ドミニカ共和国の中高校生がファッション業界の環境問題を考える!? 谷裕介さん(モデル、ファッションプランナー)、中江川力也さん(社会音楽家)との環境Kidsエキスパートワークショップをサントドミンゴで開催!
JICAはドミニカ共和国 サントドミンゴの芸術工芸技術学校とミネルバ・ミラバル中高等学校にて、モデル・ファッションプランナーの谷裕介氏によるファッションに関わる環境問題をテーマにしたワークショップを開催しました。また、子供たちのアイデアをもとに楽曲を制作すべく社会音楽家の中江川力也さんも参加しました。
このワークショップは、日本やドミニカ共和国の子供たちが世界の環境問題改善のアイデアや取り組みを自ら考え、開発途上国の環境課題解決や生活改善を行うことを目的として2023年に開始した「JICA環境KIDSエキスパート事業」の取り組みの一環として行われました。子供たちが持つ創造力、発信力、共感力を伸ばし、それを国際協力の世界に活用していくことが出来るのではないか。そんな想いから事業に取り組んでいます。
教室いっぱいに集まった中高生たちは、谷氏による「ファッションと環境~服の旅人~」をテーマとしたプレゼンテーションに熱心に耳を傾けていました。また、「1枚のシャツをつくるのに何人の労働者が必要でしょうか?」「日本では1日にどのぐらいの量の服が捨てられているでしょうか?」といった谷氏の問いかけに対して、積極的に手を挙げて自分の意見を発信する参加者たちの姿が多くみられました。
その後、参加者一人ひとりが「ファッションプリンシプル(服を買う時のクライテリア)」を優先順位付けして7つ挙げ、それらの条件を反映した「理想の服」を絵で表現しました。参加者たちは、教室内を回る谷さんや、中江川さん、JICA職員、周りの友人たちと対話を重ねながら、少しずつ絵を完成させていました。ワークショップの最後には作品の発表会が行われ、それぞれの個性や価値観が反映された絵にクラスメイト達からは歓声があがっていました。
ワークショップの最後に、中江川がその場で「十人十色」という楽曲を制作し、教室中の中高生たちによる大合唱が起こり、授業後も続くほど大きな盛り上がりをみせました。「十人十色」はタイトルの通り、ドミニカ共和国の子供たちの笑顔や個性がそれぞれ違った輝きを持っていることを歌っており、一人ひとりが自身の服との向き合い方について考えた今回のワークショップにふさわしい締めくくりとなりました。
ワークショップの意義について谷氏は、「ドミニカ共和国の経済状況は日本とはまた異なるため、 『生活が決して豊かでなくてもおしゃれをしたい・他国の環境問題まで気にする余裕はない』と考え、大量生産・輸入された安価な服を購入するケースもあると思う。 それでも、ファッションが自分の国の環境にも影響を与えているということや、地球規模の深刻な環境問題・労働問題につながっているということに気付き、そういった課題に対するドミニカ共和国の世界の中での立ち位置まで考えることに繋げていくのはやはり重要」だといいます。
そのうえで今回のワークショップを振り返り、「服育をただやるだけでは面白くない。今回のように、彼らが大好きな音楽や踊りとかけあわせることで、 真面目な部分とその反動としての音楽や踊りがどっちつかずにならずにお互いを高めあい、エピソード記憶として彼らの中に残っていくだろう」と語りました。
ワークショップで積極的に手を挙げる生徒たち
思い思いに絵を描く生徒たちを見て回る谷氏
生徒たちとの会話を楽しむ場面も
クラスメイトの前で最終発表
中江川氏による即興曲「十人十色」のパフォーマンス
曲に合わせて歌いながら手拍子をする子供たち。この後立ち上がっての合唱となった。
scroll