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【ニュース】JICAニカラグア事務所職員エドゥルルフォ・グティエレスさんの紹介記事完成(日本語)

2023.04.03

エドゥルルフォ・グティエレスさん(JICA ニカラグア事務所)

JICA本部でのOJT研修に参加されていたJICAニカラグア事務所のエドゥルルフォ・グティエレスさん(通称:エドさん)にインタビューを行い、仕事に対する心構えや考えをお聞きししました。エドさんの「自分の国のために力になりたい」という強い思いが伝わってきました。

現在のJICAニカラグア事務所の仕事に就いたきっかけは何ですか?

大学の主専攻として政治学、加えて副専攻として、ガバナンスと社会開発を学んでいた頃から、将来は自分の国に役立つ仕事がしたいと考えていました。私の国・ニカラグアは、貧困と戦っていますが、歴史的にも地震や火山噴火、ハリケーンなどの多くの自然災害のほか内戦といった、多くの問題を抱えてきました。このような常に多くの困難に直面してきた自国の状況を改善するために、ニカラグアの発展に貢献できる専攻を学びました。

大学の学位を取得した後は、ニカラグア外務省で働き始めました。外務省では、ニカラグアとヨーロッパとの外交に関わる部署に所属し、ニカラグアとヨーロッパ諸国の外交に携わりました。その仕事をしている中で、より直接的にニカラグアの人々の生活環境をよくするような仕事がしたいと考えいた時、JICAに空席ポストがあることを知りました。JICAやそのポストの役割を調べる中で、JICAがニカラグアにおいて、保健、インフラ、および自然災害などのセクターにおいてインパクトの大きいプロジェクトを行っていることを知り、JICAの仕事にますます興味を持つようになりました。そして2014年末に、協力プログラムのアシスタントとして初めてJICAニカラグアの一員となりました。

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研修プログラムに参加中に訪れた東京のJICA本部にて

ニカラグア事務所でのエドさんの役割は何ですか?

現在はインフラ、エネルギー、都市開発、そして融資プロジェクトのプログラムを担当しています。例えば、担当しているセクターのJICA協力では、24本もの橋の建設があります。これらのJICAによる無償案件で建設された橋は、国の中で非常に重要な幹線道路に位置しているため、「ニカラグアに来るすべての人は、必ず日の丸国旗のついているこれらの橋をいくつも渡っている」と私はいつも言っています。ニカラグアの国内輸送では、貨物と乗客のほぼ90%が陸上輸送を利用しているからです。他にも、JICAは2014年に「国家交通計画」を作成し、これは国全体にとって交通の整備・発展をしていく上での指針となっています。また国の都市開発関連では、2017年にJICAが「マナグア市都市開発マスタープランプロジェクト」にて作成した「マナグア市都市開発マスタープラン」があります。これにより首都であるマナグアの市民にとってより持続可能な都市環境を実現し、首都の経済発展を促進するために重要なものとなっています。私が担当しているこれらのセクターは、ニカラグアにおいて非常に重要なJICAの貢献です。なぜなら、物理的な側面に加えて、両国の間に絆と信頼を築くことができ、これらの信頼の架け橋を通じ、両国間の理解を促進し、深めることができるからです。

JICAの仕事について、どのような場面で満足していますか?

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JICAニカラグア事務所の同僚と共にマナグア湖の湖岸にて状況を視察するエドさん(右手前)。

ニカラグアの元運輸大臣であるパブロ・マルティネス氏との会談で、ニカラグアにさらに多くの橋を建設するために、次期の協力を検討していた時のことです。大臣は、1998年のハリケーン・ミッチの通過前後の写真を取り出しました。ハリケーン・ミッチは国のインフラのほぼ90%を破壊しましたが、当時日本が建設した2つの橋は無傷のままだったのです。雨で道さえ激しい損傷を受けている中、橋だけが立っている姿を写した写真を見たとき、私も衝撃を受けました。大臣は言いました。「日本が建設した橋は、他の国が建設した橋よりもコストが高いかもしれない。しかし、この高いコストは品質と耐久性に比べれば何でもないものであり、それこそが、私たちがローンに関心を持っている理由です。この支援で建設するインフラは、必ず日本企業が建設するということを保証してほしいのです」。これは、ニカラグアが日本の協力に対して大きな信頼を持っていることを示しています。

経済発展が進む中、ニカラグアは2015年には低所得国を脱し低中所得国へと地位を上げてきました。これにより、ニカラグアはODAの有償資金協力を受けることができるようになりました。この新しい協力スキームの下で、ニカラグアから橋梁建設のための新たな協力要請を受けJICAは2017年、北部のカリブ海地域における橋の再建設に対し、長い猶予期間と非常に低い金利というニカラグアにとって非常に有利な条件で対応しました。ニカラグア政府は、本邦技術活用条件(STEP)(注)で、日本の技術を使用し、品質を確保してプロジェクトを進めることができました。

JICAで働く上で、エドさんが思う一番重要なことは何ですか?

