北九州市立霧丘中学校「総合的な学習の時間」(全11時間) SDGs -持続可能な社会を自分たちの手で-

2021年11月4日

【画像】『総合的な学習の時間』×SDGsの授業作りに挑戦する霧丘中学校の先生方とJICAデスク福岡 鬼丸推進員の協働授業が実現しました!JICA九州開発教育担当スタッフが、これまでの経緯とともに授業見学に訪れた際の様子をレポートします。(2021年10月19日)

「世界を知り、生徒にさまざまな考えるきっかけを」(これまでの経緯)

【画像】 JICA海外協力隊OV(H24-2理数科教師タンザニア派遣)の北九州市立霧丘中学校社会科教諭 山本敬典先生は、1人でも多くの生徒に世界のことを伝えたいという思いで、帰国後もJICA地球ひろば主催2020年度国際理解教育/開発教育指導者研修受講や授業実践、報告会に取り組まれていました。
 同時に、「自分たちは世界に行ったことがないから、いろいろな経験をしている人の話を子どもたちに」という思いを語ってくださった霧丘中学校の先生方の生徒への想いがつながり、同校での全11時間の『総合的な学習の時間』SDGs~持続可能な社会を自分たちの手で~という授業実践への挑戦が始まりました。
 また、本授業の目的「世界の様々な問題を『自分ごと』と捉え、できることを考える」と「社会参画意識の向上」を達成すべく、当日に向け、先生方と鬼丸推進員の事前打合せや資料共有が行われました。

「なんで、JICAで支援をしようと思ったのですか?」(当日の様子)

 当日は、感染対策の下、体育館に2年生が集合し、最初に、立候補によるSDGs委員会のメンバーが紹介されました(今後の文化発表会等での活躍が期待されているということです)。
 その後、鬼丸推進員より、前回授業の振り返りを導入に、JICAと国際協力やヨルダンでの理学療法士としてのJICA海外協力隊活動を題材に、さまざまな発問がなされました。映像や写真を集中して見て、たくさんのメモをとったり、迷いながら挙手をしたりする生徒皆さんの姿が印象的でした。また、生徒の皆さんからは、「身体リハビリなどの直接的なケアだけでなく、会話を通して心のケアを行っていた」、「持続的な支援を考えるきっかけになった」といった感想や、「JICAに入る前は何をされていたのですか?」「なんでJICAで支援しようと思ったのですか?」などの質問がありました。

授業ノートの感想

以下、共有いただいた授業ノートの感想を一部抜粋して紹介します。 
・持続的な支援とは、そのこと自体をしてあげることではなく、その人がいつでも“自分”でできるように、やり方を教えてあげることだと分かった。
・大人になった時に、自分にあった種類の要望があれば、自分も(JICA海外協力隊に)行ってみたいなと思った。
・好き嫌いや無駄遣いをなくしたり、食べ残しを少なくしたりしていきたいと思った。
・(鬼丸さんが)JICAに入りたいと思ったのは中学生の時だと聞いて、中学生の時から何かすきなことやかっこいいことを見つけていくのは大切なことなんだなと思いました。
・相手の気持ちに寄り添いながら相手に合う治療法を探して支援したと聞いて、私も言い合いになりそうになっても、自分の気持ちだけでなく相手の気持ちも考えるということも教わることができました。

「発展することで、地球環境を壊してしまうのではないか?」(今後に向けて)

【画像】 社会科の後藤健司先生より、「(SDGsを考える授業中、)生徒から“発展することで、地球環境を壊してしまうのではないか?”という疑問が出て、どう答えていいか分からず、一緒に考え込んでしまった。このように課題の大きさに挫折してしまう生徒もおり、いかに授業を構成するかが課題」というお話がありました。一方、「SDGsゴール4:質の高い教育をみんなに」では、「山本敬典という男」というテーマでプレゼンテーション準備を進めている生徒もいて・・・と楽しそうに話してくださった先生方の笑顔が印象的でした。
 日頃から先生方と生徒皆さんの信頼関係のもと、授業づくりが行われている日本の教育現場を垣間見た瞬間でした。
 SDGsを通して考え、議論することは、生徒皆さんの様々な視点から、興味や関心事を引き出し、これからの世界と主体的にどう向き合っていくかを考えるきっかけになる。これが、学校現場でのSDGsのはじめの一歩になるのではないかと感じました。また、改めて、国際理解教育分野におけるJICAの社会還元の在り方を考えるきっかけとなりました。
 霧丘中学校での『総合的な学習の時間』×SDGsの授業が今後どんな発展をしていくか、これからが楽しみです!

下記リンクで、山本敬典先生のJICA海外協力隊時代の活動が紹介されています。