【インタビュー記事】インターン生が聞いてみた!ボリビア、グアテマラから日本へ~地球の裏側での学び~(SDGs グローバルリーダーコース)
2024.12.04
中南米部では2024年JICAインターンシッププログラムを通して
10月~12月まで東京の大学生2名をインターンとして受け入れています。
今回はその内のインターン生1名が、JICA事業を通じて日本に来日している
中南米地域からの研修員の声を聞きたいと、インタビューを行いましたので、その様子をお届けします!
皆様こんにちは!
現在南米課でインターンをさせていただいている早稲田大学国際教養学部の譚格斯です。
留学中に経験したメキシコ観光や南米出身の友人との交流を通じて、中南米地域の温かさや文化に心打たれたのをきっかけに、現在インターンとして中南米地域におけるJICA事業について学んでいます。
今回はSDGsグローバルリーダーコース(※1)で実際に来日しているグアテマラとボリビアの研修員二名の方にインタビューを行いました!
1人目~カレン・シフエンテスさん(グアテマラ)
東京工業大学環境・社会理工学院在籍。
来日前は建築学者としてグアテマラ国内の民間企業にて、建築設計ソフトウェア運用のお仕事に従事されていました。
2人目~ミカエラ・アルバレスさん(ボリビア)
横浜国立大学大学院都市イノベーション学府在籍。
来日前はボリビアにて公務員として公共交通機関の計画に携わっていましたが、現在はフリーランスとして交通に関する都市計画に関わっています。
★来日のきっかけと研究内容★
最初にお二人がSDGsグローバルリーダーコース(※1)に参加されたきっかけと、日本での研究内容について教えてください。
‐カレンさん
グアテマラで活動していたJICA海外協力隊員との繋がりに加えて、観光で日本を訪れた時に歴史的建造物と近代都市が融合している風景を目にした経験が、研修参加を後押ししました。
現在は東京工業大学にて歴史的建造物の保全と再活用について学んでおり首都グアテマラシティにおいて、文明を守りつつ社会的機能も満たす街づくりを目指しています。
‐ミカエラさん
ボリビアでの公務員時代に業務を通してJICAの協力事業を知りました。
それ以前にも日本に観光で訪れていたのに加えて、JICA職員からも本研修プログラムを紹介されたので、参加を決めました。
現在は横浜国立大学にて公共交通機関に関する技術について学んでいます。
特に駅全体としての経済効果や定時運行を実現する技術を基に現地の状況に合わせた公共機関の展開を研究しています。
-譚(インターン)
お二人とも現地でJICAと関わる経験があったのですね!
また以前にも観光で日本を訪れたということもあり、初めての来日ではありませんが、一方で観光客としての滞在と留学生としての滞在では、きっと異なる体験をしているのではないでしょうか?
★留学で見えた日本の新たな一面★
実際に今回住んでみて違いを感じるところはありましたか?
‐カレンさん
特に違和感を覚えることはなかったですね。
日本人は優しくて丁寧な方が多く、日本語が不十分でも話す練習になるため、不便を感じたことはありません。
ただグアテマラで使用していた薬などを日本で探すときは少し大変です。
また研究が個人ベースということもあり、研究室のメンバーや日本人との交流の場が少なく、日本人の友人を作りにくい気がします。
‐ミカエラさん
実際に住み始めた時に、住居や光熱費等の書類手続きが多いのが大変でした。
手順が複雑な上に、言語の壁もあるため一層負担に感じます。
また新たな印象としては、日本人は一人でいることを好む人が多いように感じました。
特にカフェやレストランなどに一人用の席があることに驚きました。
ラテンアメリカでは外食は友人や家族などとするのが一般的なので、日本でももっと積極的に人と繋がる環境があればいいなと思います。
-譚(インターン)
なるほど、日本でただ生活していても日本人と繋がる機会は限られているのですね。
言葉の壁もあると思いますが、面識のない人とも気軽に親しく接するラテンアメリカの文化とは対照的で驚いたのかもしれません。
★日本での学びを次のキャリアに★
お二人は、日本での研修を終えた後はどのようなキャリアをお考えですか?
‐カレンさん
建築作品の調査と保全を推進するオランダ発の国際NPO「DOCOMOMO International」(※2)のグアテマラ支部で建築保全に携わりたいと考えています。
首都の都市開発にあたって建物を新しく作るという方針の考え方を、既存の建築を有効活用していく方向にシフトさせるよう働きかけていきたいです。
‐ミカエラさん
私の専攻である交通工学は、ボリビアよりも国外での研究が進んでいます。
そのため他国の交通計画整備に関する経験も積むことで更なるスキルアップを目指し、自分の成長を通じて、ボリビアに還元したいと考えています。
-譚(インターン)
お二人とも、日本での学びを次のキャリアへのステップアップとして着実に歩まれているのですね。
★JICAの留学支援事業の〇〇がすごい!★
カレンさんは、グアテマラでJICA海外協力隊員と知り合ったことが本プログラムに参加したきっかけとのことでしたが、実際に参加してみていかがですか?
‐カレンさん
日本にいる間もJICAが主催の研修員向けのイベントやインターンの機会が充実しており、日本文化の体験だけでなくネットワーキング構築にも役立っています。
また大学での研究だけでなく、学会等の大学外で学ぶ機会へのサポートも手厚いため、様々な経験を積むことを後押ししてくれています。
-譚(インターン)
グアテマラにいる際からJICAプログラムをお勧めされていたということですが、学問だけでなく、日常生活でも支えてくれる存在があるのは心強いですね!
★日本の交通機関の〇〇がすごい!★
ミカエラさんは、都市交通整備にかかる勉強をされていますが、実際にみた日本の交通事情はいかがですか?
‐ミカエラさん
日本の公共交通機関は計画と運用の面で非常に優れていると思います。
公共交通機関を需要のあるところに作るだけではなく、持続的な運用のために、駅全体を経済活動の場として計画するところや、スケジュールに沿った運航を可能にする技術など勉強になることが多いです。
時間を気にせずに公共交通機関を利用できるのは、利便性だけでなく生活の質の向上にも繋がるので、学びがいがあります。
-譚(インターン)
たしかに私自身メキシコ観光中にバスが時間通りに来ず、予定変更せざるを得ないことがありました。
日本の交通機関に慣れていると、なかなか気づけない視点で非常に興味深かったです!
カレンさん、ミカエラさん、インタビューへのご協力ありがとうございました!
★インタビューを終えて★
いかがでしたか?
お二人とも文化の違いに対する戸惑いを感じる一方で、日本は学ぶことが多く、過ごしやすいとも話していました。
特にミカエラさんは日本のデザートをボリビアに持ち帰りたいそうです。
異国での生活は言葉や習慣に限らず自分の国と異なる点も多く、苦労することもあるかと思います。
それでも、研修員の皆様がそれぞれの思いを胸に来日し、自身の研究テーマに向けて真摯に学んでいる姿が印象的でした。
インタビューを通し研修員一人ひとりの物語をより詳しく知ることができました。
レポーター:南米課インターン 譚格斯
(※1):SDGsグローバルリーダーズコース
SDGs達成に向けた開発協力を推進するため中南米各国で将来のキーパーソンとなりうる優秀な行政官や若手研究者等の高度人材の育成を目的に、2019年度からスタートしたJICAの留学支援プログラム。
(※2): 「DOCOMOMO International」
モダン・ムーブメントにかかわる建物と環境形成の記録調査および保存のための国際組織(Docomomo International – Architecture Archive)
scroll