私たちの仕事で最も重要なことの1つは、受益者のニーズを理解することです。JICAは政府のニーズを根拠に動くのではなく、人々のニーズに応えた活動をしてくべきだと思っています。私たちナショナルスタッフは、任期ごとに国を行き来する日本人の職員よりもはるかに容易に自国に関する知識と経験を蓄積することができます。国をよりよく理解することで、地元の人々の特定のニーズに正確に対応するより良いプロジェクトを実施し、JICAという組織への貢献をすることができます。同様に、国における様々な事実や担当セクターの状況を知ることで、地域にとって適切かつ効率的な方法で協力を遂行するためのやり方が分かり、日本人職員へアドバイスをすることもできます。これら加えて、JICAが提供する協力について異なる協力形態やグローバルでの目標、テーマ別戦略などを理解することも非常に重要だと思います。それを知ることで、より有効なプロジェクトを提案することができるからです。こうしたJICAに関する情報を、カウンターパートである政府機関に共有することができることも、ナショナルスタッフとしての仕事の一部です。

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マナグア湖の環境条件の改善を目的とした行動の策定と実施に挑戦したBIWAKOタスクフォースのメンバーとエドさん(右)。

今回東京にいらっしゃった目的は何ですか?

今回はOJTとして、有償および技術協力プロジェクトの監理と監督に関する知識を強化するために来日しました。さらにJICA本部の全般的な業務の理解を深め、ニカラグアで実施するプロジェクトに関連する関係者ともコミュニケーションを取ることができました。

私たちナショナルスタッフが組織全体のことを理解できれば、今後新しい企画の提案にもつながるのではないかと思います。特にニカラグアでは、より多くの新しいアイディアと革新が求められています。今回の来日の機会を活かし、組織をよりよく理解し、さらに、ここで学んだことを事務所に持ち帰ってニカラグアのチームと共有することで、全体的な理解を深め、より効果的な方法でアイディアを事務所から本部に提示できることに繋がります。また、私たちの新しいアイディアの担当者や管轄する部署を理解できたことも重要だと思います。

仕事に対するモチベーションは何ですか?

JICAの仕事のモチベーションは、人々の生活の向上に貢献しているという満足感です。私がチームと協力して取り組んでいる社会開発、教育、インフラ、飲料水、病院などに関する、すべての協力を通し、JICAは多くのニカラグア人の生活条件を改善し、向上することに繋がっています。また、個人的なレベルでは、世界的に評判の良い組織で仕事をしていることにも、モチベーションを感じています。非常に透明性が高くかつ効率的で、人に焦点を当てたJICAの貢献については多くのJICAパートナー国が、常に良い印象を持っています。このことは私のモチベーションにもなり、JICAのような組織の一員であることを誇りに思っています。

最後に、JICAで働いてみたいと思っている方へ一言お願いします

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研修を終え、最終プレゼンテーションを行うエドさん。

JICAで高いレベルのパフォーマンスを発揮するには、自分の仕事に情熱を持ち、自分の仕事が人々の生活をより良くすることに繋がっていると信じ、そして目的意識をもって積極的に行動し、新しいアイディアを提案する姿勢を持っていることが求められると思います。目的意識があればあるほど、満足感を得ることができます。また、革新的でありたいと思うとき、障害に直面することが多いのも事実ですが、そんな時も粘り強さを持ち続けることが必要です。何かを改善するためには、JICAという組織を理解すること、そして何度も何度も挑戦することは非常に価値があります。JICAはただ座って仕事を待つだけの場所ではなく、自分自身で挑戦しなければならない場所だと思います。JICAは、あなたのアイディアに耳を傾け、そして人々の人生を変えるプロジェクトに変える機会を与えてくれる場所です。

聞き手:
佐橋真琴
JICA 中南米部中米・カリブ課インターン
活動期間:2023年2月~2023年3月

新倉さらさ
JICA 中南米部中米・カリブ課専門嘱託

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