーラムさん:もちろん研修の難易度は高いと感じます。例えば、このコースで学んだ課題解決やQC(品質管理)、メンテナンスについて、私は業務経験があるのにも関わらず、完全に理解できているわけではないことを実感しました。この研修を通して、Gemba(現場)に行くことの重要性を再認識しています。

研修中のモチベーション

テディさん:正直、100%研修に集中できているとは言えません。研修後の仕事のことを考えると気が散ってしまうこともあります。しかし私が今コンサルティングしている企業に対する責任が研修に取り組むモチベーションを高めてくれています。

セーラムさん:このコースに参加するにあたり、職場がすべてのことを準備してくれました。彼らに対する責任感がモチベーションの源です。そのため、オンラインであっても遅刻したり、提出物を遅延したりすることはありませんし、毎回一番にZoomに入室しています。

研修に際する教材等(テキスト、理解度テスト、レポート)について

テディさん:テキストに載っている情報量は確かに多いですが、エチオピアでは「多すぎるに越したことはない」という考え方があります。テキストを用いて講義中に理解できなかったところを復習することができます。もちろん来日研修時にも活用するつもりです。理解度テストも自己評価するうえで大いに役立っていると感じています。点数が低ければ、学ぶ姿勢を改善しようという意識に繋がります。提供されている教材すべてにおいて満足しています。

研修員との交流について

テディさん:コミュニケーションはとても大切だと思います。文化や生活の在り方の違いを実感することは非常に意義深いことですし、実際コンサルティングにおいてもそういったコミュニケーションは役立つのではないかと考えています。なるべく早く、このコースに関わっている日本人(講師の方など)のみなさんも含む「ものづくりファミリー」と対面の交流がしたいです。

本邦研修に関して

セーラムさん:日本で研修に参加する際は、オンライン研修では学べなかった実践的な内容を学びたいです。また、日本の工場を視察し、オンライン講義で何度も言及された実際のQCC(品質管理活動)を間近で見てみたいです。


 日々の業務を抱え、多忙にもかかわらず、真摯にお話してくださったテディさんとセーラムさん。イレギュラーな状況にも動じず、研修に取り組もうとする姿勢は、同じように大学でオンライン授業を受けている学生として学ぶべきものがありました。延期となった来日研修(2021年9-10月実施予定)にて、日本的ものづくりの更なる見識を高め、各々のキャリアに生かされることを願っています。