東京オリパラ記念企画 事前キャンプに帯同した元隊員に聞いてみた!(前編)

2021年9月21日

インタビューの様子 左:高橋昭文さん、右:JICAデスク福岡 鬼丸

髙橋昭文さんは2017年3月シニア海外協力隊としてミクロネシアに派遣され、同国の水泳連盟の競泳ヘッドコーチとして、主に国際大会に向けた選手強化と大会への引率などの活動を行いました。約2年半の任期が終わり、一度日本に帰国した後も、短期派遣で再度ミクロネシアへ行かれました。
このように継続してミクロネシアでの競泳選手の育成に関わってきた経験から、2021年福岡県みやま市で行われた東京オリンピックパラリンピック(以下、東京オリパラ)水泳の代表選手団の事前キャンプに帯同されました。
今回は高橋さんのミクロネシアでの活動内容と東京オリパラの選手帯同の経験についてお話を伺いました。
前編では、出場した選手と高橋さんとの出会いからホストタウンでの事前キャンプの様子について掲載いたします。

【隊員データ】
隊員区分:シニア海外協力隊
派遣国:ミクロネシア 職種:水泳
派遣期間:2017/03/28~2019/08/07(長期派遣)
     2019/12/10~2020/08/02(短期派遣)
*世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響で昨年3月下旬より一時帰国となりました。
配属先:オリンピック委員会

1.今回、東京オリパラに出場した選手と高橋さんとの出会いは?

隊員時代の活動写真 韓国光州市での世界選手権にて。左端:高橋さん、真ん中:ティアーナ選手、右端:タシー選手

鬼丸 今回東京オリパラの出場を果たした選手はミクロネシアで高橋さんが指導していた選手なのでしょうか?

高橋 はい、そうなります。隊員時代から関わっていた2名の選手がユニバーサリティ出場枠※1という形でオリンピック出場が決まりました。タシ—選手とティアーナ選手という2名です。

鬼丸 ミクロネシアから2名の選手が出場したのですね!まずは1人目のタシ—選手との出会いを教えて頂けますか?

高橋 タシ—選手とはこれまで3度くらい世界選手権やオセアニア選手権に帯同してきました。彼は、途中から国際水泳連盟が行っている奨学金制度でタイのプーケットを拠点に練習するようになりました。なので直接指導していたわけではありませんが、わたしからは事務処理や推薦書作成などのサポートで彼の練習環境を整えたという関わりです。彼がタイに行ってからも、練習内容や記録を定期的な報告としてもらいながらサポートをしておりました。

鬼丸 そんなタシ—選手と日本で再会したときの印象をお聞かせください。

高橋 こういった時代ですのでたまにオンラインで話していたので、そんなに久しぶりという感じはしませんでしたけど、事前合宿でみたところ、身体が絞れてしっかり調整してきたな、という印象でした。あとはタシ—選手は日本に在住していた経験もあったので、日本人の関係者にはしっかり挨拶をしておくように伝えました。

鬼丸 選手によって様々な形でのサポートがあるのですね!
次にもう一人のティアーナ選手についてお聞かせください。

高橋 彼女は私が赴任した2017年3月からミクロネシアでずっと一緒に練習をしてきました。そして徐々に力がついてきて、ミクロネシア連邦での選考会でも一番の成績を収め、その後ユニバーサリティ出場枠での出場を決めました。彼女と最後に会ったのは2020年3月でしたので、今回1年半ぶりに日本で再会しました。身体的には、背中にしっかり筋肉がついていて、去年行ったウェイトトレーニングの効果が出ているのかなという印象でした。

※1ユニバーサリティ出場枠とは
「国際水泳連盟が水泳競技の発展していない国での競技の普及と青少年の友好親善を目的に設定した特別枠」

2.ホストタウン(みやま市)での事前キャンプについて

事前キャンプ みやま市にて

鬼丸 次にみやま市での事前キャンプの様子をお聞かせください。

高橋 地域との交流はコロナ禍で制限がありましたが、2回ほど激励の訪問を頂きました。1回目はみやま市長さんと地元の中学生、2回目は柳川市長と地元の高校生でした。感染対策のために直接声を交わしての交流は出来なかったですが、メッセージボードを作成し、感謝の気持ちを表しました。あとは、お弁当や差し入れをして下さった方や宿泊したホテル、練習会場のプールにそれぞれ寄せ書きを作成しました。外出制限があったので福岡県に来たという実感は得にくかったですが、お弁当で柳川市名物のせいろ蒸しやみやま市から馬刺しが出たのは印象的でした。特に馬刺しは選手も珍しがって喜んで食べていて、おかわりをしている選手もいました。

鬼丸 馬の肉を食べるという文化も世界的にみると珍しいのかもしれないですね。

高橋 まあ、ミクロネシアでは犬を食べる地域もありますけどね(笑)ポンペイ島という所だけかもしれませんが。

鬼丸 二人の練習中の様子はいかがでしたか?

高橋 これまでも練習の様子をずっと見てきたので、大きく変わったような印象はありませんでした。タシ—選手もティアーナ選手もこれまで世界選手権の出場経験があるので、二人とも落ち着いていて自分のペースで試合に向かっている様子でした。

みやま市に宛てた色紙

後半では、東京大会での様子や「スポーツを通じて国際交流・国際協力」に関心のある方に高橋さんからのメッセージを掲載いたします。

どうぞ楽しみにお待ちください。

(JICAデスク福岡 担当:鬼丸)