【インタビュー記事】「好きな言葉は『足るを知る』~たくさんのことを学んだ6か月間~(日墨研修:日本の伝統とデザインコース)

2023.10.23

手に障害を持つ人の働きを助ける器具のデザインを手掛ける等メキシコで産業デザイナーとして働いていたMichelle Vázquezさん。新たなデザイン技術を学びたい!と日墨研修に参加を決意。初の海外で訪れた日本での生活や研修の経験についてお聞きしました。日墨研修を通して日本人の創造力やデザインに刺激を受け、他の人と見方の異なる作品を作ることに恐怖心を抱かなくなった!と笑顔で語ってくれました!

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日墨研修に参加するきっかけ

大学生の時から日本の文化が好きで、専攻とは別に日本語の授業を受けていました。卒業後も仕事の合間に日本語の授業を受けていて、その時の友達が日墨研修のことを教えてくれました。大学の時に工芸デザイン専攻していたので、日本の伝統デザインを勉強できる!ことに心を惹かれ応募しました。

創造力と表現力を研ぎ澄まされた研修

10回程のワークショップがあり、その中で様々なデザインの手法を学び、試すことが出来たことは大きな財産です。ワークショップを通じて、展示会に出品することも出来ました。出来るだけ多くの展示会に足を運び、日本人の作品を見ていく中で「自分には無い日本人作家の創造力とモノの捉え方やその表現」に刺激を受けました!

例えば、「本を作る」という課題(自分がそれを本と認識すればどんなものでもいい)では、私は一般的な形が浮かべましたが、トイレットペーパーで表現している作品があり、とても面白く、「本」と一言で言っても「人によって捉え方や表現は様々だ」という気づきが刺激的でした!

日本に来る前と後でのデザインへの変化

研修中に出会った日本人の作品から「自然を敬い、伝統や文化を大事にしていることから生み出されたもの」だと感じました。改めて「自分のデザイン」について振り返ってみてみると、私自身も「自国の文化を取り入れて表現したい!という思いで作品を作っていた」と日本に来て、気づきました。これまでの日墨研修生の作品にもメキシコの植物や動物、神話などを取り入れた作品が多いのは、日本での学びや刺激が活かされているからだと感じています。

今は、手に納まる小さなサイズで幸せを感じる作品というコンセプトで卒業制作を作成しています。そのコンセプトを与えられた時、亡くなった飼い犬を思い出し、飼い犬への想いを作品のテーマにしました。「大切な存在の死」は悲しいものですが、メキシコでは「死」は人生の一部として見ていて、どこかポジティブで、幸せなことという概念もあります。だからこそ、この作品は幸せを感じられるものにしたいと思って取り組んでいます。でも、死生観の違いから、自分にとって幸せを表現していても悲しい作品として映ってしまうことに不安を感じていました。
そんな時、自分のデザインと異なる日本の様々な作品と出会い、そして日本での経験によって、作品の結論部分の作成や作成段階での考え方が変わりました。今では、見方の異なる作品を作ることに恐怖心を抱かなくなりました!

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人生初の海外、日本での暮らし

今回が初の海外です!一人暮らしも今まであまりしたことがなかったので、料理から公共交通機関での移動、憧れの日本文化の発見、様々な人との出会いと全部が新鮮で楽しく、いろんなことを学び成長がたくさんありました!

また、富士山に登ったり桜を見に行ったりと、とても活動的になりました。日本は、どこに行っても何を見ていてもきれいだなと思います。メキシコにいたときはスマートフォンを見ながら道を歩いていたのですが、日本ではスーパーに行く時でさえも携帯を意識することなくその場所、その瞬間を楽しむようになりました。
また、日本に来る前は、周りの人に迷惑をかけちゃダメ!とか、時間厳守!とかいろんなことに厳しい国だなと思っていましたが、実際は柔軟な部分もあり、想像していたよりも明るくオープンな性格なのだと印象が変わりました。

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好きな日本語

「一期一会」、「足るを知る」、「日日是好日」です。
これらの言葉は「その瞬間を、一日一日を大事にしよう」と思わせてくれます。そして現在の状況に満足し、今持っているもの・目の前にあるものに感謝をし、有難みを感じるようになります。

研修を終えて~これから~

自分の知っていることを誰かに共有することが大好きなので、今回得た知識や技術を今、働いているメキシコの大学で教えたいと思っています。また、将来は修士を取って何らかの形で先生になりたいです。
そして、日本の手工芸に関するワークショップも行いたいと思っています。

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執筆:
杉浦 里佳
JICA 中南米部中米・カリブ課インターン
活動期間:2023 年 8 月~2023 年 10 月

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